成果報酬広告で賃貸情報の勢力図を塗りかえるキャッシュバック賃貸、総額1億円の資金調達

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2015.2.4

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左:賃貸情報代表取締役の金氏一真氏、取締役の遠藤彰二氏

成果報酬型の賃貸情報サービス「キャッシュバック賃貸」を提供する賃貸情報は2月4日、電通デジタル・ホールディングス、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を発表した。調達した金額は総額1億円で、払い込み日や割当株式の比率などの詳細は非公開。

2013年11月のβ版公開から2014年3月の物件ピーク時に120万件を突破、約1年3カ月が経過した現在、180万件の物件数が登録されており「新たな情報追加で早々に200万件の数字が見えてきている」(同社取締役の遠藤彰二氏)ということだった。

今回株主として参加した二社とはプロモーションや賃貸情報に関連するアライアンス先とのマッチングなどで積極的な協業も進める。調達した資金については、プロモーションやそれに関わる新たな開発資金として使われることになる。

キャッシュバック賃貸の仕組みについては、前回、グローバル・ブレインから1億円の資金調達を実施した際に少し書かせてもらった。賃貸情報サービスとして大きな影響力を持つリクルートのSUUMO、ネクストの運営するHOME’Sはそれぞれ不動産事業者が広告掲載時に掲載料金の発生する「掲載課金」、問い合わせに対して掲載料を発生させる「反響課金」というモデルを採用している。

キャッシュバック賃貸___祝い金がもらえる賃貸情報サイト

それに対して賃貸情報は圧倒的にロスが少ない成約課金を採用している。また大手がこの手法を採用する場合、既存ビジネスとの整合性が取れず実施が難しい。

これまでは物件数で差があったので同じ土俵にはなかなか上がらなかったが、今回200万物件という数字が見えてきたことから、いよいよ本格的に大手との対決が可能になってきた。普通に考えれば、利用者は成約した際に「お祝い金」と称したキャッシュバックを受けることができるので、こちらで契約した方が得をすることになる。

※私事だが、現在引越しを検討していて少し気になっていた物件を調べたところ、確かにこちらの方が手数料レベルで1カ月ほど安かった。交渉でなんとかなるのかもしれないが、そういう話が見える化されているのは便利だ。

課題は認知度だ。

「他の大手が数十億円単位でCMなどのプロモーションを実施しています。もし私たちが数億円を調達してそれに対抗しても意味がないんですよね」(遠藤氏)。

SINGLE_HACK__シングルハック____一人暮らしを刺激するウェブマガジン

現在、賃貸情報ではSINGLE HACKというライフスタイル関連のウェブマガジンを発行している。こういうコンテンツマーケティングやSEOなどの施策、その他にもいくつかユーザーにリーチできる方法を用意している。

中でも大きいのはCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)との連携だ。彼らはCCCが開催したT-Venture Programに入賞、今後CCCが保有する5000万人近くの会員組織にアプローチを考えているという。

「大手だったら(これまでの掲載課金や反響課金の広告掲載サイトを使っても)100室決まれば他の広告費が垂れ流しになってもそこまで問題になりませんでした。しかし小さい規模の不動産事業者は馬鹿になりません。結果的にこのモデルに対する不動産業界の支持は高まったのですが、まだまだユーザーに対する認知度が低いのが課題なんです」(代表取締役の金氏一真氏)。

CCCは蔦屋書店などに代表されるような都市と一体になったまちづくりにも積極的で、今回の連携にそういう観点からも期待を寄せるという。

さて、具体的にはまさしくこれからの動きとなるのだが、もし仮に彼らの認知度が格段に上がり、SUUMO、HOME’Sの次の選択肢として浮上すればユーザーにとっては大変面白いことになる。どこで検索しても一緒、という図式から「こちらの方がお得」というバランスは新しい競争を生むかもしれない。

また彼らのローコスト戦略も大変興味深い。現在、リクルートやネクストはこの賃貸情報サービスを支えるために数百人規模の営業人員を抱えている。それに対して、賃貸情報はまだ10名程度の陣容だ。今後はカスタマーサポートを充実させるということだったが、営業については増やすことはほとんど考えていないようだった。

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