スタートアップは自己組織型であるべき — ヌーラボ橋本正徳氏によるプロジェクト管理に大切な7つのこと

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自分たちのプロダクトをいかに計画通りに開発し、ローンチするか。スタートアップにとってもプロジェクト管理は重要な項目なのだが、満足に実現できているスタートアップは、なかなかいないのではないだろうか。Web上でワイヤーフレームや、マインドマップといった図形の作成とリアルタイムでのコラボレーションを可能にする「Cacoo」などのサービスを提供している株式会社ヌーラボ。彼らはCacooのほかにもプロジェクト管理ツール「Backlog」を提供している。

ヌーラボの代表取締役、橋本正徳氏が「MOVIDA SCHOOL」で、起業家に向けて語った、プロジェクト管理おける重要なポイントをまとめた。

自己組織化したプロジェクト管理

プロジェクト管理とはプロジェクトを成功させることが目的。そして、スタートアップにはトップダウンではなく、チームでプロジェクト管理をさせることが適している。そのためには、「自己組織化」という言葉を知る必要がある。

自己組織化とは、自然と秩序が生じて、自分自身でパターン化された構造を作り出して、組織化されていく現象のこと。

ベトナムのハノイには、交差点なのに信号がないにも関わらず、みんな困ることなく進んでいる交差点がある。これは、ハノイの交通にみる自己組織化の一例だ。この交差点では信号機の指示に従うことより、絶え間なく移動できることを優先している。ここを通過する人たちは、クラクションを頻繁に鳴らし、その方法でコミュニケーションをとっている。通行者が互いに協力して、誰も妨げにもならないという状況ができあがっている。

これをプロジェクト管理に当てはめると、チーム自体が勝手に秩序を設けて、自動的に前進していく状況が生まれているということになる。

スタートアップに必要なのは、自己組織型のリーダー

リーダーには指示型のリーダーと、自己組織型のリーダーの二通りがある。指示型リーダーの例といえば、故スティーブ・ジョブズ氏。憧れている人も多いのではないかと思うが、彼のような超人的な指示能力を持っていない限り、指示型リーダーではうまくいかなくなってしまう。僕らは意外と超人的な指示能力はもっていない。

ただ集まっているだけの組織だったら、指示したほうがいい。だが、スタートアップのような偉大なことを成し遂げようと思っている組織を、指示型で動かすことはできない。偉大なことをやろうとしている組織は自己組織化ができていることが多い。指示されなくても、自分の役割を果たし、チーム全体が前進していく。

意欲の高い仲間同士でのリーダーのあり方

パートナーがいる人は少しの間、頭にその人を思い浮かべて、自分はなぜその人と一緒にやろうとしているのか考えてみよう。なぜその人はあなたについてきているのか。きっとその人は命令されたいのではなくて、自分たちで何かを成し遂げたいと思っているはずだ。スタートアップにはそうした人たちが集まっている。指示型リーダーではこうした人達の自発的な活動を潰してしまう可能性がある。

自己組織型リーダーの仕事は人に命令せずに、何か揉め事が起きたときに、まるで裁判官のように仲裁にはいる。それでうまくいく。

Scrum(スクラム)という開発手法

こうした考え方のもとにプロジェクト管理を行う手法がある。Scrum(スクラム)というアジャイルプロジェクト管理手法だ。これはヌーラボでも採用している手法。スタートアップの人と交流していると、スケジューリングがわからない、ローンチ計画がわからないなど、プロジェクトの管理の仕方についてあまり知識がないと感じることがある。今回は、Scrum(スクラム)というプロジェクト管理手法を紹介するので、参考にしてほしい。

Scrumには大きく分けて二人「プロダクトオーナー」と「スクラムマスター」という二人の登場人物がいる。

プロダクトオーナーが、製品の総責任者で製品の機能を決定する。 製品がうむ利益について責任を持ち、各イテレーションごとに必要に応じて機能と優先順位を見直す。作業の結果を受け入れるか、または拒否する役割を果たす。

スクラムマスターとよばれる人間が、プロジェクトマネジメントを代表する。障害事項を取り除き、チームが十分に機能し、生産的であることを保証する。すべての役割のひとたちと、密接な協力関係を保てるようにし、外部の干渉からチームを守る役割。

決められた期間内に達成する成果を決定する

まず「プロダクトバックログ」というプロジェクト中に求められる、すべての成果の一覧を作成するところからスタート。成果ごとに顧客やユーザに提供する価値も記述されていることが望ましい。プロダクトオーナーによってバックログの優先順位付けが実施される。Scrumでは作業時間の単位に「スプリント」を使用し、2~4週間の各スプリントの開始前に優先順位が振り直される。

プロダクトバックログを作成したら、次は「スプリント計画」。チームはチームが完了を約束できるプロダクトバックログ項目を選択する(スプリントバックログの作成)。タスクが分類され、それぞれが1〜16時間の間で見積りされる。チーム共同で実施し、スクラムマスター単独では実施しない(コミット感を出す)。

「スプリント」では通常2~4週間、最大でもカレンダー上の一ヶ月をスプリントとする。最高の製品を求めるといつまでも時間をかけてしまいがち。ちゃんとリリースをおこなうために期間を設けることが大事。製品はスプリント期間中に、設計、コーディング、テストをする。スプリント中は、外部からの変更を受け付けない(変化を受け入れない期間)。そうしないと変化に対応しすぎてしまうようになってしまい、開発が進まなくなってしまう。

「スプリントバックログ」では、チームメンバーが自身でタスクを選択する。チームメンバーの誰でも、スプリントバックログの追加、削除、変更が可能。作業が不明確な場合は、大きな時間を割り当てたスプリントバックログ項目を定義し、後で細分化する。

プロジェクト管理の中で日々、実施すること

スクラムチームは自己管理するために、状況を把握しなけばならない。「デイリースクラム」は、毎日15分ほど行う。昨日何をやったか、今日何をするか、困っていることを共有する場、問題解決、進捗報告の場にしない。誰でも参加可能(ただし、チームメンバー、スクラムマスター、プロダクトオーナーのみ発言)で、他の不要なミーティングへの出席を避ける役割を持つ。

「バーンダウンチャートの更新」もおこなう。バーンダウンチャートは、バックログの残量を視覚化するためのもの。各タスクごとに期限を設け、そのタスクが完了すると実績線を書く。右下がりの折れ線が日々の残り作業量を示しており、それがなくなるとひとつのスプリントが終了したことになる。

期間が終了したら振り返る

スプリントが終了すると「スプリントレビュー」を行う。チームはスプリント中に成し遂げたことをここで発表する。ここでは新しい機能のデモや土台のアーキテクチャーをデモする。チーム全員の参加し、それ以外にも誰でも参加できる。

今回はScrumの簡単な紹介を行った。興味を持った方は勉強してみて、自分たちのプロダクト開発にいかしていってほしい。BacklogはScrumの用語である「プロダクトバックログ」から命名されているので、こちらもぜひ。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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