今後、続々と日本上陸するAIスピーカーは、私たちの暮らしをどう変えるか【ゲスト寄稿】

by ゲストライター ゲストライター on 2017.9.27

本稿は、VR や音声インターフェイスなどの先端テクノロジーを活用した UX/UI 領域で事業展開している、WHITE の CEO 神谷憲司氏による寄稿である。

「AIスピーカーが私たち暮らしをどう変えるのか」をテーマに、主に海外先行事例やAIスピーカー界隈のスタートアップの紹介と、そこから予測される日本市場での活用方法などを解説していただく。


Alexaが動作するアマゾンのデバイス。左から、Echo Dot、Amazon Tap、Amazon Echo
Image Credit: Ken Yeung/VentureBeat

読者はすでにご存知の方も多いと思うが、AI スピーカーがアメリカで急速に普及している。アメリカでは、2015年に170万台、2016年に650万台のAIスピーカーが売れた。2017年には2,450万台が出荷され、今年中に累計3,300万台の AI スピーカーが普及すると予測されている。数字を見ると、特に2017年の伸びが顕著だ。

「Amazon Echo」が米国で一般向けに発売されたのが2015年。その後、1年以上空けて2016年11月に「Google Home」が発売された。eMarketer が2017年5月に発表した市場シェア調査によると、先行した Amazon Echo が70.6%でトップ、Google Home は23.8%。その他のメーカーは、合わせても全体の5.6%にとどまる。さらに、2017年12月に Apple が「HomePod」をアメリカ、イギリス、オーストラリアから投入することを発表しており、その動向が注目される。

この波が、2017年日本にも押し寄せる。現時点では、どのメーカーも日本での発売時期を公表していないが、LINE の「WAVE」はすでに7月に先行販売を実施しており、順調に機能バージョンアップも進み正式発売も近いと思われ、他各社もその流れに追随していくことが予想される。

アメリカでの普及スピードを日本の人口に照らして考えると、日本でも2020年には1,000万台以上が普及するものと予想できるだろう。日本の1世帯当たりの平均人数2.47人という数字から、単純計算で2,470万人程度、AI スピーカーのユーザーが日本にも生まれることになる。

AI スピーカーは、私たちの暮らしをどのように変えるのだろう。これまでは、PC なら物理キーボード、スマートフォンならタッチパネルが入力のインターフェースだった。それに対する出力はモニター、すなわち視覚で捉えるのが普通だった。対して、AI スピーカーには音声で入力して、音声の出力を得る。想像したことはあったかもしれないが、これは誰も体験したことのない世界だ。だいたい、何を話かければいいのかも分からない。

LINE が発売したスマートスピーカー「WAVE」
Image credit: LINE

AI スピーカーには、各社が独自で開発する AI 音声アシスタントが搭載される。Amazon Echo には「Alexa」、Google Home には「Googleアシスタント」、Appleの HomePod は「Siri」、LINE の WAVE には「Clova」といった具合だ。

これら AI 音声アシスタントが、どういう入力に対して、どんなアウトプットをするのかを決めるのが、各 AI スピーカーに載せるコンテンツだ。スマートフォンにおけるアプリのようなものと考えるとイメージしやすいだろう。iOS に対して iOS アプリがあるように、Amazon の Alexa には「Skill」と呼ばれるコンテンツがあるというわけだ。

このSkillを今、さまざまな企業・個人が開発しており、種類・数が爆発的に増えている。2016年の1月にはたった130しかなかったSkillが、加速度的に増え続け、2017年9月時点で20,000を超えた。これらSkillにはどのようなものがあるのか。

スキルをジャンル別で見ると、ニュース、ゲーム、トリビア(「今日は何の日?」のようなコンテンツ)、教育系の分野のコンテンツで全体の過半数を占める。

また、PC やスマホでいうところの EC の注文を音声で行う「オーダー系」の Skill も、多数の企業・ブランドが提供しはじめている。AIスピーカーに特定の言葉で呼びかけると、ドミノピザや、スターバックスのコーヒー、映画のチケットなんかを注文できたり、UBER の配車を頼めたりするSkillは人気が高い。

Amazon Echo に搭載される「Skills」
Image credit: Amazon

そのほか、これまでテキストによるチャットボットが対応してきたような「相談系」のコンテンツが、そのまま VUI(Voice User Interface)コンテンツ化する傾向も見て取れる。例えば、保険アドバイザーや、料理のレシピアドバイザーなどは人気のSkillだ。

こうしてみると、VUI は企業と生活者の重要なタッチポイントになりつつあることが分かるのではないだろうか。映画の宣伝のために、ゲームを「Skill」として提供したり、テレビ CM の音声を AI スピーカーに拾わせてそこから広告につなげる施策を行った事例などは、アメリカで話題を呼んだ。ブランディングやプロモーションに VUI コンテンツを利用しようとする企業は今後、増え続けると考えて間違いない。

AI スピーカーがユーザーから支持されるかどうかは、今後どのようなコンテンツが出てくるかにかかっている。この先1、2年は、日本でもさまざまな業種の企業が、VUI コンテンツの開発に走ることが容易に予想できる。そこでアメリカの事例を見ると、日本でどのような使われ方がされるのかの参考になるはずだ。

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