起業家が別れを告げる−ある中国人起業家の失敗談

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【翻訳 by Conyac】 【原文】

先日、China Business Newsはある中国人起業家の興味深い失敗談について取り上げた。中国語が理解できるのであれば原文をお勧めするが、そうでない人々のためにここで事の顛末をお届けしよう。以下に続く要約文はChina Business Newsに基づくものである。


Chen Junは卒業後、武漢にある巨大国有会社に就職した。絶縁工学を専攻していたChenにとって、武漢の仕事で昇進が約束されていることはすぐにわかった。長期的に安定した仕事と、相当な給与、国有会社での中間管理職という社会的地位をも手にすることができると期待されていた。これは多くの中国人にとっては妬ましいほどの待遇で、特に1990年代後半として考えればなおさらだった。ところが彼は1年もしないうちにその恵まれた環境から身を引くことにした。彼の月給800人民元は(換算すると現在で126米ドルだが、90年代後半ではもう少し低いと考えられる)十分な給与とは言えず、彼は職場環境も好きになれなかった。

彼は、その時代に大きなブームとなっていたインターネットテクノロジーに魅了されていた。2000年、最初のインターネットバブルとされるものに影響され、彼自身起業した。その頃の中国には「あらゆる木の後ろには、インターネット起業家が通りかかるのを待ち、お金をばら撒きたがる投資家が隠れている」というジョークがあった。Chenにはいつの日か会社が大きくなり、ハーバード大学で成功について講義する日が訪れるという夢があった。しかし、彼の会社が大きくなるのを待たずしてバブルがはじけた。そして、彼は店をたたむことを余儀なくされた。

この失敗によって精神的にも経済的にもChenは追い詰められた。彼は急場しのぎに友人が経営する印刷所で仕事をもらい、いつの日かこの失敗を忘れていった。彼は結婚して息子を授かり、多くの家庭内不和の元凶となったギャンブルにのめり込むようになり、やがては印刷店もクビになった。

しかし、彼は起業に対する夢を諦めてはいなかった。数年後、彼は新たな会社を立ち上げた。これは、彼の専門分野である断熱に近く、集中空調装置を売るというものだった。彼は中国人の有力者のライフスタイルに身を投じ、重要な友人たちをもてなしたり、将来的なビジネス成功に有益だと思われる官僚達へのコネづくりにいそしんだ。残念ながら、彼の活動は会社に大きく影響を与えることはなく、彼は店じまいをすることとなった。

しかしほぼ同時期、Chen Junは不動産による多額の収入を得ていた。これは全くの偶然なのだが、ちょうど彼が購入した上海の不動産物件が上手くいき始めた。アパートを購入し、価格が高騰するまで数ヶ月待ってから売りに出す。これだけで多額の収益を得られることができた。彼は即座にこの方法でいくつかのアパートメントをさばき、同時に別の企業への賢いベンチャー投資を行い、その見返りは大きかった。このようにして、2度の失敗を経た起業家Chen Junは資産家へと突然の変貌を遂げた。

しかし彼は未だ起業を諦めていなかった。AlibabaのB2B(企業間取引)eコマースモデルに関心を抱いていた。彼は独自のB2B(企業間取引)サイトを提案し、友人の反対を押し切って起業した。Chenは不動産市場での経験のようにここでも市場で大々的な上げ幅を期待していたがそう上手くはいかず、少なくともChenの会社が成功するまで持ちこたえることはできなかった。会社は急速に数十万人民元もの損失を出し、彼は市場から身を引いた。

もちろんChenは未だ裕福ではあったものの、幸福ではなかったし自分を無能に感じていた。彼は自身の経済的成功はまぐれあたりであり、3度の起業すべてが失敗に終わったことからも本当の成功を果たしていないと感じていた。もしこれが映画だったとしたら、ここでChenは雨の中上海の路上を歩きながら、彼の夢を実現させることができるような最高のアイディアを、そして成功へのスタートアップを突然思いつくという場面が待っていただろう。

しかし、これは映画ではない。Chenは雨の中、上海の道を歩いていたかもしれない。しかし、突然のひらめきがやってくることはなかった。Chenはカナダに移住した。彼は新天地でやり直したかった。また、息子に「普通の」教育を受けさせたかった。彼自身もまた、起業失敗から十分に引退への準備資金を残せなかったためどこか社会保障制度のしっかりした場所に住みたいと思っていた。彼はカナダでエンジニアとして働きながら、副業で中国レストランを始めるかもしれない。


China Business Newsは、残念ながらChenの会社がどのように操業されていたかの詳細が不足していたが、ここには起業家にとっていくつか学ぶべき点がある。それは、タイミングが重要だということ。幸運が重要だということ。そして一生懸命働き、犠牲を払ったとしても成功は保証されていないということ。時には失敗する。そして再び挑戦し、再び失敗する。気のめいることだが現実だ。明けても暮れても語られる、まるで成功が必ず約束されているかのような成功談に取り巻かれるからこそ、この種の話(失敗談)をシェアすることに意味があると思う。

実際がどうであったかはChen Junに聞いてみるのが一番だ。

[画像 via Shutterstock]

【via Tech in Asia】 @TechinAsia

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