台湾の資金調達・スタートアップエコシステムの現状

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【翻訳 by Conyac】【原文】

台湾の資金調達状況はどのように変わっているか?Plurk(噗浪)TMI(台湾創意工場)Alvin Woon(雲惟彬)氏が考えを語る。

2年前に台湾の投資環境を見ていたとしたら、台湾に拠点を置いているVC企業、インキュベータ、エンジェル投資家がほとんどいないと思っていただろう。M&Aにしろ、IPOにしろ、国内での売却オプションがないことと、マネタイズの業績が極端に悪いことが多くの投資家を遠ざけている。

台湾にいた数少ないVCは、彼らの投資をハードウェアからソフトウェアに移行するのに苦戦していた。台湾には伝統的にPC時代からの大手ハードウェア企業がたくさんある。Asus、HTC、Acer、TSMC、Mediatekなどなど、これらの企業は台湾で生まれた。起業家として、それらの伝説的な成功は、同じ方法をインターネットソフトウェアにも使おうとするVC企業と取り組む時にやや大きな障害となることが多々ある。

だが、状況は変化している。

M&Aがグローバルに行われ、FacebookとGoogleがアジアのスタートアップを買収している。決済イノベーションとモバイルの爆発的な普及によって、新しくエキサイティングなマネタイズのオプションが生まれた。世界のインターネット市場とは、台湾で成功したスタートアップは、もし彼らが望めば、香港、上海もしくはシンガポールでIPOができるということだ。

台湾の比較的安い人件費と技術コストを活用し、世界中のユーザへ発信されるサービスを提供するスタートアップに出資するという大きな可能性に投資家らは目を向け始めている。そして、CyberAgent Venturesなどの世界的に著名なVC企業がここ台湾にオフィスを開設している。Lee Kai Fu(李開復)氏WI Harper、そしてITRI(台湾工業技術研究院)が「Taiwan Mobile Innovation (TMI)」という新たな共同基金を設立し、私もパートナーの1人になっている。

Yushan Ventures(玉山創投)はStartup Labsプログラムを提供している。そして、エンジェル投資家も現れ始めた。現在、20以上のインキュベータ、コワーキングスペースがあり、頭に浮かんだだけでも、50人以上のアクティブなエンジェル投資家が現在台湾にいる。DeNA、Google、Rocket Internetの各社は台北でそれぞれのチームを増強している。

地元のVC企業も手を伸ばしている。ファンドは2つのプログラムを導入し、各社のポートフォリオの海外への露出を高めている。CyberAgentは東南アジア全域にオフィスを持っており、スタートアップチームを定期的に中国と日本に紹介している。

TMIは北京とサンフランシスコにコワーキングスペースを持ち、メンターシッププログラムを持っている。今私たちが目の当たりにしているのは、ものすごいスピードで台湾のスタートアップコミュニティ(起業家であれ、投資家であれ)によってもたらされた素晴らしい転換と自己学習プロセスだ。

スタートアップのエコシステムは、デモデー、ハッカソン、ウェブカンファレンス、ミートアップなど、ますます活発に行われるイベントによって、さらに向上している。最近行われたAppworks(之初創投)のデモデーでは15のチームがピッチを行った。

そして、2週間前のYahoo!ハッカソンには60のチームが参加した。Taiwan Facebookハッカソンの優勝者は実際にグローバル大賞を勝ち得た。E27は4月に台北で初めてのイベント「Echelon Satellite」を開催した。nodejs、python、redisのミートアップが毎週行われている。

活気のあるコミュニティ、成熟しつつある投資環境、そして豊富な人材資源(特にハードウェアのエンジニア)が合わさり、ここ数年で台湾はとても魅力的なスタートアップのハブとなった。

しかし実際に資金を得た人がいるだろうか?

少ないが、いる。

数字で見ると、もっとも多くの資金を手にした栄冠はソーシャルゲームプラットフォームのSNS+に与えられると思う。SNS+はWI Harper GroupとMatrix Partnersから1000万米ドル以上を獲得した。日本のベンチャーキャピタル企業CyberAgentも10月に、台湾企業のレシピソーシャルネットワークiCook.twに出資をした。

500 startupsはここ12ヶ月間でCubieとPicCollageに投資をし、TMIは過去9ヶ月間に7つのチームにシード資金を出資している。Yushan Venturesは5つのチームにシード資金を出した。EZtable(易訂)はRose Park Advisorsから100万米ドル以上を獲得した。この他にも資金調達した企業はあると思うが、全体的に見れば、資金の流れはゆっくりではあるが良好だと言える。

歴史的に、台湾は皆の注目を引こうと競い合うほどの市場規模もしくは資源を持っていないが、だからといって競ったり秀でたりするのをやめているわけではない。素晴らしい教育環境、確固としたIP法、そして私が前述したすべての事柄が台湾をとても魅力的なスタートアップのハブにしている。今、欠けているのは、爆発的ヒットプロダクトだけだ。

著者について

Alvin Woon氏はシードベンチャーファンドTMIのパートナーで、Plurk.comのファウンダーである。

【via e27】 @E27sg

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