「Market Kurly」「Luxrobo」がプレIPO調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(12月20日~12月24日)

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本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。

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12月20日~12月24日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは21件で、資金総額は3,978億5,000万ウォン(約390億円)に達した。

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主なスタートアップ投資

  • Market Kurly(마켓컬리)」運営会社 Kulry(컬리)が、来年の IPO を前に2,500億ウォン(約240億円)のプレ IPO 調達。7月以来5ヶ月ぶり​の​追加調達で、時価総額はは4兆ウォン(約3,900億円)と評価。累積調達金額は、9,000億ウォン(約870億円)を突破した。
  • フィンテック企業 Chai Corporation(차이코퍼레이션)が530億ウォン(約51億円)を調達。プリペイドカード「Chai Card(차이카드)」をはじめ、昨年 B2B 決済プラットフォームの「I’mport(아임포트)」を買収しサービスを拡大中。今回の調達により、韓国企業の海外進出増加にあわせ、I’mport の海外進出を積極化させる計画。
  • ロボット融合教育・IoT「Luxrobo(럭스로보)」が185億ウォン(約18億円)をプレ IPO 調達。資金は IoT 新事業の推進と既存教育事業強化のための技術開発と製品生産に活用する予定。
  • 廃資源管理スタートアップ Reco(리코)が3月に続いて120億ウォン(約12億円)を調達。今回の調達を受けて、サービス対象を事業廃棄物全般に拡大する計画。
  • ブロックチェーンウォレットサービス Iotrust(아이오트러스트)が65億ウォン(約6.3億円)を調達し、ウォレットサービス拡大する計画。また、多様なメインネット NFT 支援と保有資産を一目で見ることができるダッシュボードなどをローンチする予定。
  • キッズオーディオコンテンツの Kokozi(코코지)が60.5億ウォン(約5.9億円)を調達し、子供向けオーディオプレーヤーをローンチする予定。来年下半期、両親とプロのコンテンツ制作会社がオーディオコンテンツをアップロード・ダウンロードできるマーケットプレイスもオープン予定。

トレンド分析

2022年のグローバルスタートアップ投資環境の見通しは?

2021年は、世界中でスタートアップ投資が最も活発だった年だった。韓国内外を問わず、新型コロナウイルス感染からの回復と共に多くの資金がスタートアップに流れた。史上最大規模で活性化されたスタートアップエコシステムは来年も続くだろうか。韓国のスタートアップ VC は、投資やスタートアップ活性化政策は増えると予想しながらも、不安定な世界経済状況をリスクファクターに挙げた。2022年のグローバル市場環境によるスタートアップ投資市場は、どのように展望できるかをまとめてみた。

市場内の不確実性

2022年は不確実性の年になると予想されている。特にインフレがリスク要因の一つに挙げられる。新型コロナウイルス感染拡大で引き起こされた景気後退を解決するために放たれた多くの資金がインフレを発生させ、今後の投資環境に変化を与えるとの見通しだ。一時的な現象かもしれないが、インフレがスタートアップ投資の萎縮に影響を与える可能性があるという懸念が出ている。

インフレだけでなく、市場内に存在する不確実性がスタートアップ投資に脅威になる可能性があるとの見方もある。オミクロン株によるパンデミックの長期化、米中問題の深刻化、中国発の金融危機などがそれだ。2020年の新型コロナウイルス感染拡大で、世界的にスタートアップ投資が大幅に減少したことを考えれば、市場と政策の不確実性はスタートアップ投資に影響を与える可能性があるということわかる。

もう一つの現象は、持続可能性(サステナビリティ)に関する問題だ。気候変動による危機が市場内のリスク要因を誘発する原因と指摘される可能性があるということだ。したがって、スタートアップ投資においても、持続可能性や気候危機を解決できる関連スタートアップは関心を集めると予想される。

2022年の市場環境に対応する、投資や技術のキーワード

前述した、市場の不安定な環境と変化に対応する、投資や技術のキーワードは何だろうか。まず、クラウドベースのサービスと、それを超えたクラウドネイティブプラットフォーム、ノーコードなどに代表される自由自在に構成可能なアプリケーション(Composable Application)などは、市場の不確実性を解決できるサービスとして注目されるだろう。

また、新型コロナウイルスなど未来不確実性へとシフトした業務環境に対応するため、ハイブリッド業務環境ソリューションへの関心が高まり、不安定な市場環境の中で、競争の代わりに協力を通じてシナジーを狙う「コピティション(Co-petition)」が増加すると期待される。これにより、円滑な協力のための組織間データ共有の活性化、セキュリティ問題を解決するソリューションも需要が高まると予想される。さらに、データファブリック、AIOps、ハイパーオートメーション、クラウドベースのサービスの増加に伴うセキュリティ問題に関連する技術が、これまで以上に注目を集めると予想される。

また、デジタル環境経験を重視する MZ 世代(ミレニアル世代+ Z 世代)を中心に急浮上したメタバースと仮想資産、仮想アイテム所有に開かれた態度を持つユーザが増え、NFT なども2021年に続いて大きな関心を受けると予想される。

2022年のグローバルスタートアップ投資見通しと関連スタートアップについてまとめた内容を盛り込んだレポート全文は、こちらからダウンロードできる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

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