東南アジア発、2023年注目のスタートアップ(8):さまざまなデータを一元化、タイの地方都市のスマートシティ運営を支援する5GCT

SHARE:
開会の辞を述べる、サイバーエージェント・キャピタル取締役の北川伸明氏
Image credit: Masaru Ikeda

これは、CyberAgent Pitching Arena 2022年冬版の取材の一部だ。

サイバーエージェント・キャピタル(CAC)は12月1日、東南アジアのスタートアップと投資家が参加するピッチイベント「CyberAgent Pitching Arena」の2022年冬版を開催した。新型コロナウイルスの感染状況をひと段落したのを受けて、今回は3年ぶりの対面型(in-person)での開催となった。東南アジアから10社が登壇し、約80名の投資家が参加した。

サイバーエージェント・キャピタルではかねてから国内スタートアップや投資家を対象に「Monthly Pitch」を開催しているが、その国際展開として、2019年にジャカルタで海外版 Monthly Pitch を開催。以降、2021年1月に第2回目となる東南アジア版では「Monthly Pitch Asia」として、2021年9月に開催された第3回から「CyberAgent Pitching Arena」として運営している。

<関連記事>

イベントでは、サイバーエージェント・キャピタルの取締役で中国法人代表を務める北川伸明氏による開会の辞に続き、インドネシア、ベトナム、タイからのスタートアップ10社がピッチを披露。続いて、投資家から寄せられた質問に対して回答する Q&A セッションが展開された。投資に関心を持った投資家は今後、各スタートアップの代表らにコンタクトすることになる。

今回は、ピッチ登壇したスタートアップ10社のうち、5GcT を取り上げる。

5GCT(5G Catalyst Technologies、タイ)

ピッチする CEO の Shannon Kalayanamitr 氏
Image credit: Masaru Ikeda

スマートシティと聞くと、多種多様な仕組みが適切に連携しあい、そこに住んだり働いたりしている人々に、便利で環境に良い機能が半自動的に提供される姿をイメージするかもしれない。しかし、実際には、さまざまなベンダーの複数の異なるプロダクトが導入されている。スマート照明やスマートメーターなどのハードウェアは目立つ存在だが、ダッシュボードはベンダーやプロダクトによってバラバラで、市役所の人々もどうしていいかわからない。データは分散化され、誰かのパソコンに保存されていることも少なくない。

5GCT は、IoT などから得られるセンサーデータ、自治体が持つデータ、紙媒体のデータ、オープンソースデータなどを取り込み、アプリなども使ってデータをさらにリッチなものにし、都市ごとにデータを仕分けし解析・可視化する。5GCT はタイのスタートアップだが、王楠アジアではそもそもデータが数多くは収集されていないので、解析の前に、まずはデータを集めるところが始める。同社ではすでにタイ国内の3都市と提携しており、2024年までに10都市への拡大を目指している。

ピッチする CEO の Shannon Kalayanamitr 氏
Image credit: Masaru Ikeda

5GCT がすでに協業している都市は、日本企業が多く進出していることで知られるタイのラヨーン県のバーンチャン工業団地などだ。パーンチャン工業団地には工場が1万軒以上あって、GDP がバンコク市内よりも高いことで知られている。工業団地の近くでは二酸化炭素や温室効果ガスが排出されることがわかっていて、それの見える化に取り組んでいるのだという。他にも、データが得られれば、肺がん患者や心筋梗塞患者、新型コロナウイルス感染者が多い地域に、それに応じた医療体制や薬の在庫を配置することもできる。

5GCT は2020年、Gobi Partners のパートナーだった Shannon Kalayanamitr 氏により創業。Shannon Kalayanamitr 氏は、タイ陸軍将校だった Saprang Kalayanamitr 氏を父にも持つ連続起業家だ。Saprang Kalayanamitr 氏は、以前タイの首相を務めた華僑系実業家 Thaksin Shinawatra 氏の政権を転覆させたクーデターの指導者としても知られる。Kalayanamitr 氏のファミリーは伝統的に、タイの中央政府や地方政府のとの人脈が豊富であるため、これらを活用して各都市に導入を進める計画だ。

タイ政府は2017年、2024年までに100のスマートシティを建設することなどを目指した20年計画「Thailand 4.0」を発表した。この計画に基づき、2021年12月時点で全国に15のスマートシティが誕生している。

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度「BRIDGE Members」を運営しています。会員向けコミュニティ「BRIDGE Tokyo」ではテックニュースやトレンド情報のまとめ、Discord、イベントなどを通じて、スタートアップと読者のみなさんが繋がる場所を提供いたします。登録は無料です。
  • テックニュース全文購読
  • 月次・テーマまとめ「Canvas」
  • コミュニティDiscord
  • イベント「BRIDGE Tokyo」
無料メンバー登録