Baidu(百度)、Alexaに対抗できる中国のAIアシスタントスタートアップRaven Tech(渡鴉科技)を買収

SHARE:
Raven-Tech-Flow-voice-assistant-1resize
中国のスタートアップ Raven Tech が開発した音声アシスタントアプリがサッカーの試合結果を伝えている様子
Photo credit: Raven Tech.

Y Combinator が支援し、Alexa に対抗できる中国発 AI アシスタントを構築するスタートアップが中国の検索最大手 Baidu により買収されたと今朝(2月16日)ほど発表があった。取引条件は明らかにされていない。

この買収で約1,800万米ドルの資金提供を受けたのは、AI 対応音声アシスタントを開発し「Flow」というアプリ上でローンチした Raven Tech だ。

Flow は Siri というより Alexa に近い。というのも、Flow は他のウェブサービスでも動かせるプラグイン機能をサポートしているからだ。Uber が中国企業に配車システムに参入してもらう際、利用できる最初のアプリの1つが Flow だった。Eva という音声アシスタントに話しかけるだけでユーザは車を呼ぶことができた。

Raven-Tech-H-1-home-voice-assistant
Photo credit: Raven Tech.

しかしながら、Raven の Flow アプリは中国内でヒットしていない。Apple の中国版 China App Store で上位700位に入るのがやっとだ。それは、Baidu や Xiaomi など中国のテック大手が提供する音声アシスタントの競合という壁が立ちはだかっているからだ。さらに、Siri は中国語を話せる。Baidu 独自の音声検索アプリは2012年末にかけて出てきた。

北京を拠点とする Raven Tech はこの AI アシスタントを、複数のデバイスにアクセスできるのを見越して「次世代のオペレーティングシステム」と名付けている。Amazon が辿った道と同じく、Raven も Echo の形をしたホームアシスタント機器として出てきた。この製品に関しては12月にクラウドファンディングで資金を調達した。

Raven Tech は Tech in Asia からの問い合わせに対し、本案件の取引金額については言及を避けた。

Baidu はすでに AI や自然言語処理に多額の投資をしているが、そのほとんどは、シリコンバレーにある研究所(所長はチーフサイエンティストの Andrew Ng 氏)が関与している。時価総額650億米ドルの検索最大手である同社は先月、中国で人気のテレビ番組で会話ロボットをお披露目し、顔認識と音声認識を使って複雑な問題で人間と争い、勝利したばかりだ。

Ng 氏は先月、 人工知能が「新しい電気」になると語っていた

「2017年は会話コンピューティングの年になるでしょう」と Baidu の広報担当者は Tech in Asia に語った。その動きを前進させるため、Baidu は自社のデジタルアシスタント DuerOS(文字通り Du Assistant の意)に特化した事業部門を設けたばかりだ。今回買収した Raven Tech と同じく、Baidu は自社の AI プラットフォームを1つの OS と呼んでおり、これをできるだけ多くの機器に備え付けたいという。

(投稿40分後に追加された最新情報:Ng 氏の発言のほか、Baidu 発表の引用や詳細情報を追加。同社は、本案件の取引金額や、60名の Raven 社員が Baidu に引き継がれるかについては言及を避けた。)

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する