中国のバイオテック・スタートアップIcarbonx(碳雲智能)、設立半年でバリュエーションが10億ドル超

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ユニコーンは希少なはずではないか? どうやら中国では違うようだ。中国にはもう次のテックユニコーンが控えている。バイオテック・スタートアップの Icarbonx(碳雲智能)は月曜日(4月11日)、シリーズ A ラウンドにおいて10億米ドルの評価を受けたと発表した。以前投資している Vcanbio(中源協和)も参加した Tencent(騰訊)率いるラウンドは、1億5,400万米ドル規模であった。

2015年10月下旬に設立された Icarbonx は、半年も経たぬ間に10億米ドルの評価に達したことになる。これは最速のユニコーンというわけではなく、アメリカの e コマース会社 Jet.com はたった4ヶ月で10億米ドルの評価を得たが、これに迫る勢いだ。

しばしば見られる流星のごときスタートアップの登場は、素晴らしいアイデアと幸運によるところが大きい。同社は、世界最大の遺伝子配列解明技術企業 Beijing Genomics Institute(華大基因)の前 CEO である Wang Jun(王俊)氏によって設立された。彼は人工知能とビッグデータを使って健康管理ソリューションを生み出し、医学の飛躍的進歩を遂げるため、バイオテック、AI/ビッグデータの専門家を交えたチームで Icarbonx をスタートさせた。

去年10月、人工知能は中国のテックシーンでさほど注目されてはいなかった。しかし、Lee Sedol (李世乭、이세돌)氏と AlphaGo の対戦のようなイベントが注目を集めたため、近頃は誰もが人工知能の話題を取り上げBaidu(百度)Alibaba(阿里巴巴) といった大手企業も参入してきている。

現在は、Icarbonx への投資を通じて Tencent(騰訊)もアクションを起こしている。

Icarbonx は、設立者の Wang Jung 氏が掲げるワンストップショッピングを提供している。データを収集し、プラットフォームを構築することによって人生のあらゆる場面、あらゆるステージからデータ(遺伝子データを含むが、これに限らず)を掘り起こし、人工知能ベースの分析プラットフォームでそのデータに意義を見出そうというものだ。

スマートハードウェアで追加データ、デジタル/医学サンプルを保管してデータへのアクセスを維持し、ユーザにとって必要になりそうなものを人工知能が提案してくれ、その提案に基づいたサービスにユーザがアクセスできる O2O プラットフォームも備えられている。

しかし、Icarbonx の大局的な目的は大量の健康関連データを集めて分析し(もちろんユーザの同意を得たうえで)、データパターンから突破口を探ることだ。そのためにも同社は企業や組織によるデータへのアクセスと分析を許可しており、すでに病院から製薬会社まで様々な組織と提携したという。

Wang Jun 氏は中国のテックニュースサイト Netease Tech(網易科技)にこのように語った

すべての人の生活データをデジタル化し、解読したデータから価値ある教訓を得ることが全人類の生活の質の向上につながると思っています。

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

【原文】

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