その後、ユーザは例えば、岡山産のジャガイモを千葉産のジャガイモに置き換えるなど、食材を手動で変更したり追加したりすることも可能だ。食材以外に、ミールキットや冷凍キットなども織り交ぜて提案できるので、家族世帯だけでなく、少人数世帯や独身生活者にも利用しやすい作りとなっている。(ミーニュー CEO 三宅伸之氏)
生協にとっては、こんだてアシストを介することで食材販売のアップセルにつながるため、増収分利益の一部をミーニューが受け取るビジネスモデルのようだ。ミーニューではコープこうべでの結果を受け、全国の生協にも AI 献立提案サービスの導入を図りたい考えだ。食材宅配ではラストワンマイルのロジスティクスの最適化・省力化が肝となるが、中国では地域単位で食材を届けるサービスが加勢していて、日本でも献立アプリ大手のクックパッドが地域単位で食材を届ける「クックパッドマート」が好調だ。
T カードは現在6,950万人が利用しており、小売店舗や飲食店舗をチェーン展開する企業を中心に191社が参画している。T カードを提示してユーザが購入した情報がデータベース化され、商品開発などを目的に参画企業に提供。また、T カードを提示したユーザには、購入金額に応じて店舗毎に一定率でポイントが付与・還元される仕組み。
T カード Image credit: CCC Marketing
me:new と T カードが連携することで、T カードを使った購入履歴から料理の好みを学習する機能(me:new 上での初めての利用時に、ユーザが自ら好みを登録する必要がなくなる)が提供できるほか、me:new が提案した献立が受け入れられたか(献立のメニューを T カードを使って外食したか、献立の調理に必要な食材を T カードを使って購入したか、など)の捕捉が可能になり、これを繰り返すことで献立提案の精緻化が可能になる。このほか、ミーニューでは T カードユーザから me:new への新規流入、T カードに参画する小売業・飲食業の企業への事業連携を期待している。
2014年初めにローンチした me:new は、ドコモ・ベンチャーズが同年3月に開催した第2期インキュベーション・プログラムのデモデイで優勝。その後、マネタイズ手法の編み出しに苦労しながらも、受託開発をしながら再度事業加速する時機を伺っていた。2016年8月に IBM BlueHub 第3期に採択された。2018年6月現在のダウンロード件数は44万件、ユーザ数は明らかにされていないが、今年1月に公開した近所のスーパーの特売情報をもとに献立を提案する機能が呼び水となり、月額400円の有料メニュー「me:new プライム」の購読ユーザ数が順調に推移しているそうだ。
ミーニューは今回の調達の目的について、報道声明では「アプリ開発力向上のための人材投資をより加速させ、認知拡大を目的とした広告投資を開始する」「より多くの方に長く使い続けられる、なくてはならないインフラサービスに成長させるため」としているが、TEPCO FP は CVC であるため、戦略的提携を伴わない純投資である可能性は薄い。この点について、ミーニューは TEPCO EP との協業の有無や内容を明らかにしていないが、6月に実施した同社代表取締役の三宅伸之氏へのインタビューと、前出の Twidy の事例から一つの推論を導き出すことができる。
三宅氏はインタビューで「献立の自動提案からネットスーパーへのの繋ぎ込みで食材をオーダーできるようにしたい」と述べていた。また、Twidy は地域密着型のスーパー等での買い物代行サービスだ。電力やガス業界の完全自由化に伴い競争が激しくなる中で、牙城を新興勢力に崩されつつある既存の電力会社やガス会社は、新たな収入源を求めて、これまでのユーザベースを活用できる電力やガス以外の生活密着型サービスの事業開発に注力しつつある。ミーニューは、TEPCO EP が顧客に提供する何らかの新サービスに連携される可能性が考えられる。
AI 献立自動作成アプリ「me:new(ミーニュー)」を運営するミーニューは21日、トレンダーズ創業者で現在キッズラインを営む経沢香保子氏から資金調達したと発表した。調達金額は開示されていないが、少額出資とみられる。また、これを受けて、経沢香保子氏はミーニューの顧問に就任した。 経沢氏はベビーシッターサービスの提供に特化したスタートアップであるキッズラインを運営しており、2015年6月に宮崎で開催…