ローンチ直後の大熱狂→沈静化から2年半、ボイスチャットアプリとして出直す「Clubhouse」は復活できるか？

多数の大手 VC が投資する人気の音声SNSアプリ、Clubhouse が2023年4月に変革計画「Clubhouse 2.0」を開始すると発表した。

変革の詳細は明らかにされていないが、SNS のニュースとコミュニケーションソフトのボイスチャットサービスを融合させた、友達同士のボイスチャットサービス「Chats」を開始すると Clubhouse の公式サイトに記載されている。

話題性を失った Clubhouse は、ポジショニングの変更で巻き返しできるだろうか？

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スタッフの半数以上を解雇

2020年のコロナ禍にローンチした Clubhouse は、β版ローンチから半年も経たないうちに Andreessen Horowitz（a16z）、Tiger Global、10X Capital、TO Ventures など大手 VC の支援を受け、2021年4月の直近の資金調達ラウンドで約3億米ドルを調達し、同社の企業価値は40億米ドルに達した。

ニューメディアの寵児 Clubhouse のローンチは、音声 SNS 市場を煽り、Reddit、Twitter、LinkedIn などが同様のアプリを発表した。しかし、コロナウイルスの流行が減速し、各国が社会封鎖を解除するにつれ、 Clubhouse のユーザ数は激減した。

TheWrap によると、 Clubhouse の月間ダウンロード数は、ローンチから2年間で85％以上減少し、創業者の Paul Davison 氏は今年4月、チームの大幅な縮小を発表し、スタッフの50％以上が解雇される見込みだとした。

ボイスチャット機能のローンチ

Clubhouse は最近、ダイナミックメッセージングとリアルタイム対話の機能を組み合わせたボイスチャットサービス「Chats」をローンチした。Chats では、ユーザが友人とグループを作成し、そこで音声コンテンツを共有することができる。他のユーザがグループを見つければ、別の音声コンテンツを選択し割り込み送信することができ、異なるユーザからのボイスメッセージが徐々に積み重なっていくことで、ダイナミックなメッセージが形成される。

しかし、音声メッセージしか送信できない通常のメッセージアプリとは異なり、Chats では、ユーザの発言を画面上に文字起こし機能が提供される。また、倍速で聞いたり、クリックしてスキップしたり、次の友人の音声メッセージにスライドしたり、最適な聞き方を探すことも可能だ。

音声 SNS アプリの人気を認識した Clubhouse のチームは、ボイスチャットを使用することで、テキストチャットと同じ時間でより多くのコンテンツを共有でき、個々のユーザがより個性を表現できると考えている。

新機能で、ユーザの注目を取り戻せるか

Image credit: Dmitry Mashkin on Unsplash

Clubhouse チームはレイオフを発表する一方で、レイオフは市場に屈することを意味しないと公言し、変革プラン Clubhouse 2.0 をローンチすると発表した。全盛期に数百万人のユーザを魅了した Clubhouse は、新機能によってユーザの心を取り戻すことができるのだろうか？

テックメディア「Engadget」は、Chats のローンチは、 Clubhouse が SnapChat と同じ方向に進んでいることを示しており、全ユーザとのコミュニケーションという旧来のコンセプトから脱却し、自分の友人サークル内のグループによりフォーカスしている、と見ている。

TechCrunch は、公式プレゼンテーションでは明確さが欠けていたにもかかわらず、 Clubhouse の努力を認めたとし、チームは新サービスの開始に自信を持っているが、アップデートがユーザの期待に応えられるかどうかを見極めるるには時間がかかるだろうと指摘した。

Chats はまだ有料化はされていないが、今後ユーザの声を聞きながら、その方法を模索していくとのことだ。Chats 機能のローンチは、チームが変革に対して慎重な姿勢で臨んでいることを示しているが、その方向性や形が現状を変える可能性を秘めているかどうか、Cluhouse チームが公式サイトで語っているように、証明するには時間がかかるだろう。