キャピタリストは起業家のサポーター−インキュベイトファンド和田氏が語るパートナーシップにおける5つの考え

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事業を成長させるのは、なにも起業家だけではない。事業を応援してくれる人がいて成り立つものだ。そうした意味で、キャピタリストという存在は事業を成長させるために必要なパートナーだ。

25歳でベンチャーキャピタリストとして独立した和田圭祐氏は、現在インキュベイトファンド代表パートナーとして、インターネットビジネスに特化し“First round and Lead position”のスタイルで、起業家のファーストステップを支援している。

インキュベイトファンドの4名のパートナーはこれまでに150社以上もの投資をおこなってきたが、最も多くてがけてきたのは創業直後のタイミングで1000万から3000万程度を出資するものだ。

和田氏が「MOVIDA SCHOOL」で語った、起業家とキャピタリストとのパートナーシップについてまとめた。

ゴール(事業の方向性)が明確で魅力的かどうか

出資の判断基準の一つとして、何を目指していて、そのために事業をどういった方向で進めたいかをしっかりと起業家が考えているかどうかを重視する。

なぜその事業をおこなうのか。その事業の背景にある原体験や実現したい理想が明確に語れないと応援し甲斐がない。チームメンバーがその情熱を燃やし続けられるように、魅力的なゴールを大事にしてもらいたい。

では魅力的なゴールとはなんなのか?和田氏は以下のような点を意識している。

事業テーマや目指している理想像を聞いた時に「誰もが理解でき、賛成できると思えるかどうか」が大切だ。また現在視点でははく「5年後でも色褪せない長期的なテーマを設定しているかどうか」。時代の流行や流れに左右されるのではなく、永続的な発展が望まれる事業であってほしい。また「人間の根源的な欲求に根ざしており、同時に、こうありたいという理想像を提示できる」ような内容は、多くの人の共感や賛同を得ることができる。

上記の視点だけが全てではないだろうが、ぜひ誰もが期待と応援をしたくなるビジョンを掲げてほしい。

チームの魅力(=実力+伸びシロ)を伝える努力を

起業家には関係者にチームの魅力を伝える努力が必要だ。そのためには、チームメンバーがこれまでにどんな経験を歩んできたか経歴を示すことはもちろん大事だが、それだけでなく、どれだけ成長の伸びシロがあるかにもキャピタリストは期待している。

起業家が和田氏に提出するプレゼンや資料は見栄えが不十分でもよい。それよりもマーケットの分析や競合他社と自社との優位性などについてしっかりと情報を整理しており、事業展開に対する議論の材料が用意できているかの方が大切だ。なぜならば、現在のプランの完成度の高さよりも、実行力や柔軟性の方を重視しているからである。

起業家としての伸びシロは、日々の事業に対する姿勢からも感じ取ることができる。例えば、1日中つねに事業のことを考え活動し、情報収集意欲と学習意欲が旺盛で数字に対する意識をもち、謙虚で素直に行動するような人物は、会う度に日々のアウトプットを明確に語り新しい発見や成長のヒントを持込んでくるので、事業への真剣さを感じられ信頼を勝ち取れる。

そうした意味では、若い起業家チームの伸びシロは大きいと感じる。若い起業家は、ときにキャピタリストの予想を上振れするほどの成長を感じさせる瞬間がある。だからこそ、キャピタリストは起業家の触媒となり、成長を最大化できる存在でありたいと考えている。

事業の成長速度を高めるために、数字をしっかりと組織全体に浸透させる

事業をさらに成長させるためには、必要な数字を把握し説明できなければいけない。必要なKPIを定め、成長の方程式をもてるよう考える。この方程式を磨いていく成長を実現するためには、経営者だけでなく、組織全体までマネジメントすることが大切だ。そうすることで、チーム全体が個々の役割分担や役割意識をもつことができる。

そのために、経営会議などをはじめとする組織づくりをしっかりと強化してほしい。日々の事業の展開においてどれだけ組織として運用できているか。KPIの共有、施策立案、実行、検証の一連のサイクルが基本動作として揃っていないと、日々の改善すら満足にできない。マネジメントの重要性を意識し、しっかりとした組織づくりを伴った経営を心がけてもらいたい。

現在の成長率と収益性を踏まえつつ、その延長線に見えている今後の成長戦略を壮大に語るべきだ。

交渉のルールをお互いに守ることで、事業の成長に集中する

キャピタリストとの関係では、資本政策における最低限のルールを理解すべきだ。そして、あくまで交渉というやりとりにおいては、駆け引きのみに終始することなく、交渉の基本的マナーを大事にしてほしい。もちろんキャピタリスト側にも同様にマナーは求められている。交渉とはつまり、何を出して何を引くか。なにをとってなにを相手に提示するかという譲り合いであるということだ。自分の要求だけを押してもよい関係は築けない。

また、交渉が長引くことが時にあるが、それは本来はあまり望ましいものではない。事業の成長を第一に考えることが大事であり、これに集中することは忘れてはいけない。

挑戦者と、それらを応援するサポーターの関係を築く

キャピタリストとしての基本的な役割の一つは、「花粉の運び手」みたいなものだ。他のスタートアップや起業家の業務範囲の外側からアイディアをもちこむことで、企業のイノベーションや成長を誘発する役割を担う。

そのためにも、そのキャピタリストのポートフォリオが、自分たちの参考になる領域に精通しており、同時に各社との深い関係性があるかを重視すべきだ。自社事業にとってのキャピタリストの位置づけや期待値をしっかりと見定めた上で関係を構築しよう。

また、同時に「ボクサーのセコンド」の役割も担っている。起業家の成長の伸びシロへの期待と応援があるからこそ、起業家が辛い状況であると理解し、重要な局面ではエールを贈り、そして失敗したときにも傷を癒す存在であるべきと考えている。起業家も、そうした関係を作りたい、作れそうだと思うキャピタリストと仲良く関係を築いてもらいたい。上述の交渉の仕方にも関連するが、株式を巡った奪い合いの関係ではなく、一緒に挑戦する仲間とお互いに思えるかが大事だ。

つまり起業家とキャピタリストの関係は、高い志で挑戦する創業者とそれを応援するサポーターの関係なのだ。強固なパートナーシップをもって、二人三脚で事業を進めてもらいたい。

U-NOTEリンク】:スクール当日にライブで記録されたU-NOTEです。合わせてご参照ください。

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