OpenAIのリリースから考える、2024年に起こるであろう3つのこと

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OpenAI DevDay 2023 の冒頭で基調講演する共同創業者でCEOのサム・アルトマン氏
Image credit: OpenAI

OpenAIの開発者会議「Dev Day」での最新リリースで、カスタムが可能になったGPTs、新しいGPT-4 Turbo、アシスタントAPIが発表された。もちろん、私のようなAI全般のオブザーバーは先週の津波のようなAIの発表に疲れ果てている。

ホワイトハウスのAI大統領令、G7の自主行動規範、英国の安全サミット、AIの「ゴッドファーザー」たちによるXリスク論争の激化、著名なAI著作権裁判の縮小判決、そしてMidjourneyRunwayStability AIからの最新情報があった。

まだある。Scarlett Johannson氏がAIアプリに法的措置を取ったし、Googleが広告主の商品画像にGenAIツールを導入、 AMDがAIチップの販売予測で急騰。コリンズが今年の流行語大賞に「AI」を選出、イーロン・マスク氏がxAIの最初のLLMであるGrokを土曜日にリリースした。

つまり、だ。サム・アルトマン氏が手掛けるAIプラットフォームの多数の新機能と価格変更を発表するのにーー「より安く!より賢く!AGI!AGI!」・・と叫ぶには、これ以上ないタイミングだったのは間違いない。ChatGPTが最初の誕生日を迎えるまであと数週間だ。OpenAI にはまたもやビックウェーブが到来する。一方の私たちはその波にどう乗るかを考えなければならない。

2024年のAI潮流を予測する

VentureBeatに入社して1年半が経った今、AIニュースが飛び交う世界では、毎週いくつかの明確な収穫がある。先週の怒涛の発表ラッシュ後、AIコミュニティの一部は希望の上昇気流に乗っているが、場合によっては恐怖の洪水とともに2024年に向かって疾走しているようにも感じていることだろう。AIに関する最新ニュースの波は2024年にどうなるのだろう?やってくるであろう、三つのトレンドを挙げてみたい。

停まることがないAI開発

7カ月前、イーロン・マスク氏はGPT-4以降の大規模AI開発の「一時停止」を求める公開書簡に署名した。この週末、彼は正反対のことをした。Xからリアルタイムデータを提供するLLMであるxAIのGrokをデビューさせ、皮肉交じりに米国内の限られたユーザーに公開したのだ。

6カ月の休止が有益で実行可能なアイデアだと思うかどうかは別として、マスク氏にとっても、OpenAIやその他のLLM企業にとっても「休止」なんてしてないことは明らかだ。どちらかといえば、2024年はAIの開発が超高速化する年になるだろう。特に、エンタープライズ企業がAIのユースケースを本番稼動させることができるようになりつつある(そして、中国が独自のAIマネーを急ピッチで動かしている)。

規制当局の残業が増える

OpenAIのリリースは、AI規制の発表で慌ただしかった週の後に実施された。しかしこのGPT発表会の大成功は、これが規制当局にとっての挑戦の始まりに過ぎないことを証明している。例えば、バイデン大統領の野心的なAI大統領令は「ワープスピード」級に変化しているAIに追いつくための努力の証かもしれないが、実際は2024年を通して議論され、交渉され、議論されるであろう議会立法のほんの最初のステップに過ぎない。

英国のSafety Summitも2024年に向けてのジャンプオフのポイントとなった。どうやら韓国は半年後に2回目のSafety Summitを開催し、フランスは2024年の終わりごろに、3回目のSafety Summitを開催するようだ。また、EUのAI法が2023年末までに日の目を見る可能性はまだ五分五分だと言う人もいるが(まだ合意されていない文章が100行以上あるらしい)、少なくとも2024年半ばの欧州議会選挙前までは採択されないだろう。

また、これらの規制がどのように施行されるかはまだわからない。

著作権問題で保護されるのは企業であり、消費者ではない

OpenAIの発表の中で、CEOのサム・アルトマン氏は、同社の新しいCopyright Shield(著作権シールド)について言及した。Copyright Shieldとは、「お客様が著作権侵害の法的請求に直面した場合、当社が介入してお客様を守り、発生した費用を負担する」ことを意味すると彼は説明した。

我々の顧客とは、ChatGPTの月額サブスクリプションを購入する個人消費者を意味するのではなく、OpenAIのAPIを利用している企業顧客の開発者を指している。Microsoft、IBM、Shutterstock、Adobeはすでに同様の約束をしており、Google Cloudは数週間前に独自の発表でビジネス顧客に対し、著作権を理由に異議を唱えられた場合、潜在的な法的リスクについては責任を負うと伝えた。

ジェネレーティブAIがますます製品に組み込まれるようになり、著作権関連の訴訟件数が増え続け、LLM企業やクラウドプロバイダーが自らを守り、企業が責任を限定する方法を模索し続ける中、この傾向は2024年には確実に拡大するだろう。

2024年のAIの波に乗る準備をしよう

新年まであと8週間となったが、12月のホリデー期間中に行われる短い小休止の前に、まだまだ多くのAIの発表がありそうだ。2024年、AIの波に乗る準備をしよう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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