アフリカのモビリティギグワーカーが車を買えるようにするMoove、日本のMUIPらから1億米ドル超を調達

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Moove の共同創業者、Ladi Delano 氏(左)と Jide Odunsi 氏(右)。
Image credit: Moove

サブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南のアフリカ地域)の個人事業主に車両ファイナンスを提供する Moove は14日、シリーズ A2 ラウンドで1億500万米ドルを調達したと発表した。このラウンドは、Speedinvest(オーストリア)、Left Lane Capital(アラブ首長国連邦)、thelatest.ventures(アメリカ)がリードし、AfricInvest(チュニジア)、三菱 UFJ イノベーション・パートナーズ(日本、以下 MUIP と略す)、Latitude(ドイツ)、Kreos Capital(イギリス)らが参加した。

これは Moove にとって、2021年8月のシリーズ A1 ラウンド(2,300万米ドルを調達)に続くものだ。Speedinvest、Left Lane Capital、thelatest.ventures は、シリーズ A1 ラウンドにも参加していた。なお、直近では NBK Capital Partners(アラブ首長国連邦)と世界銀行系の国際金融公社(IFC)のファンドからデットファイナンスを実施している。今回の調達を受けて、Moove の累積調達額は1億8,000万米ドル前後に達する見込み。

Moove は、配車アプリ、物流、インスタントデリバリのマーケットプレイスと連携、独自データにより、クルマを使う個人事業主に対し、収益ベースの車両融資を提供する。これまでの乗用車に加え、トラックとバイクも追加。また事業エリアも、アフリカの3都市から6都市(ナイジェリアのラゴスとイバダン、ガーナのアクラ、南アフリカのヨハネスブルグとケープタウン、ケニアのナイロビ、イバダン)に拡大した。今回の調達を受けて、Moove はアジア、中東および北アフリカ、ヨーロッパへと事業領域を広げる計画だ。

Moove は2020年、Ladi Delano 氏と Jide Odunsi 氏により設立。自動車ローンへのアクセス機会が少ない市場において、収益ベースの車両購入手段を提供することで、アフリカ全域で車両所有の民主化を進めている。Moove は、代替クレジットスコアリング技術により、モビリティサービスを提供する個人事業主の週次収入の一定割合を利用し、新車購入のための車両融資を提供する。アフリカで Moove の需要は拡大しており、同社が融資した車両の走行回数は300万回以上、走行距離の総和は2,500万kmを超えた。

Image credit: Moove

アフリカでは全域でクレジットの普及率が低いため、10億人以上のアフリカ人が新車を購入できないでいるとされる。自動車ローンの普及率はヨーロッパでは92%だが(日本では、日本自動車工業会の「乗用車市場動向調査」によると、車をローンで買う人の割合は全体の3~4割程度)、アフリカでは全車両の5%以下しか融資を受けておらず、自動車保有台数は1000人あたり44台以下だ(ヨーロッパでは640台、アメリカでは816台、アジアでは136台、北アフリカでは261台)。

Moove のビジネスモデルは、環境面からも変革をもたらすことが証明されている。COP26 で設定された目標に沿って、融資する車両の60%以上を電気自動車またはハイブリッド車にするというコミットメントは、アフリカに輸出されている車両をを燃費の良い新しい車両に置き換えていることを意味する。このような気候変動問題への取り組みへの評価から、Moove は IFC から年次企業賞(20社のうちの1社)を受賞し、前出のデットファイナンスを受けた。

Moove に似たビジネスモデルを展開するスタートアップとしては、日本からはケニアに HAKKI AFRICA が事業展開している。同社は2020年3月に、サムライインキュベート、ファルス、柳澤⼤輔氏から非開示額を調達している。同社は昨年、栃木・那須で開催された IVS 2021 Fall のピッチコンペティション「LaunchPad」では4位に入賞、福岡で行われたピッチイベント「StartupGoGo」で優勝した。

MUIP から Moove への出資は、MUIP が昨年組成した200億円規模の2号ファンドからのものだ。MUIP の1号ファンドでは、出資先22社のうち8割が海外スタートアップを占めるなど、MUFG の本業とのシナジーを念頭に置きながらも、国際色豊かなポートフォリオバランスとなっているのも特徴だった。2号ファンドについても、同様の投資戦略をとっていると見られる。

MUIP の2号ファンドからの出資先には、金融 API を開発する M2P Solutions(インド)、マイクロモビリティの Zoomo(オーストラリア)、家を借りたい人向けにオープンバンキングのデータと AI でデポジット不要かどうかを判断する Obligo(アメリカ)、クレジットヒストリのない人に自動車ローンを提供する Lendbuzz(アメリカ)、アジアの飲食店とサプライヤーのための B2B 決済と金融プラットフォーム「Tinvio」(シンガポール)などがある。

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