長年の不妊治療経験が生んだ治療データ分析「cocoromi(こころみ)」 #MUGENLABOココに注目

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載。MUGENLABO Magazine編集部がピックアップしたスタートアップの中からいくつかの注目企業をご紹介する。

不妊治療患者向けの治療データ分析アプリ 『cocoromi(こころみ)』 を運営するスタートアップがvivolaです。cocoromiは不妊治療に関するデータを入力することで治療計画が立てやすくなるサービスを提供しています。8月2日、KDDIはKDDI Open Innovation Fund 3号を通じて同社に出資していることを公表しました。本稿ではvivola代表取締役CEOの⾓⽥⼣⾹⾥氏に、自身の不妊治療の体験談から生まれた立ち上げの背景やサービス概要、出資についてお話を伺いました。

代表取締役の角田氏に伺いました

何をしている会社ですか?

角田:vivolaは、晩婚化、晩産化の現代において、女性のライフステージにおける健康課題に着目し、特に不妊治療の領域に現在は特化してサービスを展開しています。

弊社が運営する、不妊治療患者向けの治療データ分析アプリ「cocoromi」では、治療データを日々ご入力いただくと、不妊治療で妊娠された方の統計データだけでなく、年齢やホルモン値、妊孕性に大きな影響を与える男女の疾患等で「自分と似た人」を同質と定義し、統計と比較して同質データが閲覧できるようになっています。

不妊治療は、治療や検査の選択肢が多く、ネットで治療患者のブログやSNSで情報収集をされている方が多いのですが、全体の統計や同質を知ることで、自身の治療計画の参考にしていただければと考えています。

「cocoromi」イメージ

なぜ会社を立ち上げたのですか?

角田:起業のきっかけは、私自身が長年不妊治療をしていく中で、流産や死産を繰り返してしまった辛い経験が一番大きな理由です。これまで自分はとても健康だと思っていたのですが、まるでハズレくじを引いてしまったかのように、出口の見えない暗闇の中で、自分の努力ではどうにもならないように思える敵と戦っている虚しさがありました。

生殖医療の書籍や論文を読み、少しでもエビデンスのある知識を得ることで、医師の治療方針を理解し、自分が置かれている状況を把握して納得しながら進めて行くことで助けられた部分がありました。これをもっと、身近な情報収集先として同じ治療患者さんに提供できないか?という考えで、今のアプリが誕生しました。

患者さんの負担は様々あるため、データアクセシビリティを上げればすべてが解決する訳ではないと思います。ただ、情報が溢れて取捨選択が難しい中で、少なくとも弊社はエビデンスのある情報を、かつ同質データのように個人にとって付加価値のある情報を提供していく事で、「納得感のある治療生活」を送る患者さんの手助けができればと思っています。

これからの目標はありますか?

角田:患者さんの課題をヒアリングしていく中で、情報収集以外にも、医療アクセスや長期化の課題が大きいと感じています。

地方では治療ができるクリニックが偏在しており、通院負荷が原因の離職や治療自体の離脱が少なくありません。都市部でも待ち時間の長さにより、仕事との両立は課題になっています。弊社では地域の産婦人科と専門クリニックの連携による治療体制を構築し、通院負荷や混雑緩和を低減できるシステムを開発しています。

また、長期化の課題に対しては、データ解析による個別化医療の実現が解決策の1つになると考えており、現在、医療機関からデータを提供してもらい、データ解析を進めています。今後は類似症例のデータベースとして、こちらも医療機関へ提供していくことを考えています。

これらのプロダクトは、cocoromiアプリからも患者がアクセスできる導線を作る事で、医療機関への単なるシステム導入ではなく、患者がより良い治療を受けるために、導入先の医療機関を選択する際の判断基準にもなると考えています。患者、医療機関の双方へアプローチを行い、不妊治療の世界をより良くしていくために、システム開発やデータ解析を進めていきたいと思います。

KDDIからの出資を通して期待していることはありますか?

角田:2022年4月以降、不妊治療が保険適用になったことで、企業や社会の理解が少しずつ進んでいくのではという期待感があります。その中で我々も、自治体と連携した地域医療の体制構築や、企業の社員向けの研修やアプリ導入を進めていきたいと思っています。

KDDIさんが保有する全国の自治体ネットワークや、多くの社員さんを抱える大企業として、弊社の顧客開拓入やプロダクトの導入、改善のサポートをいただけたらと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

最後に一言お願いします

角田:フェムテック領域にご関心のある企業様も多くいらっしゃると思います。不妊治療の課題には、少子化や女性の活躍推進、多様性の受け入れ、医療のDX化など多くの背景があり、解決すべき社会課題であると共に、企業が既に保有しているリソースが活用できる可能性が多くあります。

まずはご関心を持っていただける企業様と、より良い世界に向けてディスカッションさせていただけらと思いますので、お気軽にお声がけください!

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