コードを書かずにデザイン本位のWebサイトが作れる「STUDIO」、1年間のβ運用を経て正式版をローンチ——自ドメインでのサイト公開も可能に

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東京に拠点を置くスタートアップ STUDIO は2日、クラウドベースの Web サイト作成ツール「STUDIO」を正式ローンチした。同社は昨年4月にβ版を公開しており、約1年間を経ての正式版の公開となる。

STUDIO は、以前、個人旅行ツアープラットフォーム Travee を共同創業した石井穰氏と(Travee はその後、旅行大手エイチ・アイ・エスに事業譲渡)、UI/UX 設計やアプリ開発を手がけたオハコの取締役を務めた甲斐啓真氏(オハコは後に、インターネット総合サービスのココンによりグループ会社化)らにより創業。

サービスステップ
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STUDIO は、HTML や CSS のコーディングスキルが全くなくても、ドラッグアンドドロップによるデザイン本位の操作だけで Web サイトを作成できるクラウドサービスだ。この種のツールにありがちな、コードのエクスポートや Web サーバへのアップロードといった作業は必要なく、デザイナーがクラウド上でデザインした Web サイトをそのまま一般公開できる簡単さが最大の特徴だ。

STUDIO の共同創業者で CPO を務める甲斐氏によれば、簡単な操作で Web サイトがデザインできるという点では、ペライチWIXSquareSpace なども部分的には競合になり得るが、とりあえず Web サイトが欲しい個人ユーザや小規模企業よりは、デザインを専業としている(しかし、コーディングスキルを持った人がいない)事業者をターゲットにしている点で、「簡単さをプロの世界に持ってくる」という差別化が功を奏しているようだ。競合の中でも最も STUDIO が意識しているのは Webflow のようだが、機能数が少ない割には操作が難しいため、これを上回る UX/UI を実現するところに当面の目標を置くようだ。

βローンチからのユーザ数推移。海外ユーザが6割を占める。
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昨年8月、STUDIO は Product Hunt で「#1 Product of the Day」を獲得し、ここからユーザ数を大幅に伸ばすことに成功した。現在のユーザ数は1万8,000人を超えており、海外ユーザが全ユーザの6割というグローバルでの認知度向上にも成功している珍しいスタートアップである。ターゲットを小規模な Web サイト制作会社に定めたことで、彼らのお客さんのプロジェクトに STUDIO を採用してもらい、プロジェクト単位で料金を支払ってもらう形をとっている。料金は月額9ドルからで、利用開始から14日間は無料でのトライアル利用が可能だ。

STUDIO が機能を提供するサイトの多くは、コーポレートサイトやランディングページといった、静的コンテンツで構成される Web サイトだ。シンプルさが売りのサービスではあるが、今回の正式版で、Web サイトをチーム運用できる機能(複数のメンテナーが登録可能)がリリースされた。今後は、Web サイト上に、入力フォームや更新可能なニュースを挿入できる機能を追加する予定だ。

同社は昨年10月、シードラウンドで D4V、大和企業投資、2名のエンジェル投資家から5,000万円を調達している。

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