インドの個人向け融資スタートアップMoneyTap、シリーズAラウンドで1,230万米ドルを調達

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Image Credit: MoneyTap

バンガロールに本社を置く MoneyTap は、アプリベースの個人向け融資スタートアップ。その MoneyTap が、Sequoia Capital India のリードするラウンドで総額1,230万米ドルの資金調達を行った。同ラウンドには既存投資家として New Enterprise AssociatesPrime Venture Partners も参加した。

今回調達した資金を利用して、フィンテックスタートアップである MoneyTap は新たに6つの銀行やノンバンクの金融機関と提携し、さらに、2017年末までにサービス提供地域をインド国内の50都市に拡大させる予定で、これにより、新たな顧客層にも融資を受けやすくなるようにしたい考えだ。

MoneyTap はシリアルアントレプレナーの Bala Parthasarathy 氏(Prime Venture Partners の共同設立者でもある)、Anuj Kacker 氏、Kunal Varma 氏らによって設立された。同社は様々な銀行やその他金融機関と非常に緊密な提携関係を結ぶことにより、簡便で迅速な融資プロセスを実現している。

MoneyTap のターゲットは、月収2万インドルピー(311米ドル)以上の会社員や自営業者。同社のアプリ(今のところリリースされているのは Android 版のみ)では、4分程度で与信審査が行われ、アプリ上で即座に融資の可否判断を受けることができ、借入可能な金額を知ることもできる。

このように借入限度額を通知することで、顧客は借入金額を3,000インドルピー(47米ドル)という小額にしたり、50万インドルピー(7,780米ドル)にしたり、もしくは最大限度額まで借りたりと、選択することができる。さらに、2ヶ月から3年までの柔軟な返済期間の中で顧客は毎月の返済計画を自分で決めることができる。利息がかかるのは元金のみで、金利は月利1.25%程度。完済すると借入限度額も上がる。

MoneyTap は RBL Bank と提携することで即座に可否判断を行い、24時間いつでも借入を可能にしている。引き落としや返済などすべての金融取引の処理自体は RBL Bank が行うが、安全な API を利用した MoneyTap アプリを通じて処理されるため、100%安全な取引が保証される。

MoneyTap によると、2016年9月のローンチから現在まで獲得したユーザ数は30万人を超えるという。ユーザの大部分は月収3万〜4万インドルピー(467〜622米ドル)の28〜32歳。同社は今年度末までに借入限度額を30億インドルピー(4,700万米ドル)まで引き上げることを目標としている。

インドにおける消費者金融市場の複合成長率は18%となる見込みで、2020年までに市場規模は1兆2,000億米ドルに達すると予想されている。また、インドは最も融資が普及していない市場の1つでもあり、国民の70%近くが金融機関からの融資を受けられない環境にある。インドでは無担保個人ローンの普及率は非常に低く、金融機関からの借入では約1%となっている。

同国中央銀行 RBI の2016年8月時点のデータによると、12億人のインド国民のうち、クレジットカードを保有しているのはわずか2,640万人。それに比べ、携帯電話利用台数は約6億台にものぼり、2012年に4兆1,850億インドルピーだったモバイルバンキングの取引高は、2016年10月には5兆2,430億インドルピーまで増加した。これらのデータすべてが示しているのは、金融機関と協力している MoneyTap のような個人向け融資スタートアップは、従来の融資ビジネスが見落としてきたような、高い信用力を持ちつつも金融サービスを受けられなかった顧客基盤にサービスを提供することができる、ということだ。

Sequoia Capital India のトップを務める Abheek Anand 氏は次のように語っている。

インドにおける個人向け融資の普及率は非常に低い水準にあり、解決が非常に難しい問題となっています。MoneyTap は経験豊かなチームとよく考えて設計された商品を併せ持っています。この大規模な市場機会に挑むアプローチの有効性は、早い段階からの強いトラクションによって証明されています。

最近では、インドの中小企業向けデジタル融資プラットフォームの Lendingkart Finance が、インド第4位の民間銀行である YES Bank からの借入により、780万米ドル(5億インドルピー)の資金調達を行っている

【via e27】 @e27co

【原文】

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