世界にユーザ1,000万人、Teams連携で躍進する台湾のSaaSスタートアップKdan Mobile(凱鈿行動)

Kdan Mobile 創業者兼 CEO Kenny Su(蘇柏州)氏
Image credit: Kdan Mobile(凱鈿行動)

Kdan Mobile(凱鈿行動)は台湾に拠点を置く SaaS スタートアップで、企業の生産性向上ソリューションを提供している。リモートワークのトレンドを捉え、現在全世界に1,000万人以上の顧客を持つ。売れ筋商品「Document 365」は更新率80%を達成し、4万社以上の企業が同社のサービスを利用している。2年後に IPO を予定している。

母親の台所で起業、サブスクで成長

Kdan Mobile 創業者 Kenny Su(蘇柏州)氏は、かつて台湾の工業技術研究院(ITRI)に勤務し、国際ソフトウェア標準の策定に参画していた。ソフトウェア開発のルールを決める会議にも数多く参加し、ソフトウェア開発の視野を広げた。そして、ITRI を退職し、2009年初頭から App Store 向けのアプリ開発を始めた。ソフトウェアは、もはやハードウエアに縛られることはない。App Store では、顧客と直接コミュニケーションをとり、フィードバックを得ることができる。

チャンスを見つけたら、すぐに行動に移し、市場に参入する。(Su 氏)

Su 氏は、母親の台所で半年間アプリを開発した後、Kdan Mobile を設立した。アプリを開発しているとき、ユーザと話す機会があり、ユーザの悩みを解決する方法を見つけた。そして、一般ユーザが自社プロダクトを使うには企業環境が必要であると知り、同社は企業を顧客として再ターゲットすることにした。

Kdan Mobile のチーム
Image credit: Kdan Mobile(凱鈿行動)

Su 氏の目には、産業はそれぞれサイクルで構成されていて、前のサイクルが一定の規模に達すると、次のサービスを計画するためにやり直しをしているように見えた。そして、市場が変化する中で、常に次の段階のプロダクトを模索する。App Store でサブスクの SaaS プロダクトを販売され始めたのを見た Su 氏は、Kdan Mobile で SaaS プロダクトを作るのに切り替えた。サブスクで顧客に課金することは、長期的な発展にとって有益なのだ。業界内の競争は、創造性を呼び起こすと Su 氏は言う。

B2C から B2B への転換とマイクロソフトとの提携

小規模で機敏なチームである Kdan Mobile は、いくつかの試行を経験した。同社はまず B2C ビジネスを展開し、ユーザに多様なドキュメントツールを提供した。当初は B2C でかなりうまくいった。しかし、個々のユーザの嗜好は予測不可能に変化する。新しいプロダクトが登場するたびに、ユーザは新しいプロダクトに流れていく。B2C のままでは、会社の成長に限界があるかもしれない。

そこで、Kdan Mobile はサービスを3つの主要プロダクトに絞った。デジタルコンテンツ制作の「Creativity 365」、PDF ソリューションの「Document 365」、電子署名を可能にする「DottedSign」である。2018年、Kdan はサブスクと B2B モデルを採用した。

3つのうち、DottedSign は Kdan Mobile の最新プロダクトで、ユーザはプラットフォーム上で PDF にそれぞれ署名し、リアルタイムで更新を追跡することができる。企業は、PDF を相互に送ったり、PDF エディタにお金をかけたりする必要がない。新型コロナウイルスの感染拡大が保険需要を喚起する中、DottedSign は金融、保険、証券など20社以上の企業で採用され、オンラインプロセスを容易にしている。また、大学では、経費精算や学生寮の契約書などに採用されている。

「DottedSign」
Image credit: Kdan Mobile(凱鈿行動)

Kdan Mobile はマイクロソフトと提携し、DottedSign を Microsoft Teams と連携してサービスを充実させるとともに、リモートワーク環境を向上させた。今回の提携により、Kdan Mobile は2億7,000万人を超える Microsoft Teams のアクティブユーザにアクセスできるようになり、同社のグローバルビジネスを大幅に拡大することができる。

我々のプロダクトがこれほど多くの場面で利用されることに驚いている。(Su 氏)。

現在、この注目のプロダクトは Kdan の収益の約10%を占め、更新率は95%にも達している。DottedSign は売上の30%を占め、Kdan の主力プロダクトになると予測されている。

今後、Kdan Mobile とマイクロソフトは、開発面でさらなる協業を行う予定だ。DottedSign を CRMシステム「Microsoft Dynamics 365」に連携することで、企業顧客により多くのソリューションを提供することを目指す。また、Kdan Mobile はMicrosoft Azure と連携し、オンラインでの文書保存を可能にすることで、組織の運用プロセスをさらに簡素化する計画だ。

グローバル展開

Kdan Mobile は、グローバル市場で大きな成功を収め、ユーザの半数以上がアメリカ市場からのユーザである。同社は現在、全世界で1,000万人を超える顧客を抱えている。そして、従業員の40%がアメリカ、日本、ヨーロッパに拠点を置いている。

Kdan Mobile は1日目から、海外でどう売るかを考える会社だ。海外の顧客と瞬時にコミュニケーションをとりながらプロダクトを作り、結果として高い品質と効率性を実現している(Su 氏)。

Kdan Mobile 創業者兼 CEO Kenny Su(蘇柏州)氏
撮影:蔡仁譯氏

Su 氏は2021年、Quantic School of Business and Technology のエグゼクティブ MBA プログラムに入学することになった。リモート学習環境とデジタル化された環境は、Su 氏によると全く新しい経験だという。彼はこのコースで多くのユースケースを学び、それは海外のトレンドのビジネス戦略をよりよくマスターするのに役立ったという。また、クラスメートと協力して、MBA のリソースを活用したコラボレーションも行っている。

Kdan Mobile は、2021年7月のシリーズ B ラウンドで1,600万米ドルを調達した。この資金調達を受けて、現在の台湾、アメリカ市場を拡大し、日本、韓国市場も開拓する。また、海外投資家の力を借りて、海外市場への参入を目指す。例えば、Kdan Mobile は、韓国の大手ソフトウェア企業 Hancom Group の支援を受けて、韓国への上陸を準備している。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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