AI献立提案「me:new(ミーニュー)」、コープこうべと「こんだてアシスト」をローンチ——献立選択→食材調達がワンタップで

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コロナ禍で外食の機会が減っている。フードデリバリだけに頼るわけにもいかず、自炊に精を出すことになるわけだが、作れる料理のレパートリーにも限りがあるし、献立を考えるのが煩わしくなっているのは筆者だけではないだろう。こんな時、助けになってくれるのは、料理の嗜好や健康状態を入力することで献立提案アプリだ。

me:new(ミーニュー)」をはじめ、日本でも人気の献立提案アプリが数多く存在するが、それらには共通した課題があった。献立を選ぶ → 食材を調達する → 料理をする(そして食べる)という手順を減るわけだが、献立を選んでから、必要となる食材をスーパーに買い出しに行くのは面倒、オンラインにせよ、食材を一つずつ選んでネットスーパーで注文するのは面倒な作業だった。

me:new が、コープこうべと組んで作り出したのが「こんだてアシスト」という新機能だ。コープこうべアプリ内の me:new が埋め込まれた形で連携動作し、me:new が提案した献立の中からユーザが選択すると、ワンタップ操作で必要な食材がコープこうべアプリ経由でオンライン発注される。つまりユーザは提案の中から献立を選びさえすれば、あとは届く食材を料理するだけだ。

Image credit: Coop Kobe / me:new

全国の生協で進めていきたいが、特に、デジタルサービスの拡充に積極的なコープこうべから着手することとなった。ユーザが提案された中から料理したい献立を選ぶと、コープこうべで取り扱っている食材の中から必要なものを一括選択できる。

その後、ユーザは例えば、岡山産のジャガイモを千葉産のジャガイモに置き換えるなど、食材を手動で変更したり追加したりすることも可能だ。食材以外に、ミールキットや冷凍キットなども織り交ぜて提案できるので、家族世帯だけでなく、少人数世帯や独身生活者にも利用しやすい作りとなっている。(ミーニュー CEO 三宅伸之氏)

三宅氏によれば、献立の提案だけでなく、食材調達の半自動化までの機能を包含する構想はミーニュー設立当時からあったそうで、「真面目に、自前でネットスーパーも作ろうと思ったこともあった(三宅氏)」らしい。ネットスーパーや食材宅配のサービスには、スタートアップや小売大手各社が参入しているが、生協はこの分野で半分以上のシェアを持っており、また、かなり以前から店頭販売よりも宅配に注力していることから、全ロジスティクスが宅配用に最適化されていて、どの地域の生協も事業がほぼ黒字だという。

生協にとっては、こんだてアシストを介することで食材販売のアップセルにつながるため、増収分利益の一部をミーニューが受け取るビジネスモデルのようだ。ミーニューではコープこうべでの結果を受け、全国の生協にも AI 献立提案サービスの導入を図りたい考えだ。食材宅配ではラストワンマイルのロジスティクスの最適化・省力化が肝となるが、中国では地域単位で食材を届けるサービスが加勢していて、日本でも献立アプリ大手のクックパッドが地域単位で食材を届ける「クックパッドマート」が好調だ。

2014年初めにローンチした me:new は、ドコモ・ベンチャーズが同年3月に開催した第2期インキュベーション・プログラムのデモデイで優勝。その後、マネタイズ手法の編み出しに苦労しながらも、受託開発をしながら再度事業加速する時機を伺っていた。2016年8月に IBM BlueHub 第3期に採択された。2019年7月に CCC マーケティングや他の既存株主から3億3,000万円、東京電力フロンティアパートナーズから数千万円(2018年12月)、経沢香保子氏から(2018年6月)、個人投資家複数名から(2018年6月)資金を調達している。

<参考文献>

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