中国の「人的資本がもたらす利益」 に関するKaifu Lee(李開復)氏の考察

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【翻訳 by Conyac】【原文】

本記事は元々LinkedInに掲載されたものだが、Kaifu Lee氏の許可を得てここに転載した。Kaifu Lee(李開復)氏は中国のインキュベータInnovation Works(創新工場)の創業者で、さらにGoogleとMicrosoftでバイスプレジデントを務めた。

人口13億人、世界人口の20%。

中国の人口の多さはその5000年の歴史を通じて、同国が利用してきた歴史的な強みである。この強みにより、驚異的な構造と工法で、世界に存在する奇跡の1つである万里の長城の建設が実現した。四半世紀の早さで経済発展を遂げ、何億という市民が貧困状態から抜け出すことが可能となった。

中国は2016年にGDPでアメリカを追い越すと予測されているが、4倍の数の人口を抱えており、1人当たりの成長率では未発達の段階にある。多くの人々は、中国が純粋なイノベーションに欠けているのではないか、と考えるかもしれない。実際のところ、中国はしばしばその豊富な人的資本をユニークで革新的なソリューションのために活用しているのである。

アメリカにいる多くの人々は、Amazonのアメリカ国内では2日で届くという迅速なAmazon Primeサービスを利用している。Amazonは度々、素晴らしいロジスティクスの見本と考えられる。戦略上、重要な拠点に位置するフルフィルメントセンターを持ち、在庫を合理化して素早く顧客に商品を配達するのである。

アメリカは、Pony Expressが始まった時代から、成熟した配送インフラネットワークの恩恵を受けている。中国が経済的に台頭するようになったのは、たった前四半世紀以内のことであり、配送インフラの質は比較的低い。

それにもかかわらず、多くの中国の商魂たくましい企業が同様の効果をもたらすため、中国固有の規模の大きさを活用して、クリエイティブなソリューションを見いだしている。中国最大のeコマース大手のひとつである360buy(京東商城)は、中国の消費者に対して当日配達のサービスを提供している。

朝注文すると、数時間後に手元に配送されるというわけだ。360buyは、大規模なモバイル配送部隊を人口過密都市に集中させることによって、このとてつもないタスクをこなしている。1日あたりの注文数は人口に相応して多く、360buyは大規模に拡大縮小可能な労働力を利用して、効率良く、迅速に顧客へ商品を配送し、優れたeコマース体験をもたらしてきている。

さらに、この人的資本の規模によって同様に多くの現代建築の偉業が達成された。以前からセントラルエアコンの製造で知られる企業、Broad Group(遠大科技集団)について考えてみてほしい。製造工程を単純化し、さらに合理化する絶え間ないプロセスを通して、Broad Groupは同様の技術が建物の建設すべてに応用できるのではと考えたのだ。

最近YouTubeにアップロードされた動画(http://www.youtube.com/watch?v=Hdpf-MQM9vY)が多くの人の目にとまっている。たった2週間で30階建てのホテルを建設する工程を微速度で撮影した様子を見てほしい。

Broad Groupはこの素晴らしい功績を、建造物のパーツを工場生産してから建設作業員が見事に素早く組み立て、驚くほど丈夫で(震度9の地震でも倒れない)コストも時間も効率的で環境的にも持続可能な方法で成し遂げた。

この従来の建設労働過程を簡素化して効率化するというソリューションは、IKEA同様、住宅インテリア業界にも大きなインパクトを与えた。

中国が抱える信じ難い規模の人的資本は、多数の進歩を実現しているのだ。今後目が離せないのは、中国が低コストの労働力を提供するという以前のポジションから、ハイレベルな労働資源を提供できる国へと変貌していく様子である。これはまだ始まったばかりで、これから何年にも渡って素晴らしい発展を遂げていくだろう。

@mickey_duのご協力に感謝します)

【via Technode】 @technodechina

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