〈東京スタートアップ・オフィスツアー〉銀行発祥の地に誕生したフィンテック・スタートアップの梁山泊、MUFGの「The Garage」に潜入

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日本橋兜町に生まれた MUFG DIGITAL アクセラレータの「The Garage」。その目立つ看板から、銀行の支店と勘違いして入ってくる人も多いのだとか。

本稿は、「東京スタートアップ・オフィスツアー」シリーズの一部だ。

ここ1年位の間に、東京駅周辺には、フィンテック・スタートアップの活動拠点がいくつか開設された。FINOLAB は移転してリニューアルし、平和不動産が設けた FinGATE では数々のイベントが開催。500 Startups Japan などが拠点を置くグローバルビジネスハブ東京(GBHT)にも、数多くのフィンテック・スタートアップが入居している。

東京の金融街は東京駅を隔てて、丸の内・大手町側と八重洲・日本橋側に大きく分かれる。丸の内・大手町側は、旧三菱財閥の祖である岩崎弥太郎が築いたエスタブリッシュなエリア、対して、八重洲・日本橋側は商人の魂を受け継ぐ近代金融発祥の土地柄だ。丸の内はその名の通り皇居の目の前ということもあり、駆け出しのスタートアップにとって手の出る物件は多くないが、日本橋周辺には、フィンテック・スタートアップのオフィスも増えてきたようだ。

そんな日本橋の兎町の一角に今春、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が主宰する「MUFG DIGITAL アクセラレータ」が、初のコワーキングスペースとなる「The Garage」を開設。リノベーションも完了し落ち着いたということなので、お邪魔してきた。

MUFG DIGITAL アクセラレータでは現在、年に1回程度のペースで4ヶ月間のアクセラレーション・プログラムを運営しており、現在は第2期バッチの追い込みの時期だ。今バッチ参加のスタートアップ7チームは目下、7月28日のデモデイに向け最終的な協業プランの醸成の最終段階にある。

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エントランスには、昨年の第1バッチに参加した5チームのほか、現在進行中の第2バッチの7チームのロゴが掲げられている。

参加各チームには、MUFG グループの社員が参加するスタートアップとの協業を前提とした「MUFG メンター」、VC や他社アクセラレータなど外部協力者による「プロメンター」、さらには、全体を調整する役目として MUFG DIGITAL アクセラレータの事務局から「ファシリテーター」がアサインされており、プログラム期間中には、この The Garage を会場に、月1回のピッチデイのほか、毎週や隔週のメンタリング、API ミートアップ、ミニハッカソンなどの集まりなどが開催されているそうだ。

1F部分は、開放感あふれるデスクスペース
地下には落ち着いたリビングルーム調のスペースが広がる
デモデイまでのカウントダウンタイマー。残すところ3週間ほどだ。

独立系のアクセラレータというのは、スクラッチからビジネスを興そうとする起業家をさまざまなリソースで支援し、マーケットレディなプロダクトを世に出すことを促し、次の資金調達ラウンドにつなげる、というところが一つの目標になる。対して、企業アクセラレータは、その企業とスタートアップが協業を行い、何らかのアウトプットを生み出すことに狙いを定めることになるが、単に社内の事業担当者とスタートアップを引き合わせただけでは、協業というある種の化学反応が起きることは稀だ。

MUFG の場合、最近グループ各社にも「フィンテック推進室」なる担当部署が設けられ、各社共第一線で活躍する社内人材を担当者に充てるようになったため、スタートアップとの協業事例の創出もかなりスムーズになってきているのだとか。グループ各社の担当者は、往年のオーディション番組「スター誕生!」よろしく、二次選考の場でスタートアップのピッチを聞き、自社の事業戦略との相性を見ながら協業したいチームを指名、プログラム終了まで(あるいは終了後も)そのチームの支援にコミットすることになる。

MUFG Digital アクセラレータの運営チームや参加スタートアップの皆さん(一部)

第1バッチは FinTech アクセラレータ、第2バッチは DIGITAL アクセラレータと、対象範囲を拡大しながら進化してきた MUFG のアクセラレータプログラム。これまでプログラムへの参加は事実上、国内のスタートアップに限定されていたが、次バッチ以降は海外のスタートアップの受け入れにも積極的に注力していきたいとのこと。しかし、まずは28日の第2期デモデイを楽しみにしたい。

The Garage の前にある、日本の銀行発祥の地を示す看板

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