CCCが「T-Venture Program 2016」の最終審査会を開催、オンライン観劇サービスの「観劇三昧」ほか2社が入賞

Masaru IKEDA by Masaru IKEDA on 2016.12.12

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TSUTAYA を展開するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)は1日、傘下の CCCベンチャーキャピタルである IMJ Investment PartnersCCC マーケティングと共同で、スタートアップ育成支援プログラム「T-Venture Program 2016」の最終公開審査会を都内で開催した。

今期バッチでは8月1日~9月16日に応募が受け付けられ、一次審査に進んだチームが10月31日~11月28日の約1ヶ月にわたり連携プランをブラッシュアップ。この日の審査会では、二次審査を通過した8チームがファイナリストとして登壇した。価値創造、成長性、ブランディングなど4つの要素について審査員が採点し、入賞スタートアップ3社が選ばれた。

このプログラムでは、通常のインキュベーション・プログラムなどと異なり、運営主体である CCC とのシナジーが見出せるか、コラボレーション内容を提案できるかどうかも審査の上での重要ポイントとして評価される。

審査員を務めたのは、

  • 増田宗昭氏 カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長兼CEO
  • 石田宏樹氏 カルチュア・コンビニエンス・クラブ 取締役 CIO
  • 北村和彦氏 CCCマーケティング 取締役副社長
  • 中西一雄氏 T-MEDIAホールディングス 代表取締役社長
  • 堀口雄二氏 IMJ Investment Partners 代表取締役社長
  • 吉村 毅氏 デジタルハリウッド 代表取締役社長兼CEO
  • 白砂 晃氏 フォトクリエイト 代表取締役会長
  • 谷川じゅんじ氏 ジェイ・ティー・キュー 代表取締役 スペースコンポーザー
  • 浜田敬子氏 朝日新聞社 総合プロデュース室 プロデューサー(AERA前編集長)

…以上9名の方々だ。増田氏は審査委員長を務めた。

入賞した以下のスタートアップは今後、T-SITE とのテスト連携を含む「T-Venture Program」の第2フェーズ(Incubation2)に参加する。なお、今回は審査の結果、CCC がスタートアップとの協業に深くコミットしたいとの判断から、優秀賞に入賞したスタートアップはいなかった。

【CCC 賞】観劇三昧 by ネクステージ

副賞:T-POINT 100万ポイント、「GREEN FUNDING by T-SITE」クラウドファンディング発の最先端ガジェット 10万円相当

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登録されている演劇動画を、月額980円で見放題のサブスクリプションモデルのオンライン観劇サービス「観劇三昧」。スマホやタブレットのアプリなどからオンラインで視聴することができ、登録作品数は12月1日現在で155劇団、507作品に達している。有料ユーザ数は1万人、無料ユーザを含む累積のユーザ数は8万人。毎月10~15本の新作を追加している。

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最前列観劇モードの追加のほか、今後は、国内作品の多言語翻訳を行い、日本の演劇市場(演劇数64,000件、2,117億円)の3倍の規模があるという韓国、6倍の規模があるというアメリカにも展開していきたいとのこと。劇団のエージェントとしても機能し、CCC と共同で人気舞台を映画化する事業に取り組む構想を明らかにした。

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【T-SITE 賞】Craftie by Craftie

副賞:T-POINT 50万ポイント

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Craftie は、11月29日にローンチしたものづくり体験の予約サイトだ。グルメの需要にクックパッドや食べログのようなサイトがあるのと対照的に、アートやものづくり教室ににおいては、その需要に相当するサイトが無い。ものづくり人口は2,500万人、9,000億円市場と小さくないが、ものづくり教室はほとんどが個人経営であるため情報が集約されておらず、オンラインサービスとオフラインサービスの二項対立が生じている。

Craftie では、オンライン体験とオフライン体験をつなぎこむことに注力する。ライフスタイルをテーマとする T-SITE 湘南では手芸関連本が日本で一番売れていることから、直営の T-SITE 100店舗のうち10%に相当する10店舗でワークショップの企画・実施やパイロット運営を希望。教室への送客手数料や手芸材料の物販などでマネタイズを図る。

【TSUTAYA 賞】マンガハック by エコーズ

副賞:T-POINT 50万ポイント

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マンガハックは、漫画を簡単に投稿できるウェブサービスで、キャラを紹介できる機能や特典イラスト機能などが強み。競合であるマンガボックスなどと比べても月間の更新作品数242作品と数が多く、作品の中には大手出版社から単行本化されるケースも出てきている。現在までの合計収録作品数は4500点。電子書籍の浸透も手伝って事業が右肩上がりに成長、今後は、ウェブ発のコミックスとして出版事業にも進出したいと抱負を述べた。

CCC とは読者参加型のエンターテイメントを企画したいとし、その皮切りとして、T 会員を審査員としたマンガ投稿オーディションを実施、作品がトーナメントを勝ち進むごとに、その作品の次のエピソードが読めるようになる演出を施す。また、T 会員のデータベースを連携することで、マンガ作品の販売前からファンをつけ、顧客情報を生かしたマーケティングの実施を可能にし、高確率でヒット作品を生み出したいと意気込みを語った。


以下は入賞には至らなかったものの、ファイナリストとして雄姿を飾ったスタートアップたちだ。

Livees! by ONE GROOVE

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Livees! は、主要なライブや音楽フェス情報を提供するアプリで、iOS デバイスにインストールすることで、ユーザが iOS デバイス内に保持している楽曲の情報をもとに、行きたくなりそうなライブやフェスをレコメンドしてくれるほか、フェスについては、タイムテーブルを網羅して情報提供する。興味が合いそうな人とつながることができる、ソーシャルネットワークの機能も持つ。現在はベータ版だが、近日中に正式版をリリース予定。日本のライブ・フェス年間人口の1%に相当する45万人を、ユーザとして獲得したいとしている。

広告・チケッティング・ユーザ行動データのビッグデータ販売でマネタイズ。CCC とは、T-Ticket でライブやフェスのチケットが購入できる、TSUTAYA から CD レンタルがレコメンドされライブやフェスに向けて事前の予習ができる、フェスのオフ会を TSUTAYA で開くことができる、などのメニューを TSUTAYA LIVE CLUB の名前でパッケージ化して消費者に提供したいとのこと。これらのしくみがワークすれば、CD そのものについては無料で消費者に提供できるようなスキームも夢ではないという。

BuzzScreen by バズウィル

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BuzzScreen は、ユーザが1日平均60回操作すると言われるスマートフォンのアンロック画面にリッチなコンテンツを提供し、ユーザがこれを閲覧することでリワードをもらうことができる SDK だ。韓国の OK Cashbag(OK캐쉬백)をはじめ、海外20社以上のリワードプログラムなどで採用されており、現在、マレーシア・ジャカルタ・台北・ニューヨーク・ソウル・東京でサービスを展開中。韓国では、スマートフォンユーザ人口3,900万人のうち2,000万人が BuzzScreen を利用しているとのことだ。

CCC とは T-Screen という名で共同事業を希望。CCC にとっては、ユーザとのタッチポイントの創出、T-SITE の情報をもとにしたアンロックスクリーン上への毎日消費可能なコンテンツの提供、T カード会員の情報と紐づけることでユーザの属性にあった広告やコンテンツの表示を実現する。T カード会員の Android ユーザ2,000万人のうち20%に相当する400万人が使えば、年間で6億円の収益が生み出せると見込んでおり、これを BuzzScreen は CCC とレベニューシェアしたいと話した。

この分野には、韓国の CashSlide(캐시슬라이드)Yoyo Holdings の PopSlide、インドの PaisaSwipe などが競合として存在する。

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SOUNDTABLE by KAMARQ

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KAMARQ は IoT 家具の SPA 事業を展開、以前にも紹介した SOUND TABLE や MEMORY DOOR といったプロダクトを開発・販売している。CCC とは、既存の什器を活用することで、進化する什器を提案する「蔦屋家具」なる事業を共同運営し、店頭のタッチポイントを使って、消費者にあこがれのライフスタイルの体感を提案したいとのこと。現在は IoT ベッドも開発しており、寝るだけでバイタルデータがとれるようなしくみになるだろうとのことだ。

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AdSpacee by スペイシー

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AdSpacee は、店舗オーナーに店頭の未使用の壁面などを広告スペースとして出品してもらい、広告主が広告出稿を依頼できるマーケットプレイスだ。商圏を集中することができ、遊休スペースであるため手軽な価格で出稿することができ、QR コードなどを入れることで効果測定しやすく PDCA も回しやすい。1ヶ月ほど前にβ版をローンチし、これまでに120箇所・月間3万人にリーチできているという。

CCC との連携では、顧客/オーディエンスデータの相互利用を想定しているとのこと。あるユーザについて、CCC の購買データと AdSpacee で接触したときの認知データをマッチング、T ポイントをもらえるなどの報酬をユーザに提供することで、ユーザが関心を持ってから購入に至るまでの軌跡を追えるようになる。広告をタッチし忘れても店舗に近づくとプッシュ通知を投げられたり、T ポイント加盟店同士が相互に広告出稿できたりするしくみも計画している。

#AGENT_TRAVIS by TEAM.KING KONG COMPANY

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#AGENT_TRAVIS は、人工知能とビッグデータ活用により、人生で最高の一本と言える映画をユーザに提案する映画リコメンドエンジンだ。TEAM.KING KONG COMPANY は #AGENT_TRAVIS を開発する傍ら、ビッグデータを用いた機械学習のコンサルティングや、SS 解析によるリコメンドエンジンの開発を行っている。

TEAM.KING KONG COMPANY は CCC との連携において、顧客が TSUTAYA の店頭で T カードを提示するだけで、POS データと Twitter のつぶやきデータの双方を読み込み、人工知能を介して最適な映画をリコメンドするサービスを提案。ユーザの趣味、関心のあるニューストピックの捕捉、ライフスタイルを包括的に網羅した映画リコメンドサービスが実現可能になるとしている。

Masaru IKEDA

Masaru IKEDA

1973年大阪生まれ。インターネット黎明期から、シンクタンクの依頼を受けて、シリコンバレーやアジアでIT企業の調査を開始。各種システム構築、ニッポン放送のラジオ・ネット連動番組の技術アドバイザー、VCのデューデリジェンスに従事。SI、コンサルティング会社などを設立。Startup Digest(東京版)キュレータ。

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