これなら私でも学べそうーー学生起業家がつくるオンラインプログラミング学習「Progate」

Takeshi Hirano by Takeshi Hirano on 2014.11.10

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Progateの学習画面

その昔、生きるための象徴的なスキルを「読み書きそろばん」と表現した時代があった。

基礎的な技術は永遠であり、これが不要になることはない。しかし時は流れ、これだけでは不足を感じるようになったのも事実である。特にコミュニケーションは重要な位置付けを示しており、中でも外国語は必要に迫られて学んでいる人も多いのではないだろうか。そして近い将来、生きるために「必須」となるであろう言語がもうひとつ存在している。

プログラミング言語だ。

もし、この言葉をある一部の技術者が使う特別なものだと認識している人がいるのなら、それは早晩大きな過ちだと気がつく日がやってくるだろう。プログラミング言語を理解することは、外国語を学んで広い世界を知ることとよく似ているのだ。

そして今日、ここでご紹介するProgateはその手助けをしてくれるものになるかもしれない。詳しく説明しよう。

日本の学習環境にあった日本版「Codecademy」

…とその前にCodecademyについて説明しておいたほうがいいだろう。

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Codeacademyの学習画面

Codecademyはオンラインのプログラミング言語習得サイトで、2011年創業。

ランダル・ストロス氏の著書「The Launch Pad: Inside Silicon Valley’s Most Exclusive School for Startups」(翻訳の邦題は「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」/日経BP社発行)を手に取った人であれば、彼らの「ドタバタ起業ストーリー」を覚えているかもしれない。

創業者でコロンビア大学をドロップアウトしたZach Simsと(こちらは卒業したようだが)Ryan Bubinskiの2人が開始したコース形式のプログラミング学習サービスは、彼らがY Combinatorでプログラムを受ける期間のほぼラスト4週間で作りあげた突貫サービスだった。

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Codecademyの学習画面

結果としてDemoDayにもほとんど間に合ってない状態だったが、テストのためにハッカーニュースに掲載したところ、一気に同時ユーザー数1000人を獲得、米TechCrunchが掲載してアッという間にサイトはダウン。瞬く間に1万件のユーザー獲得を達成した伝説のサービスとなった。

その後、3度のラウンドで1250万ドルの資金調達に成功、大手テクノロジー系企業が自分たちのプログラミング言語を教材として提供するなど、躍進を続けている。

実際にやってみると本当の初心者でもただ文字を打っていくだけでリアルタイムに結果がプレビューされるので、コードが何をしてくれるのか理解しやすい。スライド形式で進む点も書籍とよく似ているので、そもそも勉強しやすい。

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こちらはProgateの画面

Progateはその日本語版だと思っていいだろう。ただ、微妙に学習の進め方が違う。これはもう指導法が書籍で違うように、教え方の好き嫌いに近い話かもしれない。そしてなにより日本語であることは、英語教育の乏しい日本の学習者にとって敷居を下げてくれることになる。

あと、仕上がりの最終イメージがCodecademyよりもわかりやすい印象だ。スライドなどを積極的に入れ込んでいるインターフェースには好感を持っている。

開発者は2人の東大生プログラマー

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Progate取締役で共同創業者、東大工学部4年生の村井謙太氏

実はこのProgate、学生起業家を取材する一環で知り合った。(その記事は恐ろしく時間がかかってしまってるがもうすぐ出すのでぜひご一読を)

最初、正直言うとあまりプロダクトには興味がなかった。完成度が低かったり、試作品的な要素が強い場合が多いからだ。

確かにProgateがCodecademyをトレースしていることは否めない。完成度もまだまだだ。しかし、前述の通り日本語で日本人にわかりやすく作っていることと、なにより私でもスムーズに学習することができたことは驚きだった。もちろん、彼らが学生起業家であることも注目すべき点である。

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スライドとプレビューで学習が進むProgate

共同創業者で代表取締役の加藤將倫氏と取締役の村井謙太氏の2人は共に東京大学工学部の4年生で、現在は休学してこのサービスを開発している。すでにEast Venturesから支援も受けており、この辺りがY Combinatorで支援を受けつつ、共に学生起業家だったZach SimsとRyan Bubinskiとも似ている。学習意欲が旺盛な時期に作りたくなるサービスなのだろう。

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Progate代表取締役で共同創業者、東大工学部4年生の加藤將倫氏

実際、2人は元々ある人物からプログラミングを教えてもらい、ウェブサービスの受託などを請け負っていたことから、お金を稼ぐ経験や起業への道筋を発見したと話していた。この体験を他の人にも共有したい、そういう思いからProgateを開発したのだという。

「Progateは1つのウェブサービスを作り上げるイメージで、段階的にプログラミングを学習できるサービスです。2人でコードを書いて約4カ月ほどで今のものまで作りました。

受託などを通じてスタートアップに関わったりする中で、私たちはプログラミングの師匠に出会い、実際にお金を稼ぐような経験もできましたが、全ての人たちが同じように巡り会えるわけではありません。そういった機会に恵まれない人たちに指針を与えてくれるようなサービスが欲しかったんです」(共同創業者の2人)。

プログラミングを学ぶことがどういう結果をもたらしてくれるか、という視点は大変重要だ。その結果としてお金が稼げる、視野が広がる、なんでもいい。なんとなく学ぶということほどの苦痛はない。

そういう意味で2人がこのサービスを立ち上げた経緯というのは、同世代の学生たちを刺激するものになるかもしれない。

Takeshi Hirano

Takeshi Hirano

ブロガー。TechCrunch Japan、CNET JAPANなどでテクノロジー系スタートアップの取材を続け、2010年にスタートアップ・デイティング(現THE BRIDGE)を共同創業。1977年生。(株)THE BRIDGE代表取締役

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