MUFG DIGITALアクセラレータが第3期参加スタートアップを募集中——海外子会社やPnPとも連携、海外チームの受け入れや出資も積極化

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Image credit: Masaru Ikeda

三菱東京 UFJ 銀行(BTMU)をコアメンバーとする、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の DIGITAL アクセラレータの第3期の参加チームの募集が開始されている。回を重ねるごとに進化を遂げているようなので、このプログラムを率いる MUFG デジタルイノベーション推進部の藤井達人氏に、今回のハイライトを聞いてみた。

MUFG DIGITAL アクセラレータの目的は、MUFG のグループ各社とスタートアップとのオープンイノベーションだ。これを実現するために、参加各チームには、MUFG グループの社員が参加するスタートアップとの協業を前提とした「MUFG メンター」、VC や他社アクセラレータなど外部協力者による「プロメンター」、さらには、全体を調整する役目として MUFG DIGITAL アクセラレータの事務局から「ファシリテーター」がアサインされる。プログラム期間中には、今年、日本橋に誕生した The Garage を会場に、月1回のピッチデイのほか、毎週や隔週のメンタリング、API ミートアップ、ミニハッカソンなどの集まりなどが開催される予定だ。

3期目を迎える今期は、MUFG グループ傘下企業からの参画社がさらに増加。子会社のタイ・アユタヤ銀行(Krungsri)やカリフォルニアの Union Bank などとも連携するという。このうち、アユタヤ銀行については、スタートアップアクセラレータ Krungsri RISE を運営するとともに、CVC である Krunsri Finovate も運営している。Krungsri Finovate は今年、ロボアドバイザーを開発するタイの FINNOMENA や、決済スタートアップの Omise に出資したことでも記憶に新しい。アユタヤ銀行や Union Bank との連携は、プログラム参加スタートアップのアジアやアメリカでのサービス展開を後押ししてくれるだろう。

三菱東京 UFJ 銀行は、今年始動した Plug and Play Japan の公式パートナーにも名を連ねている。MUFG DIGITAL アクセラレータは Plug and Play Japan との連携も表明していて、おそらく、プログラム参加スタートアップが金融サービス以外の領域で大企業との連携を模索する際には、このネットワークが活用されることになるだろう。また、MUFG は今年7月、銀行のデジタルトランスフォーメーション加速を目的として、Japan Digital Design(JDD)を設立している。こちらは、MUFG の所属如何にかかわらず地方銀行とのパートナーシップを強みとしており、条件が折り合えば、スタートアップはこのネットワークを活用することもできるだろう。

Image credit: Masaru Ikeda

また、以前 The Garage を訪問した際にも藤井氏は語ってくれていたが、今回からは海外チームの参加もプログラムに受け入れていくとのことだ。東京都はかねてより、世界中から金融サービス企業を積極的に受け入れることを表明しており、家庭に眠る金融資産1,800兆円という巨大な可能性を背景に、日本市場に関心を持つ国外のフィンテックスタートアップも各所で見受けられるようになった。世界中からフィンテックスタートアップが日本を訪れる機会としては、FIN/SUMFIBCFinTech Japan などのイベントが存在するが、日本に根を下ろしてサービスを生まれる瞬間を目の当たりにするのを楽しみにしたい。

THE BRIDGE が伝えただけでも、昨年の改正銀行法の施行以降、MUFG 傘下からは MUFG キャピタルからの純投資のみならず、三菱東京 UFJ 銀行や他の金融サービス会社からスタートアップへの戦略的投資も増えている。オープンイノベーションを活性化する上で必要不可欠となる要素の一つは言うまでもなく資金であり、第3期からは出資の規模や件数についてもさらに積極化する姿勢のことだった。記憶に新しいところでは、第1期優勝の xenodata lab.第2期優勝のクラウドリアルティらは同グループからの資金調達を発表している。

第3期の応募締切は1月14日まで。プログラムの詳細を紹介する説明会の第1回は昨夜 FINOLAB(東京・大手町)で開催されたが、残すところあと2回、12月に Plug and Play Japan(東京・渋谷)、1月に伊藤忠テクノソリューションズのオープンイノベーションスペース DEJIMA(東京・五反田)で開催される予定だ。

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