JAPAN STARTUP SELECTION は2014年から開催される、全国津々浦々の自治体が中心となって開催されるスタートアップのマッチングイベント。参加するメンバー都市の出入りはあるが、地方スタートアップを首都圏の投資家、メディア、企業などに披露することを目的として、年に一回の頻度で東京で開催されている。各都市では地方版の STARTUP SELECTION イベントが開催され、そこで選ばれたスタートアップ総計21社が今回、ブース出展、ピッチ登壇の機会を得た。

地方都市の中でも、スタートアップ支援に最初に名乗りを上げたのは、2012年の福岡市の「スタートアップ都市宣言」だった。高島氏は2011年に公用途中で立ち寄ったシアトルで新興企業の隆盛を目にした経験で、同じ港町という境遇から、福岡市をスタートアップの街にしたいと考えた、と当時を振り返った。そんな福岡市に触発され熊本市がスタートアップ支援に動き始めたところ、2016年に熊本地震が発生。現在は、復興だけでなく、よりレベルアップした社会を作る手段としてスタートアップに期待を賭ける。

青森市らは2018年、青森駅前に「AOMORI STARTUP CENTER」を開設した。当初は曜日毎に分野の異なるエキスパートが相談に乗っていたが、通年で起業相談に乗れるよう常任スタッフを置く運用に変更され、昨年は4月〜9月の半年で54件が創業したという。つくば市は学研都市との印象が強いが、市民に聞き取り調査をしたところ、「その恩恵に預かっていない」と回答が大半を占めたことにショックを受け、スタートアップが創出したテクノロジーの社会実装に取り組み始めたという。

先週も、東京都への人口流入が流出を超えたニュースが報じられたばかりだが、一方で、スタートアップの地方都市における創業は以前に増して格段に増えている。リモートワークの常態化によって、地方で創業した際の課題である、資金調達や人材獲得のハードルが下がり、高い QoL の恩恵に預かりながら毎日を送りたい起業家やスタートアップの社員に新たな選択肢をもたらした。地方都市同士も互いに支援策でしのぎを削るようになることで、よりスタートアップしやすい環境が整うことが期待できる。

今回、ブース出展、および、ピッチ登壇したスタートアップ21社は次の通り（説明文は主催者発表の転記。法人格名称は省略）。

• プラチナバイオ（広島県）
  ゲノム編集技術とバイオDXの社会実装による付加価値の大きなものづくり
• WEAVE（広島県）
  飲食店の売れ残った料理とテイクアウトしたい人をつなぐアプリの企画・運営
• Xiberlinc（広島県）
  多チャンネル高精度脳波計を用いた「感性メーター」で顧客の無意識に感じている感性を定量評価します。
• UPay（福岡市）
  日本初の米ストロー製造・販売により、プラスチックが当たり前ではない世界を実現します。
• F.MED（福岡市）
  九州大学における研究シーズを元にした手術支援ロボットの開発と事業化を目指しています。
• Regnio（福岡市）
  生産計画の自動立案から生産実績、在庫、出荷の管理までワンストップで実現！！
• オーヘン工業（熊本市）
  工場設備を保全する技術を製造工場に直接届けるプラットフォーム
• Tooon（熊本市）
  フリーランス向けオンラインワークスペース
• サイディン（熊本市）
  シクロデキストリンの無限の可能性を探究し、生活の質の向上に貢献する
• amulapo（つくば市）
  わくわくは、宙にある
• プライムビーン（つくば市）
  次世代のWeb3事業を通じて、マーケットデザインの社会実装を目指す、筑波大学発ベンチャー企業
• appcycle（青森市）
  アップサイクルでサステイナブルな未来を創造するりんごのフードロスを活用したヴィーガンレザー事業
• UNITED AOMORI（青森市）
  ご当地サウナカーの活用でアグレッシブな地域創生・町おこしを創造する
• フォルテ（青森市）
  インターネット障害でも運用可能な避難所DX。アプリ不要、スマホ不要で避難所運営をデジタル化。
• アイプロダクト（別府市）
  ファンラーニング「楽しく学ぼう」をモットーに3歳から12歳までの子供専用オンライン英会話
• Wells Be（別府市）
  ドローンショーで日本を湧く湧くさせます♨️
• Wewill（浜松市）
  バックオフィスを社会最適する　業務共有プラットフォームSYNUPSでバックオフィスをインフラ化
• N-ARK（浜松市）
  海上建築スタートアップ
• FromTo（浜松市）
  自治体のスタートアップ支援策がサクッと見つかり・理解でき・申請できる！47pass（よんななパス）
• アクアテック（千葉市）
  水処理事業等を中心に事業展開しております。豊かな環境創造を目標に、社会的責務を果たしてまいります。
• 増一屋（千葉市）
  サスティナブルな食品を身近に美味しく