Zoom物語:投資家が見向きもしない「ビデオサービス」(1/3)

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職場における「ITの一般コンシューマー化」が話題になっている。しかしZoomのケースはパンデミックの影響でちょっと違った話になったようだ。この高評価のテレビ会議サービスはいくつもの苦難の道を辿りながら、急速に他の方向にシフトすることを余儀なくされた。

Zoomの創設者でありCEOのエリック・ユアン氏は、ユーザーの目を通して世界を見よう、という企業文化ではあったものの、突然大量の一般消費者がそれこそ遠隔学習からバーチャル飲み会まであらゆる目的でこのプラットフォームを使おうと試みるようになったことで、前提条件を問い直す必要に迫られたと語る。

「長年のハードワークの末、人々のつながりを助けるという夢が実現したのですからそれはエキサイティングでした。しかし突然、予想の30倍以上の成長を遂げてしまった場合はどう対処したらいいのでしょうか?そう、もっと頑張らなければならなくなったのです」。

ユアン氏はパンデミック下における仕事とテクノロジーが大きなテーマとなった大型カンファレンス「Web Sumit」の2日目に登壇していた。2011年に設立されたZoomは、当初、CiscoのWebExを利用していた顧客をターゲットにしていた。WebExの初期の従業員であり、CiscoがWebExを買収したことをきっかけに同社に在籍を続けていたのがユアン氏だ。しかし数年後、顧客が製品に不満を持っているように感じたことからモチベーションを徐々に失うことになる。ユアン氏はこう振り返る。

「私が退職する前の1年間はほぼ毎日、WebExのお客様の幸せそうな姿を1人も見なかったのでオフィスに行きたくありませんでした」。

彼は当時、多くの競合となるビデオ会議の選択肢があるにもかかわらず、会社がビジネス顧客のニーズを満たしていないことを理解していた。一方、彼はスタートアップする際の資金調達に苦労したことでも有名で、多くのベンチャー キャピタリストは彼の事業を敬遠していた。振り返って彼は今、その当時のことを根には持っていない。

「彼らは間違っていなかったと思う。確かに市場は飽和していました。世の中に別のビデオサービスが必要だとは誰も思っていなかったんです。しかし、私は顧客と話すことに多くの時間を費やしました。すると誰も既存の製品を好んでいなかったので、市場の可能性が大きいと確信したのです」。

(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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