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何をやるかよりも誰と組むか−−ピクシブ片桐・永田氏が語るビジネスに必要な「こだわりとパートナーシップ」

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サービスを作るにあたって大切なのは、どのような思いで開発するかだ。成功しているサービスの多くは、開発者たちの顔や考えが色濃く反映されている。大きな成長を果たすためには、徹底したサービスに対する思いやこだわりを持つことが求められる。 600万人以上のユーザを誇る世界最大のイラストSNSのpixivは、今も日々数万以上ものイラストが投稿されており、日本のカルチャーを発信する大きなプラットフォームとなっ…

サービスを作るにあたって大切なのは、どのような思いで開発するかだ。成功しているサービスの多くは、開発者たちの顔や考えが色濃く反映されている。大きな成長を果たすためには、徹底したサービスに対する思いやこだわりを持つことが求められる。

600万人以上のユーザを誇る世界最大のイラストSNSのpixivは、今も日々数万以上ものイラストが投稿されており、日本のカルチャーを発信する大きなプラットフォームとなっている。

ピクシブの片桐孝憲氏と永田寛哲氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、事業に対する哲学やサービスづくりにおける大切さ、パートナーシップについてまとめた。

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サービスは、何を理念とするか常に考えろ

mixiがそうであるように、良いサービスは口コミによって広がり、そこから次第にビジネスになっていく。そう考えていた時に、旧友であった永田氏と再会し、意気投合し自社サービスを作ることになった。2007年当時イラストレーターの発表の場が少なく、イラストレーターのギャラリー兼SNSサービスが必要だと考えたのが、pixiv立ち上げのきっかけだ。リリースから20日間で1万ユーザが集まり、pixivの擬人化されたキャラの「ピクシブたん」のユーザ企画が自発的に立ち上がるなどし、そこからサービスが成長していった。

pixivの理念は、リリースした当初は「より多くのイラストを集める」だった。これはGoogleの「世界の情報を集める」を例にするように、シリコンバレー的な思想をベースにあらゆる情報を集めることが、ビジネス展開できるのではと考えた。しかし、リリースから1年がたつ時にユーザから再度「ピクシブたん」の漫画企画が立ち上がり、イラストレーターたちのイラストへの思いに改めて気づかされた。そこで「ピクシブたん」を公式企画化し、pixiv一周年イベントを開催。応募作に書かれた「お絵かきは楽しす」の言葉に感動し、それをもとにコンセプトを刷新。「お絵かきがもっと楽しくなる場所」へと理念を変更した。

これは、当初考えていたシリコンバレー的思想からは外れているかもしれない。しかし、使っているユーザたちが楽しめるよう、ユーザを第一に考えた結果だ。本当に大事なものは何か、それらを常に考え理念に落とし込んで欲しい。

互いに相補関係にあるパートナーを選ぼう

起業直後やサービス開発直後は、毎日失敗の連続だった。事業の途中でお金が尽きる時もあった。こうした辛い状況に陥りがちだからこそ、創業時のメンバーは友達同士でなければストレスに耐えられない。事業を進めていく上で大事なのは、事業の成功や失敗よりも働く環境が快適かどうかだ。ストレスなく仕事ができる環境からいいサービスは生まれやすい。

メンバーそれぞれが相補関係になるのも大切だ。例えば、片桐氏はウェブ的な発想や大胆なアクションができ、永田氏は実務的な仕事やビジネス戦略を組むのが得意なように、2人とも互いに自分に持っていない能力をもっている。自分と出来る能力が同じ相手だと、意見が対立した時に出し抜こうと思う気持ちが芽生えてくる。だからこそ、自分の不得意分野を得意とする相手と組むべきだ。自分が不得意な能力を持っているパートナーだからこそ、どんな状況であってもこいつがいないとダメ、という補完しあう関係になる。

どんな優秀な起業家も、一人では何もできない。一人の起業家とそこに集まる仲間たちが互いに力を合わせることで、世界を変えていける。何をやるかよりも、誰と組んでやるかが重要だ。

パーソナリティに合った事業や役職を選べ

自社サービス含めた事業は、起業家自身のパーソナリティと合っていなければいけない。多くの成功しているサービスは、起業家のパーソナリティと通じるものが多い。自分に合っているからこそ、サービスを開発する時も飽きずに楽しくやり続けられる。

社内の役職も、パーソナリティによる適材適所を踏まえて配置しよう。神田昌典氏が提唱する「桃太郎理論」のように、アイデアと行動力がある起業家の桃太郎役、戦略を組みアイデアを形にする実務家のイヌ役、作業のシステム化や効率化を図る管理者のサル役、グループ全体をまとめ調整役を担うキジ役といった、各々の役職とパーソナリティとの関係性も重視すべきだ。事業を円滑に運用するために必要な考えだと認識しよう。

危機的な状況こそ、飛躍のチャンス

会員が30万人を越えた2008年当時、事業の黒字化を図ろうと資金調達を計画していたが、リーマンショックの影響により不可能となった。調達ができなくなったことで、自力で収益をあげる必然性がでてきた。いかに収益をあげるかに奔走した結果、半年後の2009年にサービス単体での黒字化を達成。こうした苦労の経験が、現在のpixivに活きている。

危機的な状況や制約が多いときこそ、様々なアイデアやクリエイティブな発想が湧いてくる。ピンチの時こそ、そこには飛躍のチャンスがあると考えよう。

受託を経験して分かった「仕事の方法」

pixivが軌道に乗るまでは、受託開発で収益を上げてきた。起業当初は請求書の書き方も分からない状況だったが、やらなければいけない状況の中で仕事の仕方を覚えていった。顧客に接する大切さやお金を稼ぐ意味を身をもって体験できた経験は、現場を通じて得られるものが大きい。

自分で仕事をつくっていく経験など、仕事に対して能動的な意識をもつことの大切さは受託で学べることが多い。いきなりスタートアップをするのもいいが、受託の経験を通じ”ビジネス”の感覚を得ることも大切だ。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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法律を理解することが最初の一歩−−AZX法律事務所雨宮氏が語るスタートアップに必要な「法律のいろは」

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法律というルールを順守し、適切なビジネスモデルや利用規約を作成することが、円滑なビジネス展開に求められる。スタートアップにとって、法律は切っても切れない関係だと考えておくといい。 AZX法律事務所は、主にベンチャー企業向けのサポートに特化しており、ベンチャー企業の法律相談を積極的に展開している。 AZX法律事務所の雨宮美季氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、スタートアップが気をつけるべき法…

法律というルールを順守し、適切なビジネスモデルや利用規約を作成することが、円滑なビジネス展開に求められる。スタートアップにとって、法律は切っても切れない関係だと考えておくといい。

AZX法律事務所は、主にベンチャー企業向けのサポートに特化しており、ベンチャー企業の法律相談を積極的に展開している。

AZX法律事務所の雨宮美季氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、スタートアップが気をつけるべき法律のポイントについてまとめた。

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法律を事前に理解し、円滑なビジネスを展開しよう

インターネットに関連した法律は、そのほとんどが2000年以降に施行されたものばかり。事前に自らのビジネスに適用される法律を理解しておくべきだ。

新しくできた法律ばかりということは、実は、その情報の多くはウェブ上にある。六法全書を買わなくてもウェブ上にある「法令データ提供システム」を見ればほとんどの法令を検索し調べることができる。「景品表示法」や「個人情報保護法」、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」や「著作権テキスト」を、スタートアップに関連する法律についての自身のバイブルにしてもらいたい。

他者の権利を侵害しない名称を作成すべき

スタートアップのサービスが順調にユーザ数を獲得したがある日、そのサービス名称が他の商標を侵害しているとして、差し止め請求をされたケースがある。こうした状況を防ぐために、事前に自己のサービス名について商標権を取得しておくべきだ。

同一のカテゴリーにおける商標が取得されていれば商標権侵害となり、仮に商標が取得されていなくても世間に広く認知されている、もしくは著名な名前と類似の名称のサービスを使うと不正競争防止法違反が問題となる。場合によっては差止めのみならず、損害賠償の対象にもなりかねない。他者の権利を侵害していないかを調べるために特許庁のIPDLを活用する他、外観や呼び名が類似だと判断されるかどうかは専門的な知識が要求されるため、詳細については弁理士へ相談しよう。

利用規約は、運営者とユーザとの間の関係を適切にする

なぜ利用規約を作成するのか。それは、サービス運営者にとってユーザの不適切な行為やクレームに対して適切に対処する、もしくは訴訟時にサービス運営者に有利な証拠として機能するからだ。

適切に対処するためには、禁止事項を明確にすべきだ。他者の権利侵害の禁止や法令違反行為の禁止等の一般的に定めておくべき事項に加えて、サービス上でユーザがやってはいけない事項をできるだけ具体的に明記しておくことが重要だ。

禁止事項に違反した際にペナルティを定めておかないと規約の意味がない。ただし、禁止事項に該当するかの判断が難しい場合もあるため、とり得るペナルティの手段に段階を設けておき、違反の度合いや回数に応じて、最初は投稿の削除、次にサービスの利用停止、最後にアカウント削除とするなどの措置を規定しておこう。

免責事項には、サービスの内容に関して責任を追わない範囲を明確に定めておくことも大事だ。消費者契約法上の規制があるため、いかなる場合も一切の責任を追わないとする規定は無効となる場合がある。運営者が責任を負う想定を踏まえ、損害賠償の範囲を限定したり、上限を定めておこう。特に有料や課金モデルを採用しているサービスは注意が必要だ。

それらを踏まえて、利用規約は自社のサービスに合わせて細かく設定して作らなければいけない。そのために他社や競合の規約を研究し、自身でドラフトをつくることで規約に対する意識が高められる。また、弁護士に相談するときも費用が抑えられるメリットもある。

同意の意志を明確に表示させる

実際の訴訟時においては、利用規約に同意を得られたかどうかが争点の一つになる。利用規約はサービスについての運営者とユーザの間のルールを定めるツール。ユーザに利用規約を理解してもらった上で、申し込みの手続きをさせよう。

同意クリックが要求されてなかったり、目立たない場所に規約が掲載されているだけや、利用規約に従って取引がなされることが明記されていなければ不十分だ。しっかりと利用規約を読ませる仕組みを作り、同意を得よう。

上記に関しては、利用規約Night vol2で片岡玄一氏がプレゼンしたスライドも参考にしてもらいたい。

その他の投稿情報の権利帰属やM&A対策も

将来的にM&Aを実施する可能性がある場合、利用規約にサービスの譲渡を前提にした条項を入れておくとよい。サービス上に投稿された情報の帰属や使用許諾範囲を明確に定めておくことが、マネタイズを含めたその後のビジネスがスムーズに展開される。様々な状況を想定し、サービスの将来を踏まえた規約を作成してもらいたい。

例えば、M&Aを想定した条項例としては、以下のようなものを踏まえるとよい。
第●条 本規約の譲渡等
1. ユーザは、当社の書面による事前の承諾なく、利用規約上の地位又は本規約に基づく権利若しくは義務につき、第三者に対し、譲渡、移転、担保設定、その他の処分をすることはできません。
2. 当社は本サービスにかかる事業を他社に譲渡した場合には、当該事業譲渡に伴い利用契約上の地位、本規約に基づく権利及び義務並びにユーザの登録事項その他の顧客情報を当該事業譲渡の譲受人に譲渡することができるものとし、ユーザは、かかる譲渡につき本項において予め同意したものとします。なお、本項に定める事業譲渡には、通常の事業譲渡のみならず、会社分割その他事業が移転するあらゆる場合を含むものとします。

個人情報だけでなく、利用者情報を考慮

いままでのプライバシーポリシーは、個人情報の観点から事前に公表しておくべき事項を、網羅的に定めるものとされてきた。そのため、個人情報を対象にした使用目的の特定や第三者提供のルールの明示、開示・変更請求等への対応などが規定されていた。

しかし、現在のスマートフォンを使った環境においては、個人情報だけでなく通話履歴や位置情報、端末固有IDといった様々な利用者の情報を取得していることが多い。個人情報だけでなく「利用者情報」に配慮したプライバシーポリシーを作成しよう。総務省が発表した「スマートフォンプライバシーイニシアティブ」を踏まえたものを作成することが望まれる。

*参考資料
個人情報の保護に関するガイドラインについて 
個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン
・ウェブサービスでは特に経済産業省分野のガイドライン が重要
個人情報保護法に関するよくある疑問と回答
MCF「スマートフォンのアプリケーション・プライバシーポリシーに関するガイドライン」

ECにおいては支払いや広告は明確に表示すべき

インターネットでものを売る際には、特定商品取引法上の「通信販売」にあたる。この規制内容は「消費者生活安心ガイド」を確認してもらいたい。BtoCのような消費者から直接お金を頂くものは基本的に全て該当する。規制の対象や表示すべき事項の規制、前払いにおける通知義務や、申し込みの画面遷移の際に誤解させない仕組みを構築しなければならない点は、注意が必要だ。

返品に関しては、返品の可否がどちらであっても明確に規定しなければいけない。規定をしていなければ、法律の定めにより返品が認められてしまう。これはいわゆるクーリングオフとは異なり、明確に返品特約が定められていれば、その定めに従わせることができるというものだ。通信販売に関しては、ユーザの意志が抑圧される程度が低いため、ユーザはクーリングオフ制度は適用されない。返品特約が効力をもつよう、サイト上で認識しやすい表示をする必要がある。さらにECでは、最終申込みのページでも返品特約を表示する必要がある。返品特約がしっかりと明記されているか、あらためて確認しよう。

そのほか、景品表示法や薬事法のチェックや、メール広告においては「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」に注意するといった、対象物や対象サービスによって別の法律が適用される可能性もある。

ECに関する法律に関しては、ガイドライン含めて頻繁に改正されるため、最新の情報を確認することが必要だ。摘発事例を反面教師として把握しておくことも重要だ。

*参考資料
電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る 「容易に認識できるよう表示していないこと」に係るガイドライン
インターネット消費者取引にかかる広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項
不当景品類及び不当表示防止法第4条第2項の運用指針―不実証広告規制に関する指針
不当な価格表示についての景品表示法の考え方

契約上におけるお金とモノの流れを明確に把握する

クラウドソーシングサービスのような、製造者とユーザとの間に取引を繋ぐ場を提供している形式の場合は、契約上の形態に応じて対処が違う。モノやお金の流れが同じであっても、会社が製造者からモノを購入してユーザに販売する「売買型」(当事者型)と、取引自体は製造者とユーザがやりとりをし、会社はその取引の仲介をするだけの「仲介型」があり、それぞれに応じて責任の所在が変わってくる。

売買型では、担保責任を負うことになるが製品に関しての品質管理ができる。仲介型では、その仲介行為についての許認可が必要だ。貸金業の登録や旅行業といったそれぞれのビジネスモデルに最適な許認可を確認しよう。

売買型や仲介型以外に決済手段提供型のモデルの場合は、自社が一時的であれ受け取ったお金は製造者もしくはユーザのお金であり、人のお金を預かっている意識を持って欲しい。他者のお金を預かることについては、出資法や銀行法、資金決済法に抵触しないか、法律と照らし合わせながら対応すべきだ。

どういったビジネスモデルであれ、誰が契約者当事者で誰と誰の間の契約なのか、契約上における「モノとお金」の流れを明確に把握しておくことが大切だ。

この論点については、AZX代表の後藤勝也弁護士が登壇されたモビーダスクールレポートも参照してもらいたい。

著作権の意識を常に持とう

ウェブサービスにおける画像等の取り込みはどこからが著作権を侵害するものとして違法なのかを注意しなければいけない。日本の法律では、無断で他人の著作物をコピーすることや改変を加えることは原則として著作権法違反となる。著作権者の同意を得るか、著作権法上の使用が認められる私的複製の要件等を満たせば問題ない。しかし、著作権を侵害していなくても他社のビジネスを侵害する恐れがあるものは、不法行為として違法になる可能性がある。

先般の著作権法の改正で著作権者の同意なしに著作物を利用することの範囲は少しは広がったが、包括的なフェアユースの規定は制定されておらず、その範囲はいまだ限定的である。むしろ、判例は厳しくなる一方である。

ウェブは安易に転載ができてしまうからこそ、著作権に対する意識を常に厳しくしてもらいたい。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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アクションがなければ何も始まらない−インフィニティ・ベンチャー・パートナーズ小野氏が語る「起業家の精神」

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本企画は起業家向けスクール「MOVIDA SCHOOL」で語られた、業界キーマンの語録をお伝えするシリーズです。MOVIDA JAPANの提供でお送りします。 ベンチャーと人生は似ているかもしれない。日々の新しいチャンジから巻き起こる失敗や経験を通じて成長するか、現状に満足して時が過ぎるのを待つか。どうするかは自分の強い気持ち次第であり、強いビジョンを描けば描くほど、その先にある経験や成長も大きい…

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本企画は起業家向けスクール「MOVIDA SCHOOL」で語られた、業界キーマンの語録をお伝えするシリーズです。MOVIDA JAPANの提供でお送りします。

ベンチャーと人生は似ているかもしれない。日々の新しいチャンジから巻き起こる失敗や経験を通じて成長するか、現状に満足して時が過ぎるのを待つか。どうするかは自分の強い気持ち次第であり、強いビジョンを描けば描くほど、その先にある経験や成長も大きい。

小野裕史氏は2000年にCAモバイルを立ち上げ、日本のモバイル広告市場を大きく築いた人物だ。現在はインフィニティ・ベンチャー・パートナーズ(IVP)として日本と中国の架け橋となり、中国のベンチャーの日本進出や、日本の成功事例をもとに中国の市場に展開したい企業らの支援をしている。

また年2回のInfinity Ventures Summit(IVS)を開催し、日本のスタートアップと経営者などのネットワークをつくっている。また、100キロマラソンや南極大陸マラソンなどを走るランナーとしても有名な人物だ。

VCでもあり起業家でもある小野氏が、ベンチャー経営とマラソンの話を軸に「MOVIDA SCHOOL」で語った、ベンチャーに必要なビジョンとアクションの大切さについてまとめた。

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現状とビジョンのギャップをどう埋めるか

VCの仕事は現状を把握し、未来を読むこと。将来伸びる可能性のあるものを探し、その分野や市場について考え、どうやってのばしていけるかを探求していく。IVPは、それだけでなく場合によってはベンチャーを自分たちからつくることもある。ゼロから経営陣をつくりあげ、ビジネスモデルを構築する。現状を分析し未来の市場を開拓していく思いを持っている。

ベンチャーに必要なものはビジョンを描くこと。そして事業モデルやマーケットの状況、競合の様子、人事、財務、戦略などあらゆるものを分析していく。そこから、現状と描いたビジョンとのギャップを埋めるために必要なことを、常に考えていかなければいけない。

ビジョンを具体化するためにKPIを把握する

現状からビジョンへのギャップを埋めるためにはKPIを設定しなくてはいけない。漠然とKPIを考えようとしてもつかみにくい。そのために、現状分析からKPI設定に至るまでのシミュレーションをして考えてみる。

例えば、とあるベンチャーが日本一のラーメン屋を目指したいとする。市場調査によると日本のラーメン市場は4027億規模で店舗数は15800店。1店舗当たりの平均は2500万円。また、日本一のラーメン屋は1社で売上が140億円、店舗数は195店。これを一つのターゲットとして考え、10年で年商150億円、店舗数は300店舗を目指すことをKPIとする。

この数字をブレイクダウンしていく。150億円で300店舗、つまり店舗平均売上が5000万円。そこから客単価や年間の顧客数を設定する。客単価を800円とすると年間約62500人であり、それをデイリーで割ると1日172人の顧客を獲得する。店舗の1日の回転率などから計算すると、席数は約22席は必要かもしれない、ということが導き出される。

このように、最初の年商150億という数字から次第にブレイクダウンしていくことで、具体的な数字がそれぞれ見えてくるようになる。ビジョンから具体化へのブレイクダウンを常に考えてもらいたい。

PDCAで一番重要なのは「Do(アクション)」すること

KPIを設定しそこから数字を導き出す。しかしこうした数字もすべては机上の空論。うまくいくことはほとんどない。そのため、PDCAサイクルをまわしながら、日々改善が必要だ。

その中でも一番重要なのは「Do」すること。ラーメン屋の例だと、日々の売上を向上させるためにどうするか。やって始めて分かることがあり、その経験をもとに改善案を導きだす。例えば客単価をあげるためにメニューを追加してみたり、店員のオペレーションを改善し回転率を高められるかもしれない。具体的な数字の中で、限られたKPIをどう修正し目標へと到達するかを、改善点やプランの修正しながら進めていくことが大切だ。そのためにも、まず始めることが大事だ。

資金を使い時間を有効活用する

あらゆるベンチャーにとって資金が重要になる。ラーメン屋の例だと、1店舗をつくるのに初期コストとして1500万円かかると言われている。月間利益が50万円だと計算すると、2店舗目をだせるのに30ヶ月かかる。300店舗の目標に達するには192ヶ月もかかってしまう。これだと当初の10年に間に合わない。

しかし最初に1億5000万円があればどうなるか。最初から10店舗出店し、月間利益が500万円になる。計算すると300店舗には94ヶ月で到達し、これで目標の10年に間に合う。

こうした事業計画をもとに、資金によって時間の有効活用ができる。その支援をおこなうのがVCだ。銀行などの融資だと返済があるが、出資は返済ではなく株式をシェアする。事業リスクをともに考え、ベンチャーの新しいチャレンジを応援していくことがVCの役割だ。資金をもとに、ビジョンへの最短距離を走りだしてもらいたい。

ビジョンを強くもつことで、会社の方向性が決まる

ラーメン屋の例で説明したが、ネットのビジネスもラーメン屋と同じ考えだ。GoogleやFacebookでさえ、クリック課金広告を高めるために広告表示とクリック単価という計算式を日々おこないながら、KPIを設定しPDCAをまわしている。アプリも、どれだけDLさせどれだけコンバージョンするかという計算式をもとにしている。

これらの数字は現状分析をするためのツールであり、そのツールをうまく使うためには、強くて明確なビジョンが前提になければいけない。自分のビジョンが強固でなければ、何をしていいか分からなくなり、さまよいはじめる。その会社がどこに向かおうとしているのか。しっかりとした強いビジョンをもってもらいたい。

アクションがなければ何も始まらない

僕は個人的にマラソンをしている。南極100キロマラソンや北極マラソン、ゴビ砂漠マラソンに参加したところ、多くの仲間との出会いや、辛い経験から得られた感動があった。

けれども、最初にランニングを始めたのはほんの数年前。ダイエットしよう、と思ったのがきっかけだった。はじめは5キロが限界だった。やっていくうちに10キロ、20キロ、フルマラソンと走れる距離が伸びてきた。それに応じて、もっとチャレンジしてみようと思うようになった。最初から100キロマラソンを走ろうと思うと心が折れそうになるが、つねに目の前の小さなマイルストーンを目標にやっていくことで成長ができた。

最初から自分がマラソンを走ることを想像していたわけじゃない。けれども、小さなきっかけでもいいから何かチャレンジをすることで見えてくるものは多い。アクションがなければ、待っていても何も始まらない。

ココロの羅針盤を頼りに全力で走り続けること

自分になにができるか、どんな未来が待っているかは誰もわからない。けれども、ゴールを目指すのではなく「ココロの羅針盤」を頼りに、大きな自分の方向性だけ見失いようにすればいい。時に大失敗をするかもしれない。けれども、それは動いたから見えたものであり、動かなかったら見えなかったものかもしれない。その失敗を自分のPDCAとして改善を図れることで次への成長ステップを踏むことができる。

Appleのスティーブ・ジョブズも最初からiPhoneを作ろうと考えていたわけじゃない。けれども、事業の失敗も成功も経験し、自分と向き合い見えてきたものがあるからこそジョブスの活躍があった。同じように、まず僕らもチャレンジしてみることから始めよう。僕の言葉で表現すると「ノータイムポチリ(ノーポチ)」。思った瞬間に後先考えずに行動することを大切にしてもらいたい。

最後に、動いたことで出会うはずのなかったたくさんの仲間と出会ったり、その出会いを通じて一期一会の大切さも実感してきた。そして、いかにたくさんの人に支えられて自分が生きているのかがわかる。人生は有限で一回限りだからこそ、今日一日を懸命に生き、日々チャレンジを忘れずに行動するべきだろう。

(企画/協力:MOVIDA JAPAN)
(担当ライター:江口晋太朗)

MOVIDA JAPANの起業家支援プログラムに興味のあるスタートアップや起業家の方は下記のフォームから必要な事項をお送りください。今後、オープンイベントなどが開催される際に情報をお送りさせて頂きます。

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「稼ぐ力」をつけて欲しいークラウドワークス吉田氏が語る7つの事業ヒント

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事業を展開するには様々な能力や資質が問われてくる。ビジネスモデルを構築し、お金を稼ぐ環境をつくりあげなければいけないし、事業のスケールにはアイディアだけではなく、ビジネスとして落としこむ能力が必要だ。 クラウドソーシングサービスを展開しているクラウドワークスは、新しい時代における働き方を支援するためのマッチングサービスとして展開。サービスリリースから僅か8ヶ月でシリーズA3億円の資金調達をおこなう…

事業を展開するには様々な能力や資質が問われてくる。ビジネスモデルを構築し、お金を稼ぐ環境をつくりあげなければいけないし、事業のスケールにはアイディアだけではなく、ビジネスとして落としこむ能力が必要だ。

クラウドソーシングサービスを展開しているクラウドワークスは、新しい時代における働き方を支援するためのマッチングサービスとして展開。サービスリリースから僅か8ヶ月でシリーズA3億円の資金調達をおこなうなど、事業を大きく展開している。

吉田浩一郎氏は、クラウドワークス創業前から海外で事業を展開し、出資をうけることなく事業をスケールさせるなど営業と事業推進に対するノウハウをもっている。事業の本質を見極め、どうすれば成長できるか。吉田氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った事業に必要なポイントについてまとめた。

ユーザエクスペリエンスの時代

クラウドワークスが日々意識していることは、UXを大切にしていることだ。これまでエンジニアが重宝されてきたが、いまはそこからさらに一歩踏み込み、エンジニアもデザイナーも企画も一緒になって事業をつくっていく意識をもたなければいけない。

かつて車が登場したときを思い出してほしい。それまでは移動を楽にすることを目的にスムーズに走れればよかったものが、そこからカラーや車種などのデザイン重視に移行した。つまり機能性からデザインの時代となった。

しかし、いまや車だけではなく体験を売る時代へと変化してきた。つまり、車単体で差別できる時代でなくなったからこそ、人の体験をどうつくっていくかを考えないといけなくなった。インターネットの事業もまさに同じ。メールやブラウザが登場した時代から、それらが当たり前になった時代にインターネットを通じてどういった体験を提供できるか。

今のインターネットの世界はどこか見たことがあるものばかり。だからこそ、ユーザに何を提供するかを考えないといけない。

コンセプトから課題発見ー改善案実装までを一貫させる

UXを深め、どういった体験をユーザに届けるか。そのためには、事業のコンセプトを明確にしなければいけない。クラウドワークスは「ワンクリックで世界の仕事とスキルにアクセスを」というコンセプトを掲げ、世界にいる人のスキルと空き時間の可視化、それによるマッチングを目指している。

ウェブが当たり前になった時代だからこそ、いつでもどこでも簡単に仕事のやりとりができ、ウェブの仕事をもっと身近に、便利にしていきたいと考えている。

そのコンセプトをもとに、全社員が事業の課題発見をおこなう。入社した者でさえすぐにサイトの使いにくいところを数日かけて洗い出させる。その後エンジニアやデザイナーなど関係なく改善の実装段階まで各人が落とし込む。課題発見から改善案実装までを責任をもって遂行することで、一貫した修正がおこなえる。そのために、最低限のSQLなどのスクリプトを覚えてもらう。

エンジニアのために、非エンジニアは改善案をすべてシートにまとめて可視化させる。そして、なぜ使いにくいかを他のサービスからも比較し研究する。クラウドワークスは、20人ものスタッフと遠隔でやりとりをおこなっている。

エンジニアと非エンジニア間のコミュニケーションの齟齬をなくすために、共通言語によってドキュメントをつくって共有している。これは、作業をするエンジニアに考えさせることがないよう、全員で設計して作業環境をスムーズにするための方法だ。

事業のミッションを見据えること

事業を運営していく上で大切にしたい3つの経営の柱がある。

事業の存在としてのミッション、具体的な事業目標としてのビジョン、そして行動指針としてのバリューだ。事業を展開していく上で一つ一つの行動指針を大事にし、事業目標を確立し、ミッションへと向かっていく。これを会社の三原則にしている。

クラウドワークスのミッションは、これまでの20世紀的な会社という組織形態から、21世紀のワークスタイルをつくりだすことをミッションにしている。これまで、会社という組織ではできなかったことができる社会にしていく。それによって、個人からみた効率化や個人の価値の最大化によって社会の発展と個人の幸せに貢献していく。

そうしたミッションをもとに、事業目標を据え行動指針にまで落としていく。事業としてのミッションといまの状況を常に照らし合わせながら、日々を見つめなおしてもらいたい。

出資をうけなくても事業を進められるという経験

クラウドワークスを2012年3月に創業したが、それ以前まで4年間ベトナムなどで事業をおこなってきた。そのときに、自分の資本だけで運用し、事業を発展させてきた。

クラウドワークス創業後すぐにエンジェル投資家やベンチャーキャピタルから投資をうけた。それは、4年間事業をやってきた中で苦手としているスキルのカバーや、立ち上げ直後の火付けのために自分ではなかなかリーチできない層に対するネットワークをつくるために出資をうけ、共に事業を成長させてきた。つまり投資家に対してお金を求めるだけではない「交渉」ができた。それは出資を受けなくても自己資金でまわせるだけの資本、そして運用できる自信と営業経験があったからだ。そのおかげで、投資家にとっても事業に対する信頼性をもってもらい、投資家とのやりとりにおいても、出資における時価総額に関して有益な交渉をおこなうことができる。

当たり前だが、事業を成長させるためにはお金を稼げる能力をもたないといけない。そのためには、本当に情熱をもてるものでなければ事業は続けられない。日夜事業のことを考え、行動しているか。とくに出資をうける意識をもっているならなおさらだ。しかし、本来は出資をうけなくても自分の力で事業を成長させる気概をもたなければいけない。そうでなければ、事業を進めることは難しい。

お金には3つの種類がある

事業を展開していく上で最初は出資はうけないほうがいい。なぜなら、お金は自分のお金、借りたお金、出資のお金と3つの種類があり、それぞれに意味が違うからだ。

自分のお金はもっておくと貯蓄で増えていく一方だ。しかし、借りたお金は利息が発生するため持っておけばもっておくほど減っていく。できるだけ早く使い、返さないといけない。出資のお金は、利息はつかないが社会的信用がついてくる。お金の使い方を誤ると、それ以降の事業や自分自身の進路にも影響してくる。

同じお金でも扱いが違うということを認識してもらいたい。その中で、自分でしっかりと稼いだお金をもっていることは、相手に信用をもたれ、さらに自分のお金だからこそ試行錯誤できる。

事業家と投資家の利害の違いを把握すること

事業家と投資家(※ここではベンチャーキャピタルの意味。個人投資家のことでは無い。)は良いパートナーシップを組み、ともに事業を成長させていく存在だ。しかし、事業家と投資家が見据えているゴールは違う。事業家は社会に対して最大限の価値を提供していきたいと考えている。その思いに期限はない。

しかし、投資家はいつまでにリターンをだす、というミッションがある。そのために期限が存在する。事業を成長させたいという入り口は同じだが最終的な利害関係が違うのだ。

だからこそ、立ち上げにおいて同じ思いの人たちで基盤をかため、自分たちだけでもやれるという自信と結果をつくっておくことが大事だ。それによって、投資家にどういう力を借りたいかということが交渉できる。事業家と投資家というプロとしての関係性の中でやりとりをおこなってほしい。自分自身でお金儲けができない事業家は、投資家と対等にやりとりはできない。

自己資金を「稼ぐ力」をつけて欲しい

事業の本質は、外側だけ見ていてもまったくわからない。メディアが報じるような華々しい世界は事業の中には存在しない。多くの事業の基本原則は一緒で、人にメリットを提供しお金をいただいて仕事をおこなう。

そのため、事業において最も重要なのは機能やデザインではなく営業だと認識してもらいたい。地道にクライアントに対応し、真摯な態度でやりとりをおこなうことだ。また、オンラインにおいては、例えばサイトの文言一つ、クリックさせたあとの導線一つ変えるだけでもCVRが変わってくる。顧客のためのUXを考え、KPIを設定し、数字達成のための研究をおこなう営業こそが事業を左右する。そのため、実際に営業経験があると強い。目に見えない営業こそ、事業の土台を形成する。

事業の表面にはでてこない地道な営業や努力を通じ、自己資金を稼ぐ力をつけてほしい。そのときに、ファイナンスや投資家とも対等にやりとりができる力がつく。事業の本質を見極め、まわりの綺麗事に惑わされることなく進んでほしい。

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大切なのは、アイデアをエグゼキューションする力 ー GREE Ventures 堤達生氏が語る投資で外せない8つのポイント

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GREE Venturesは、インターネット・モバイル関連のスタートアップ企業に特化した投資と支援を実施しており、最近では東南アジアでも投資活動をおこなっているベンチャーキャピタルだ。 これまで新規事業開発とベンチャーへの投資などの領域を中心にキャリアを歩み、現在はGREE Venturesの投資事業責任者である堤達生氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、投資判断のポイントについてまとめた。…

GREE Venturesは、インターネット・モバイル関連のスタートアップ企業に特化した投資と支援を実施しており、最近では東南アジアでも投資活動をおこなっているベンチャーキャピタルだ。

これまで新規事業開発とベンチャーへの投資などの領域を中心にキャリアを歩み、現在はGREE Venturesの投資事業責任者である堤達生氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、投資判断のポイントについてまとめた。

スタートアップが成長し、成功するために、投資家の存在を欠かすことはできない。資金だけでなく事業のノウハウやネットワーク、様々な影響をスタートアップにもたらすのがベンチャーキャピタルであり、スタートアップのエコシステムを形成する重要な要素だ。

投資ステージに対する理解

投資家にとって投資先の企業が、今どのステージにいるのかは非常に重要。自分が一番好きな投資のスタイルは、シリーズAへの投資。シリーズAは、各ステージの中で一番リスクが大きく、よくわからない状態のとき。そのときに大きくお金をいれて、12〜18カ月の短期間でしっかりとハンズオンする。そういう投資を実施している。このステージへのファイナンスは日本ではあまりプレイヤーがいない。

シリーズAへの投資に向けて必要な動き

シードラウンドの資金調達が終わったら、シリーズAに向けて投資家の人たちとコミュニケーションをとっておいたほうがいい。出資の意思決定まで、話始めてから通常3カ月ほどはかかる、早くても2カ月は時間が必要になる。

シリーズAのステージではまだ事業としての不確実性が高い。投資家側からすると、その企業に1億、2億円を出資するのでリスクが高い。いきなり投資の話をもっていくよりも、シードラウンドが終わってサービスがまだモックの段階くらいから少しずつコミュニケーションをとり、関係を構築しておくほうがいい。

投資家への相談ごと

「30分でもいいから時間ください」と今すぐ資金調達する予定ではないのだけど、話を聴いてもらいたいと連絡してみる、アポイントをとってみる。困っていることを相談するのもありかもしれない。基本的に投資家は時間をとって会ってくれるはず。

ハンズオン投資

ベンチャーキャピタルが出資先ベンチャー企業の経営に深く関与する投資スタイル、ハンズオン投資のスタイルをとっている。これはスタートアップのオペレーションの手伝いをするということではない。少し先の未来において経営にとって、最も必要なことを導き出し、その解決策を提示し、仕組み化することをハンズオンだと捉えている。

日々のオペレーションに気を取られていると、足元しか見なくなってしまう。投資家の役割は、起業家が足元しか見えなくなっているときに、その顔を上げさせること。スタートアップの課題発見、解決、仕組み化を徹底して実施する。これが自分にとってのハンズオン投資。

大切なのは、アイデアをエグゼキューションする力

アイデアだけに価値はない。自分が考えたことは大体ほかにも100人くらい考えている人がいると思っていい。エグゼキューションする力があるかは「アイデアを形にする業務フローがイメージできているか」「フローのイメージを可視化、数値化できているか」「フローを各メンバーに分担できるか」「退屈なことを厭わないチームか」といったことから判断できる。

つまらないこと、地味なことでも真面目にやり切れるかどうかがとても重要。思うこととやることは違う、エグゼキューションにこだわること。

競争優位性を生み出す汗かきポイント

投資の判断をするとき、美しいビジネスモデルの話には興味はない。大体ビジネスモデルは変化してしまうし、事業計画書の段階で提出されたビジネスモデルがそのまま進むことはほとんどない。どこで判断するのか。投資家として「あなたとあなたのチームが、何に頭と時間を使っているのか」を質問する。そのチームがどこで汗をかいているのか、そのポイントが競争優位性につながる。

何に頭と時間を使っているのか、そこから強みが生まれるので、それを意識してプレゼンテーションしてもらえると、投資家としては強みを理解しやすくなる。

マーケットが今抱えている課題を解決する

マーケットが大きいほうが良いが、見えない膨大な顧客よりも、自社の商品やサービスにすぐにでもお金を払いたいという顧客が誰かをしっかりと考えることが大事。ビジネスモデルは、一から作り出すクリエイションモデルとリプレイスモデルに分かれる。既存サービスへの不平不満を解決する、リプレイスモデルのほうがビジネスとしての成功確率が高い。

最初のマネタイズポイントを明確にしておくこと。 そこからお金がとれることがほぼわかっていることがシリーズAの投資ステージでは重要。

大企業との提携をうまくいかすには

スタートアップは大企業と提携することも重要。その際に必要なことは相手のプロトコルを理解すること。この人達は何をもとめているのか。大企業の人が気にするポイントを抑えておく。手順、お作法的なものを知っておくことで、随分と受け入れられ方が違う。

自分たちがわからないのであれば、ベンチャーキャピタルの人に聞いたほうがいい。大企業の人たちも忙しい。いかに効率的に稟議書を回すかなど、短期間で相手に理解してもらうためにはコツがいる。

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キャピタリストは起業家のサポーター−インキュベイトファンド和田氏が語るパートナーシップにおける5つの考え

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事業を成長させるのは、なにも起業家だけではない。事業を応援してくれる人がいて成り立つものだ。そうした意味で、キャピタリストという存在は事業を成長させるために必要なパートナーだ。 25歳でベンチャーキャピタリストとして独立した和田圭祐氏は、現在インキュベイトファンド代表パートナーとして、インターネットビジネスに特化し“First round and Lead position”のスタイルで、起業家の…

事業を成長させるのは、なにも起業家だけではない。事業を応援してくれる人がいて成り立つものだ。そうした意味で、キャピタリストという存在は事業を成長させるために必要なパートナーだ。

25歳でベンチャーキャピタリストとして独立した和田圭祐氏は、現在インキュベイトファンド代表パートナーとして、インターネットビジネスに特化し“First round and Lead position”のスタイルで、起業家のファーストステップを支援している。

インキュベイトファンドの4名のパートナーはこれまでに150社以上もの投資をおこなってきたが、最も多くてがけてきたのは創業直後のタイミングで1000万から3000万程度を出資するものだ。

和田氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、起業家とキャピタリストとのパートナーシップについてまとめた。

ゴール(事業の方向性)が明確で魅力的かどうか

出資の判断基準の一つとして、何を目指していて、そのために事業をどういった方向で進めたいかをしっかりと起業家が考えているかどうかを重視する。

なぜその事業をおこなうのか。その事業の背景にある原体験や実現したい理想が明確に語れないと応援し甲斐がない。チームメンバーがその情熱を燃やし続けられるように、魅力的なゴールを大事にしてもらいたい。

では魅力的なゴールとはなんなのか?和田氏は以下のような点を意識している。

事業テーマや目指している理想像を聞いた時に「誰もが理解でき、賛成できると思えるかどうか」が大切だ。また現在視点でははく「5年後でも色褪せない長期的なテーマを設定しているかどうか」。時代の流行や流れに左右されるのではなく、永続的な発展が望まれる事業であってほしい。また「人間の根源的な欲求に根ざしており、同時に、こうありたいという理想像を提示できる」ような内容は、多くの人の共感や賛同を得ることができる。

上記の視点だけが全てではないだろうが、ぜひ誰もが期待と応援をしたくなるビジョンを掲げてほしい。

チームの魅力(=実力+伸びシロ)を伝える努力を

起業家には関係者にチームの魅力を伝える努力が必要だ。そのためには、チームメンバーがこれまでにどんな経験を歩んできたか経歴を示すことはもちろん大事だが、それだけでなく、どれだけ成長の伸びシロがあるかにもキャピタリストは期待している。

起業家が和田氏に提出するプレゼンや資料は見栄えが不十分でもよい。それよりもマーケットの分析や競合他社と自社との優位性などについてしっかりと情報を整理しており、事業展開に対する議論の材料が用意できているかの方が大切だ。なぜならば、現在のプランの完成度の高さよりも、実行力や柔軟性の方を重視しているからである。

起業家としての伸びシロは、日々の事業に対する姿勢からも感じ取ることができる。例えば、1日中つねに事業のことを考え活動し、情報収集意欲と学習意欲が旺盛で数字に対する意識をもち、謙虚で素直に行動するような人物は、会う度に日々のアウトプットを明確に語り新しい発見や成長のヒントを持込んでくるので、事業への真剣さを感じられ信頼を勝ち取れる。

そうした意味では、若い起業家チームの伸びシロは大きいと感じる。若い起業家は、ときにキャピタリストの予想を上振れするほどの成長を感じさせる瞬間がある。だからこそ、キャピタリストは起業家の触媒となり、成長を最大化できる存在でありたいと考えている。

事業の成長速度を高めるために、数字をしっかりと組織全体に浸透させる

事業をさらに成長させるためには、必要な数字を把握し説明できなければいけない。必要なKPIを定め、成長の方程式をもてるよう考える。この方程式を磨いていく成長を実現するためには、経営者だけでなく、組織全体までマネジメントすることが大切だ。そうすることで、チーム全体が個々の役割分担や役割意識をもつことができる。

そのために、経営会議などをはじめとする組織づくりをしっかりと強化してほしい。日々の事業の展開においてどれだけ組織として運用できているか。KPIの共有、施策立案、実行、検証の一連のサイクルが基本動作として揃っていないと、日々の改善すら満足にできない。マネジメントの重要性を意識し、しっかりとした組織づくりを伴った経営を心がけてもらいたい。

現在の成長率と収益性を踏まえつつ、その延長線に見えている今後の成長戦略を壮大に語るべきだ。

交渉のルールをお互いに守ることで、事業の成長に集中する

キャピタリストとの関係では、資本政策における最低限のルールを理解すべきだ。そして、あくまで交渉というやりとりにおいては、駆け引きのみに終始することなく、交渉の基本的マナーを大事にしてほしい。もちろんキャピタリスト側にも同様にマナーは求められている。交渉とはつまり、何を出して何を引くか。なにをとってなにを相手に提示するかという譲り合いであるということだ。自分の要求だけを押してもよい関係は築けない。

また、交渉が長引くことが時にあるが、それは本来はあまり望ましいものではない。事業の成長を第一に考えることが大事であり、これに集中することは忘れてはいけない。

挑戦者と、それらを応援するサポーターの関係を築く

キャピタリストとしての基本的な役割の一つは、「花粉の運び手」みたいなものだ。他のスタートアップや起業家の業務範囲の外側からアイディアをもちこむことで、企業のイノベーションや成長を誘発する役割を担う。

そのためにも、そのキャピタリストのポートフォリオが、自分たちの参考になる領域に精通しており、同時に各社との深い関係性があるかを重視すべきだ。自社事業にとってのキャピタリストの位置づけや期待値をしっかりと見定めた上で関係を構築しよう。

また、同時に「ボクサーのセコンド」の役割も担っている。起業家の成長の伸びシロへの期待と応援があるからこそ、起業家が辛い状況であると理解し、重要な局面ではエールを贈り、そして失敗したときにも傷を癒す存在であるべきと考えている。起業家も、そうした関係を作りたい、作れそうだと思うキャピタリストと仲良く関係を築いてもらいたい。上述の交渉の仕方にも関連するが、株式を巡った奪い合いの関係ではなく、一緒に挑戦する仲間とお互いに思えるかが大事だ。

つまり起業家とキャピタリストの関係は、高い志で挑戦する創業者とそれを応援するサポーターの関係なのだ。強固なパートナーシップをもって、二人三脚で事業を進めてもらいたい。

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変化の兆しを感じとれ – アクセルマーク尾下氏が語る、ベンチャービジネス理想と現実7つのヒント

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スタートアップ経営者は理想を掲げてまい進するが、現実は必ずしもうまくいくわけではない。理想と現実を把握し、それでも着実と前へと進み続ける経営者だけが事業を成功させることができるのではないだろうか。 ネットベンチャー経営者、フリーランス、ベンチャーキャピタリスト、再度ベンチャー企業の経営者というキャリアを歩んでいるアクセルマーク株式会社代表取締役の尾下 順治氏は、ベンチャービジネスとの繋がりが深い。…

スタートアップ経営者は理想を掲げてまい進するが、現実は必ずしもうまくいくわけではない。理想と現実を把握し、それでも着実と前へと進み続ける経営者だけが事業を成功させることができるのではないだろうか。

ネットベンチャー経営者、フリーランス、ベンチャーキャピタリスト、再度ベンチャー企業の経営者というキャリアを歩んでいるアクセルマーク株式会社代表取締役の尾下 順治氏は、ベンチャービジネスとの繋がりが深い。

尾下氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、ベンチャー企業の理想と現実についてまとめた。

多様なベンチャービジネスへの関わり方

新卒で入社した会社を二年で退社し、2000年に大学時代の友人と起業。2003年末に退任してフリーランスに。フリーになってわかったのは、自分の性格のことを考えると自分の生きる道はベンチャービジネスの領域だということ。ただ自らが中心となって起業するほど自分の中に渇きがなかった。そのためフリーになってから1年後、2005年にベンチャーキャピタルの会社に入社。

入社後は現アクセルマークと合併した会社、エフルートに出向。事業支援を行った後、エフルートの社長に就任。エフルートとアクセルマークが合併した後、アクセルマークの社長に就任した。ベンチャービジネスに対して、いくつもの視点から関わってきている。

スタッフのモチベーション維持、どれだけ腹をわって話そうとしているか

エフルートに出向し、取締役として日中ほぼすべての時間を会社に費やしているにも関わらず、違和感が拭えなかった。一生懸命、過去の自分の経験や考えを会社に提供しても、いまいち社内の人間には伝わらない。

「尾下さんって、この会社の人じゃないですよね。会社が潰れても尾下さんだけは職を失わないじゃないですか」と言われ、自らの「言霊」が足りないという結論に至った。そのため出向という形ではなく、エフルートに移り、会社のメンバーとなった。どれだけ腹をわって話そうとしているかを相手に伝えることはとても重要。

現在では、会社のスタッフに2つのことを必ず理解してもらうようにしている。「変化して当たり前」「目の前のことをやりきる」。この2つを理解していないと、社員はベンチャーのスピードの速さについてこれなくなってしまう。

投資家は誰に、何に投資するのか

ベンチャーキャピタリストは、人か事業に対して投資をおこなう。誰に対して、何に対して、投資をするのかという視点を持つことが重要。経営者に対してなのか、事業に対してなのか。ここで株主との見解の相違がないようにする必要がある。経営者に対して投資が実施されていれば、事業が変わっても問題ない。事業に対して投資が実施されているのであれば、経営者が変わっても問題ない。

エフルートは事業内容も経営者も変わった。その結果、社内の混乱が起きてしまった。

事業の利益の分配について

会社で事業を展開すると顧客、従業員、投資家などステークホルダーが複数存在することになる。すべてのステークホルダーを満足させるための利益の分配は、以下の3つの順番で実施する。

①顧客に投資する。つまり、新規事業投資する
②従業員に返していく
③投資家に返していく

3つのステークホルダーをすべて満足させるためには、この順番しかない。

ベンチャービジネスに最も必要なことは、Opportunity(好機)

そこに変革の兆しがあるか、その兆しが見えるかどうかがすべて。変化の波を意識せずにビジネスを構築することはどんな大企業でも不可能。

新卒の学生などにはこんな話をする。TOYOTAは今でこそ世界一の自動車会社となっているが、元々は機織り機の会社だった。潜在的なニーズをつかみ、自動車業界に参入した結果、大きな事業へと変わっていった。機織り機を作る事業を続けていても、世界一にはなっていなかっただろう。

Opportunityを無視して大きなビジネスを作ることはできない。そのOpportunityを感じ取れるかどうか。

では、エフルート創業当時のOpportunityとは何だったか。それまで、モバイルはインターネットとしてではなく、コンテンツ売り場のような捉えられ方をしていた。auがパケット定額制を開始した時、これで世界が変わり、モバイルはパケット定額制によってもっと盛り上がると感じた。

モバイルサイトが多く登場するはずで、サイトに必要なのは検索エンジンだろうということで検索エンジンの提供をスタートさせた。

変わらない経営理念

Opportunityに合わせて、ビジネスの内容は変化し得る。事業内容が変わったとしても、「コンシューマーに向き合っていきたい」という理念は変わらない。一個人として持っている理念は、真のインターネットの普及、インターネットの大衆化を果たしたいというもの。

テレビが日常の中で欠かせないものになっている人は大勢いる。どういう仕組みで動いているのかはわからないけれども、生活には欠かせないものとなっているのがテレビ。それは大衆化した状態、大衆が受け入れた状態であるということ。

なぜインターネットだけが過剰なリテラシーを求めたがるのか?iモードの功績はインターネットを大衆化したこと。誰でも簡単に使えるインターネットを作り出した。ブルーカラーまでインターネットを使える国はほぼ日本だけ。

仕事を楽しむ簡単なコツ

仕事を楽しむためには、興味を持つこと、深く知りたいというモチベーションを持つことが大事。興味を持つと、構造が見えるようになる。自らの働きかけで見えていた構造に少しでも変化が起きるとそれが楽しい。いろんなことに興味を持つことができれば、仕事が趣味になって、毎日がパラダイスになる

自分の中に埋もれた才能はまだあるかもしれない。いろんなことに興味をもって、いろんな挑戦をする。自分の人生の幅を広げるためには好奇心が重要。

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ビジネス発展のために法務意識をもて--AZX法律事務所後藤氏が語るビジネスモデルの適法性に関する10のまとめ

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ビジネスを考えるにあたり、法律の問題は無視できないものだ。ビジネスモデルが法律に抵触しているかどうか、また、自社のサービスが違法行為に利用されないためにどうすればいいか。ベンチャーから大企業まで、サービスや製品提供をおこなう企業にとって法務問題はビジネスを継続するために直面する大きな問題だと意識する必要がある。 AZX法律事務所は、主にベンチャー企業向けのサポートに特化しており、ベンチャー企業の法…

ビジネスを考えるにあたり、法律の問題は無視できないものだ。ビジネスモデルが法律に抵触しているかどうか、また、自社のサービスが違法行為に利用されないためにどうすればいいか。ベンチャーから大企業まで、サービスや製品提供をおこなう企業にとって法務問題はビジネスを継続するために直面する大きな問題だと意識する必要がある。

AZX法律事務所は、主にベンチャー企業向けのサポートに特化しており、ベンチャー企業の法律相談をおこなっている。

AZX法律事務所の後藤勝也氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、ビジネスモデルの適法性についてポイントをまとめた。

ビジネスを継続するために法的適法性を考える

ビジネスモデルが法律に適応しないと、刑事罰による懲役や罰金、ビジネス上の契約無効による売上の減少や過去の売上の返金、もしくは裁判などの紛争に巻き込まれ、ビジネスの停止や弁護士費用がかかってしまう恐れが多い。

こうした問題は、企業としてのビジネスの継続性を不可能にしたり、または、IPOやM&Aがおこなえなくなる可能性がある。そのために、しっかりとビジネスモデルについて考えてもらいたい。3つのポイントである「適法性」「適法利用性」「非紛争性」の視点から確認してもらいたい。

ビジネスモデルの適法性を見定める

適法性については、ビジネスモデルが、法律構成として正しいかどうかの視点も重要だ。誰が契約当事者で、誰と誰の間の契約なのか、しっかりと見定めてほしい。

例えば、ある会社が、製造者とユーザーの間の取引を繋ぐ場を提供している形の場合、モノやお金の流れが同じであっても、会社が製造者からモノを購入してユーザーに販売する「売買型」と、取引自体は製造者とユーザーが行い、会社はその取引の仲介をするに過ぎない「仲介型」があり、それぞれで、売上計上、売主としての責任の所在等が異なってくる。

次に、適法性については、法令上許認可が必要であるかをチェックする必要がある。

例えば、「仲介行為」において、仲介行為自体に許認可等が必要なものがある。 貸金業の登録や宅地建築取引業の免許、旅行業の登録など、それぞれのビジネスモデルに必要な許認可を確認してもらいたい。そもそもアドバイスや飲食の提供、空室の宿泊などをユーザー間でおこなう行為によっては、許認可が必要なものがある。それが日常に行われている行為であるとまさか許認可が必要であるという考えに至らない場合もあるが、有償サービスになることで、許認可の必要を要する場合があるので注意が必要である。

金銭のやりとりにおける決済手段提供型モデルの問題

決済手段提供型モデルについても留意するべき点がある。仲介型において仲介をした会社がユーザーから取得したお金は、当該会社のものではなく製造者又はユーザーのお金であること、人のお金を預かっているということを意識してもらいたい。このような他人の資金を預かることについては、出資法、銀行法、資金決済法などに抵触しないかを検討する必要がある。しかし、短期の決済や少額の取引などにおいては、現行の法律の中でも、グレーな領域もあるため、こうした問題は、今後の法改正等の動向を見てしっかりと対応していく必要がある。

コミュニケーションサービスは電気通信事業

SNSやコミュニケーション型モデルのビジネスモデルは、場合に応じて、電気通信事業に該当し、届出をおこなう必要性がある。

特定の電気通信回線設備を設置しない場合でも、他人の通信を媒介する場合には、電気通信事業法上の届出が必要な場合がある。マンションインターネットや他社のメルマガの媒介、SNSのメッセージ機能、電子メール運用のホスティング、クローズドなSNSや出会い系などがそうだ。届出が必要な場合、電気通信事業者としての各種規制を受けることになる。

また、他人の通信を媒介せず、特定の電気通信回線設備を設置しないサービスであっても、届出を要しない電気通信事業とみなされる場合もある。オンラインストレージやオープン型チャット、電子掲示板、ネットオークション、オンラインゲームなどが該当する。この場合、検閲の禁止の対象となり、また、通信の秘密の保護などの法律順守を求められる。

自社のコミュニケーションサービスが該当するのはどれか、しっかりと確認してもらいたい。

アイテム付与モデルは、賭博性に注意

ソーシャルゲームで問題になっているものとして、アイテム付与などが存在する。そのときに争点となるものの一つは、「賭博」に該当するかどうかだ。

賭博とは、偶然の勝敗により、財物や財産上の利益の損得を争う行為であり、対戦型やゲーム参加についての固定フィーでも該当の可能性がある。また、賭けたコインなどの財物と等価が認められないものが交換される場合も賭博に該当する可能性がある。

ネットゲームなどで、ゲーム内で得られた架空の財産を現金で売り買いする行為であるRMT(リアルマネートレーディング)との連動は、賭博性を高めるので注意してもらいたい。また、カード合わせ、絵合わせ(コンプガチャ)による景品類の提供は、射幸心をあおるものとして、全面的に禁止されている。

口コミは、広告とみなされることがある

事業者が、口コミやブログへの書き込みを依頼した場合、口コミやブログの記載も「広告」とみなされる場合がある。品質に関する優良誤認表示や、取引についての有利誤認表示については、景表法や不正競争防止法において禁止されている。

また、他人の業務を妨害するような口コミ等の書き込みは、民法に基づく不法行為や刑法の業務妨害罪などに問われる可能性がある。

クラウドファンディングを法的に3つに分類する

近年、クラウドファンディングによる資金の調達をおこなう企業なども多いため、クラウドファンディングの法的適法性についてまとめた。クラウドファンディングは、おもに3つに分類される。「ファンド型」「購入型」「寄付型」だ。

ファンド型は、メリットとして、利益に応じた分配がされるが、クラウドファンディングサービス提供者は原則として、第二種金融商品取引業としての登録が必要である。購入型は、商品・サービスの購入というシンプルな形だが、対価が見合っていない場合は贈与・寄付とみなされ、また、購入された商品の品質に関して責任が生じるので注意だ。寄付型はお金を払った人にとっては寄付であり、商品に対するクレームなどは生じにくい。しかし、支払った方が法人の場合、寄付金損金不算入の問題が発生し、また、受領者が個人の場合は贈与税の問題などが発生する。

それぞれのモデルに応じたメリットとデメリットを確認してもらいたい。

ビジネスモデルの模倣は専門家と相談

他社のビジネスモデルの模倣が、ときに適法性について問われる。そのときの争点としては、機能、ソースコード、デザイン、サービス名・ロゴがおもに争点となるため、それぞれの点において、権利侵害の有無をチェックする必要がある。

特定の機能などを模倣する場合には、特許権の侵害の有無が関係する。この点は技術面も含めた専門判断が必要であるため、弁理士に相談してもらいたい。なお、特許出願が公開されていない時期もあるためヘッジできないリスクもある。ソースコードやデザインにおいては、著作権の侵害に関係する。もちろん、結果として似たものになる可能性は十分にある。そのため、元となるものに接することができない体制の設備が考えられるが、デザインについては、アクセスしていないと立証することは難しい。デザインは、変えた方が安全だ。

サービス名やロゴに関しても、 商標権の侵害が関わってくる。結果として類似商標にならざるをえない可能性もあるが、しっかりと専門家と相談するほうがよい。

サービスを違法に利用されないための対処を

サービスが適法であっても、サービスを違法行為に利用される可能性も高い。違法コンテンツのアップロードや著作権の侵害、名誉毀損、麻薬、盗品などの売買、不当な詐欺的取引への利用、殺人その他の犯罪共同者の募集など、様々な違法利用の例がある。

自社のサービスが違法行為に利用されると、共犯(ほう助)としての刑事罰、共同不法行為としての差止請求や損害賠償請求などが発生する。また、現時点では適法でも、規制する法律が制定されるリスク、企業における事業やサービスに対し悪評が広まり、顧客の信頼を失うレピュテーションリスクなどが考えられる。

違法利用性に対処するためには、違法行為の法的な排除可能性の確保や利用規約による禁止の明示、登録取消などのペナルティ、違法行為の検知体制や通報制度などの体制や仕組みを整備してもらいたい。IPOの引受審査等ではこうした違法行為を排除するための仕組み、体制、運用実績が問われ、これらを十分に説明できるようにしておくことが大事だ。

サービスによって争いが起きないために注意すべきこと

サービスによって、裁判などの争いごとが発生する可能性がある。中には、紛争性が一般的に高いと考えられるビジネスモデルもある。サービス内容等が不明確なモデルや匿名性が高いモデル、プラットフォーム依存型や商品優劣の表示、ユーザー同士が出会うモデル、解約金が生じるモデル、特許等が入り乱れる分野のモデルなど、様々なものが考えられる。

そうした紛争から対処するために、サービス内容のアウトプットの定義の明確化や免責規定、損害賠償の範囲や期間の限定、保険の適用、解約の予防や知的財産権による保護、弁理士等の専門家への相談など、責任の明確化や対応策の処置について専門家との密なやりとりをおこなってもらいたい。

それぞれのビジネスモデルに応じた個々の詳細をしっかりと見つめ、問題解決を図ってもらいたい。

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スタートアップは自己組織型であるべき — ヌーラボ橋本正徳氏によるプロジェクト管理に大切な7つのこと

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自分たちのプロダクトをいかに計画通りに開発し、ローンチするか。スタートアップにとってもプロジェクト管理は重要な項目なのだが、満足に実現できているスタートアップは、なかなかいないのではないだろうか。Web上でワイヤーフレームや、マインドマップといった図形の作成とリアルタイムでのコラボレーションを可能にする「Cacoo」などのサービスを提供している株式会社ヌーラボ。彼らはCacooのほかにもプロジェク…

自分たちのプロダクトをいかに計画通りに開発し、ローンチするか。スタートアップにとってもプロジェクト管理は重要な項目なのだが、満足に実現できているスタートアップは、なかなかいないのではないだろうか。Web上でワイヤーフレームや、マインドマップといった図形の作成とリアルタイムでのコラボレーションを可能にする「Cacoo」などのサービスを提供している株式会社ヌーラボ。彼らはCacooのほかにもプロジェクト管理ツール「Backlog」を提供している。

ヌーラボの代表取締役、橋本正徳氏が「MOVIDA SCHOOL」で、起業家に向けて語った、プロジェクト管理おける重要なポイントをまとめた。

自己組織化したプロジェクト管理

プロジェクト管理とはプロジェクトを成功させることが目的。そして、スタートアップにはトップダウンではなく、チームでプロジェクト管理をさせることが適している。そのためには、「自己組織化」という言葉を知る必要がある。

自己組織化とは、自然と秩序が生じて、自分自身でパターン化された構造を作り出して、組織化されていく現象のこと。

ベトナムのハノイには、交差点なのに信号がないにも関わらず、みんな困ることなく進んでいる交差点がある。これは、ハノイの交通にみる自己組織化の一例だ。この交差点では信号機の指示に従うことより、絶え間なく移動できることを優先している。ここを通過する人たちは、クラクションを頻繁に鳴らし、その方法でコミュニケーションをとっている。通行者が互いに協力して、誰も妨げにもならないという状況ができあがっている。

これをプロジェクト管理に当てはめると、チーム自体が勝手に秩序を設けて、自動的に前進していく状況が生まれているということになる。

スタートアップに必要なのは、自己組織型のリーダー

リーダーには指示型のリーダーと、自己組織型のリーダーの二通りがある。指示型リーダーの例といえば、故スティーブ・ジョブズ氏。憧れている人も多いのではないかと思うが、彼のような超人的な指示能力を持っていない限り、指示型リーダーではうまくいかなくなってしまう。僕らは意外と超人的な指示能力はもっていない。

ただ集まっているだけの組織だったら、指示したほうがいい。だが、スタートアップのような偉大なことを成し遂げようと思っている組織を、指示型で動かすことはできない。偉大なことをやろうとしている組織は自己組織化ができていることが多い。指示されなくても、自分の役割を果たし、チーム全体が前進していく。

意欲の高い仲間同士でのリーダーのあり方

パートナーがいる人は少しの間、頭にその人を思い浮かべて、自分はなぜその人と一緒にやろうとしているのか考えてみよう。なぜその人はあなたについてきているのか。きっとその人は命令されたいのではなくて、自分たちで何かを成し遂げたいと思っているはずだ。スタートアップにはそうした人たちが集まっている。指示型リーダーではこうした人達の自発的な活動を潰してしまう可能性がある。

自己組織型リーダーの仕事は人に命令せずに、何か揉め事が起きたときに、まるで裁判官のように仲裁にはいる。それでうまくいく。

Scrum(スクラム)という開発手法

こうした考え方のもとにプロジェクト管理を行う手法がある。Scrum(スクラム)というアジャイルプロジェクト管理手法だ。これはヌーラボでも採用している手法。スタートアップの人と交流していると、スケジューリングがわからない、ローンチ計画がわからないなど、プロジェクトの管理の仕方についてあまり知識がないと感じることがある。今回は、Scrum(スクラム)というプロジェクト管理手法を紹介するので、参考にしてほしい。

Scrumには大きく分けて二人「プロダクトオーナー」と「スクラムマスター」という二人の登場人物がいる。

プロダクトオーナーが、製品の総責任者で製品の機能を決定する。 製品がうむ利益について責任を持ち、各イテレーションごとに必要に応じて機能と優先順位を見直す。作業の結果を受け入れるか、または拒否する役割を果たす。

スクラムマスターとよばれる人間が、プロジェクトマネジメントを代表する。障害事項を取り除き、チームが十分に機能し、生産的であることを保証する。すべての役割のひとたちと、密接な協力関係を保てるようにし、外部の干渉からチームを守る役割。

決められた期間内に達成する成果を決定する

まず「プロダクトバックログ」というプロジェクト中に求められる、すべての成果の一覧を作成するところからスタート。成果ごとに顧客やユーザに提供する価値も記述されていることが望ましい。プロダクトオーナーによってバックログの優先順位付けが実施される。Scrumでは作業時間の単位に「スプリント」を使用し、2~4週間の各スプリントの開始前に優先順位が振り直される。

プロダクトバックログを作成したら、次は「スプリント計画」。チームはチームが完了を約束できるプロダクトバックログ項目を選択する(スプリントバックログの作成)。タスクが分類され、それぞれが1〜16時間の間で見積りされる。チーム共同で実施し、スクラムマスター単独では実施しない(コミット感を出す)。

「スプリント」では通常2~4週間、最大でもカレンダー上の一ヶ月をスプリントとする。最高の製品を求めるといつまでも時間をかけてしまいがち。ちゃんとリリースをおこなうために期間を設けることが大事。製品はスプリント期間中に、設計、コーディング、テストをする。スプリント中は、外部からの変更を受け付けない(変化を受け入れない期間)。そうしないと変化に対応しすぎてしまうようになってしまい、開発が進まなくなってしまう。

「スプリントバックログ」では、チームメンバーが自身でタスクを選択する。チームメンバーの誰でも、スプリントバックログの追加、削除、変更が可能。作業が不明確な場合は、大きな時間を割り当てたスプリントバックログ項目を定義し、後で細分化する。

プロジェクト管理の中で日々、実施すること

スクラムチームは自己管理するために、状況を把握しなけばならない。「デイリースクラム」は、毎日15分ほど行う。昨日何をやったか、今日何をするか、困っていることを共有する場、問題解決、進捗報告の場にしない。誰でも参加可能(ただし、チームメンバー、スクラムマスター、プロダクトオーナーのみ発言)で、他の不要なミーティングへの出席を避ける役割を持つ。

「バーンダウンチャートの更新」もおこなう。バーンダウンチャートは、バックログの残量を視覚化するためのもの。各タスクごとに期限を設け、そのタスクが完了すると実績線を書く。右下がりの折れ線が日々の残り作業量を示しており、それがなくなるとひとつのスプリントが終了したことになる。

期間が終了したら振り返る

スプリントが終了すると「スプリントレビュー」を行う。チームはスプリント中に成し遂げたことをここで発表する。ここでは新しい機能のデモや土台のアーキテクチャーをデモする。チーム全員の参加し、それ以外にも誰でも参加できる。

今回はScrumの簡単な紹介を行った。興味を持った方は勉強してみて、自分たちのプロダクト開発にいかしていってほしい。BacklogはScrumの用語である「プロダクトバックログ」から命名されているので、こちらもぜひ。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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