「世界を変えるスタートアップが目指す­未来」〜京都・第13回Monozukuri Hub Meetupから【ゲスト寄稿】

Sasha Kaverina 氏

本稿は、京都を拠点とするジャーナリスト Sasha Kaverina 氏による寄稿を翻訳したものである。

オリジナルはこちら

Monozukuri Hub Meetup」は、 は京都を拠点とするハードウェアに特化したスタートアップアクセラレータ「Makers Boot Camp」が主宰している。

本稿における写真は、京都を拠点とするシステム生物学者の Tugi Guenes 氏による撮影。


スタートアップは、基本的な問題を解決し、新しい価値を作り出すことができる。これまでに Monozukuri Hub Meetup がもたらした前例のない成功を受け、我々はスポーツコーチングから感情のスキャンニングまで、未開拓の可能性について語らずにはいられないように感じた。Facebook 上での投稿が見逃した人のために、読んでほしい重要なポイントをここに書いておきたい。(過去の Monozukuri Hub Meetup に関する寄稿

イベントについて

11月に開催された Monozukuri Hub Meetup には、パワフルな話を聞きたいと願う、国際的なバックグラウンドを持った投資家、将来有望なスタートアップ、好奇心旺盛な聴衆が集まった。今回は現実問題の解決に取り組み、現代生活に新しいソリューションをもたらすスタートアップが果たすべき重要な役割に焦点を当てた。

東京のハードウェアスタートアップ OTON GLASS と Xenoma を紹介しよう。

OTON GLASS

OTON GLASS CTO の淺野義弘氏

最初のスピーカーを務めた OTON Glass CTO の淺野義弘氏は、視覚障害者や字を読むことに難がある人に向けたスマートグラスを紹介した。文字を認識し翻訳する IoT デバイスを作るというアイデアは、OTON GLASS CEO の父が脳手術を経て、字が読めなくなる失読症を患ったという苦い経験から生まれたものだ。

浅野氏が OTON GLASS を着用し説明を始めると、カメラが紙に印刷された言葉を文字認識しイアービースからテキストが読み上げられた。このデモは英語と日本語で行われた。将来、人々の感情を読む “Scan-and Say” メガネを生み出す可能性にもつながるだろう。

失読症は、正確かつ流暢に言葉が読めなくなる障害だ。OTON GLASS が説明した研究結果によれば、日本では約152万人が失読症に苦しんでいるという。

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Xenoma

さまざまなスポーツやアクティビティで動作を改善する Xenoma の「E-skin」

東京大学からスピンオフして設立された Xenoma の網盛一郎氏は、大画面でゲームを見せ聴衆を驚かせた。彼の動きの一つ一つが、走ったりジャンプしたり壁を叩いたりするなど、ゲームキャラクターの動きにリアルタイムで反映された。網盛氏がセーターを脱いで、銀色の電子回路が散りばめられたスマートアパレルを見せると、聴衆はそれに見入っていた。

E-skin の異名を持つこのスマートアパレルはモーションキャプチャーやトラッキングが可能で、人の身体を完璧な VR(仮想現実)コントローラにすることができる、網盛氏の説明によれば、E-skin はスポーツやゲームだけでなく、医療や介護にも活用できる可能性がある。ウエアラブルリストバンドと違って、自分でシャツを脱ぐことができない認知症患者を検知できるのが好例だ。

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2人の投資家、平強氏と Arnon Kohavi 氏からのアドバイス

短い休憩の後、イスラエル生まれのエンジェル投資家 Arnon Kohavi 氏と、国内外投資の専門家で Tazan International の平強氏によるパネルディスカッションが行われた。共に半導体業界のバックグラウンドを持つ2人のゲストは、以前と現在で、技術の観点から困難についてのインサイトをシェアしてくれた。

平強氏は現在、アナハイム大学でヒューマニティー分野の名誉教授を務める。

長きにわたり Sanyo Semiconductor Corporation(三洋電機の米国法人)に勤務した平氏は、これまでに起こった楽しい話で聴衆を沸かせた。平氏が、レストランのナプキンに書かれた素晴らしいアイデアが200万米ドルの価値を持ったとの話をすると、聴衆は大きな声で笑った。彼は、日本のエンジニアの賢明さを賞賛し、国内ベンチャーを支援する意欲を示した。しかし、彼はそんな日本の可能性をダメにしている点を指摘した。

日本政府の厳しい政策は、多くのスタートアップが競争の激しい市場に参入するのを阻んでいる。

Kohavi 氏は、1990年中頃、シリコンバレーで活躍した。

Arnon Kohavi 氏は、チリ、シンガポール、そして現在は日本で国際スタートアップ投資に特化しているが、以前にはシリコンバレー拠点のスタートアップを数社設立している。彼の見方では、会社を設立したい起業家は、新しいスキルやキャラクタを築くために、居心地のよい場所から外に出るべきだという。彼は日本のエンジニアに、発明の内容をシンプルにすべきだとアドバイスした。

カスタマが押す必要のあるボタンを減らせば、もっとよいものになります。

最後のセッションは、法律問題、日本の病院とのコラボレーション、生産価格にチャレンジする日本のスタートアップらが登壇した。2つ目のパネルディスカッションで出された質問には、ネットワーキングセッションで個別に登壇者と質問者の間と対話がなされた。

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