ママになった矢澤麻里子氏が再始動、シードファンドを提げて起業家支援に戻ってきた

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Yazawa Ventures 代表取締役 兼 GP の矢澤麻理子氏
Image credit: Yazawa Ventures

ジェンダーギャップを埋めることは SDGs でも謳われる社会課題の一つだが、依然として日本では投資家に占める女性の数は少ない。ファンドの運用責任者である GP(ジェネラルパートナー)ともなれば、スタートアップ領域の独立系ファンドでは、iSGS インベストメントワークスの代表パートナーである佐藤真希子氏「The Breakthrough Company GO FUND」を立ち上げた小池藍氏など、数えるほどしかいないのが現状だ。しかし今日、ここに新たな顔が加わることになる。

矢澤麻理子氏は24日、シード特化ファンド「Yazawa Ventures」を組成したことを明らかにした。初号ファンドの組成規模は7億円以上を目指しており、スタートアップ1社あたりのチケットサイズは1,000万円〜1,500万円程度。対象社のバリュエーションは2億円以下を想定するため、投資実行段階で10%程度の持ち分を確保すると見られる。LP には、日本のベンチャーキャピタリストの祖である村口和孝氏や、カンファレンス運営などを行うウィズグループの奥田浩美氏らが名を連ねた。

同ファンドには、村口氏や奥田氏以外にも複数の上場会社経営者や女性起業家など、全員で7名ほどが個人投資家として出資参加しているとの情報を BRIDGE では得ているが、Yazawa Ventures では、現時点において詳しい LP の顔ぶれを明らかにすることはできないとしている。

1983年生まれの矢澤氏は、ニューヨーク州立大学を卒業後、BI・ERP ソフトウェアのベンダでコンサルタント及びエンジニアとして従事。2013年からサムライインキュベートでシニアアソシエイト、2017年に Plug and Play Japan の立ち上げメンバーとして参画し COO を務めていた。彼女はその後2019年、第一子の出産を機に Plug and Play Japan を離れたが、スタートアップエコシステムの醸成に関与したいとの思いから、今回のファンド組成と会社設立に至ったという。

サムライインキュベート出身者によるファンド組成としては、2016年に F Ventures を立ち上げた両角将太氏、2018年に Leapfrog Ventures を立ち上げた寺久保拓摩氏に続くものだ。矢澤氏のほか、寺久保氏や両角氏が在籍していた頃のサムライインキュベートは現在の同社とは風情がやや異なり、超どアーリーステージのスタートアップに広く出資を行って徹底的に側面支援を行うという形をとっていた。当時、矢澤氏が週数十社ペースでメンタリングを行う特攻隊長だったのを筆者は記憶している。

Plug and Play Japan では、シリコンバレー流のオープンイノベーションを日本に持ち込んで、大企業とスタートアップが伴走する日本型オープンイノベーションの原型の構築に貢献した。これまでにインキュベーションやオープンイノベーション支援に携わってきた矢澤氏は、今回のファンドに LP 参画した投資家らの助力を得て、金銭面を含むさまざまな支援を展開していくだろう。矢澤氏の夫である菅原稔氏(弁護士、AZX マネージングパートナー 兼 COO)もまた、起業家支援に注力・奔走していることで知られる。

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