ジェネレーティブ(生成)AIライティング拡張で知られるスタートアップのHyperWriteが、人間のユーザーと同じようにウェブを閲覧し、ウェブサイトと対話できる実験的なAIエージェントを本日発表した。
HyperWriteのCEOであるMatt Shumer氏は、Zoomを使った非公開のデモンストレーションで、同社のChrome拡張機能からアクセスできるエージェントが、ドミノ・ピザのウェブサイトに移動して注文を始め、住所と郵便番号を調べて取引を完了する様子を本誌・VentureBeatに紹介した。
デモはクレジットカード番号が入力される前に終了したが、Shumer氏はこの機能は現時点で一部のテストユーザーにのみ有効であると述べた。このエージェントは、基本的なウェブタスクをコマンドで自動的に処理するパーソナルアシスタントのような役割を果たすことを意図している。(実際に動いている様子は彼のツイートを見てほしい)
Today, we’re unveiling Personal Assistant – @HyperWriteAI's groundbreaking AI agent that can use a web browser like a human.
One agent to rule them all.
It’s time to reimagine the way we interact with the internet. pic.twitter.com/csGjtIU0Ip
— Matt Shumer (@mattshumer_) April 12, 2023
爆発的な広がりを見せるAIエージェントたち
TwitterでAIをフォローしている方なら、すでにAIエージェントのトレンドが爆発的に広がっていることを知っているだろう。ニュースフィードはAutoGPTや BabyAGIへの言及で埋め尽くされているはずだ。OpenAIのGPT-4などを搭載したこれらのAIエージェントは、「セルフプロンプティング」や「オートプロンプティング」とも呼ばれるプロンプトを自動生成することができ、最初の入力に基づいてプロンプトをさらに発展・実行し、新しいプロンプトの生成に繋げることができる。
現在、GPT APIを利用したアプリケーションは、基本的にシングルセッションでの利用に限定されており、モデルは以前のインタラクションから情報を呼び出すことができない。これは、個々のクエリーが必要とする「トークン」と呼ばれるデータ量と、トークン数が増えるにつれて顕著になるGPTの幻覚(訳注:GPTがもっともらしい嘘の回答をすること)傾向の問題と関係している。
Shumer氏は、HyperWriteのパーソナルアシスタントエージェントを、「人間のようにブラウザを操作できる、初めてのユーザーフレンドリーなAIエージェント」と表現している。しかし専門家は、人間レベルのウェブスキルを示すソフトウェアは、フィッシングやハッキング、詐欺のような人間に馴染みのある脆弱性を持つ可能性もあるとも警告する。
「我々は、AIが自律的に行動を起こし、タスクを完了する能力の重要性を認識しています」とShumer氏は言う。その上で「しかし、そのようなAIが悪用されて、企業のウェブサイトへのハッキング、通信の操作、ソーシャルメディアプラットフォームでのスパム拡散などが行われる可能性がある場合、潜在的な懸念が生じます。こうしたことは、古い技術ではすでに起こっていますが、こうした悪意のある活動を他者にとって容易なものにしないことが極めて重要」と語った。
安全に展開するためのこだわり
Shumer氏は自分のチームは安全性の問題に非常に重点を置いていると次のように述べた。
「私たちは、正しい方法を見極めたいと考えている。社会全体にとって安全な方法でどのように展開するのか?そして、個々のユーザーにとってもAIエージェントは、自分の知らないところで何かを注文しているようでは困るでしょう。AIエージェントが何かをやる場合、あなたに確認することができるようにしたいのです」。
その上で、「人々にアクセス権を与えつつも、破壊的な活動を防ぐための制約を設けることで、責任あるサービス公開を実現した前例がある」と彼は付け加え「私たちのチームは、このようなモデルを構築し、最大限に活用することにかけては間違いなく最高であり、かなり以前からその潜在的な影響を予測していた」と語っていた。
AutoGPTやBabyAGIのようなエージェントは、テキスト入力を受け付け、出力を提供するシンプルなツールと考えることができる。新しい情報に適応し、時間とともに改善されるシステムにそれらを組み込むことができ、目的のゴールに到達するまでその動作を自律的に繰り返す。GPTは強力とはいえ、とてつもなく危険でAGI的といえるほど高度なものではない。実世界での用途はやや限定的で、基本的な研究タスクはこなせるが、私たちの関心は主にビジネスの生産性に置かれている。
Shumer氏は、「これは、人々の心を揺さぶるものだと思う」と語っていた。「家族、友人など、私が日常的に行っていることをほとんど理解していない人たちにこれを見せると、顎が外れるほど感動する。しかし、私はまた、興奮が正しいやり方を間違った方向に導かないようにしたいとも考えている」。
HyperWriteのパーソナルアシスタントAIエージェントを試すには、Chromeエクステンションをインストールし、早期アクセスをリクエストしてほしい。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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