中国版Groupon(高朋)はどのような問題を抱えているのか

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【原文】

GrouponとTencent(騰訊)のジョイントベンチャーであるGaopeng.com(高朋)は厳しい状況にある。同社は立ち上げ以前から問題があり、ほとんどの人を不覚にも怒らせてしまった、チベットで撮影されたスーパーボウルで放送したCMのせいで、事態は悪い方へと傾いていた。以前述べたように Gaopengの経営はスムーズなものではなく、7月に数百人規模の人員削減を実施し、今週も同じように人員削減を行った。その上、厄介なのは、キャッシュ・フローに問題があると噂されていることと、中国のプレスに、従業員が突然、理由も告げられずに解雇されたと主張されていることである。

我々はこの話を公表する前に、イギリスとアメリカのGrouponとコンタクトを取ることができ、本件に関するなんらかのコメントをもらえるかどうか確認した(中国サイドの発表によると、Gaopeng.com の広報チームは中国のメディアに対して、コメントは差し控えると伝えている)。この数日間で、私は数名のGroupon関係者からのEメールを受け取ったが、実際に記録に残せるようなコメントはなく、本日までにこのような内容の返事を受け取ったのみだ。

Grouponの国際戦略はまず競争の激しい最前線で存在感を高め、ローカル市場にあわせて戦略を調整するというものだ。市場で成功するための長期的な基盤を確立するために、ビジネスをそれにあわせるのは当然のことだ。中国でのジョイントベンチャーでの出来事は、新しい市場にあわせてとった例の一つにすぎない。

興味深いことに、GrouponのCEOがGaopeng.comに関する問題について、漏洩した内部メモのことを知った直後、我々はこのコメントは受け取った。Mason氏の発言内容は以下の通りだ。

中国のTencentとの合併会社がどうしたというのか。GaopengのCEOが我々の従業員の長男長女を誘拐して、月を半分に切るレーザービームを作るために働かせていると言う記事を読んだのか。それも真実ではなかったわけだ。中国は確かに違う市場だ。しかし、毎月収益確保に近づいている。

ドイツやフランス、イギリスを含む他の国で会社を設立する時の戦略がそうであるように、中国の成長戦略は、迅速に従業員を雇用し、結果を出すことだ。これまで、この戦略で中国における競争力が3000番から8番に上昇したのだ。

他のほとんどの国々(スイスは例外だが、頑張って欲しい)で優勢な地位を築いているように、中国でもにいつしかその地位に到達できるだろうか。今の段階では図りかねる。しかし、私の中では、長期におけるビジネスを築いているということは間違いない。

どうやらGrouponのCEOは、中国の批判をあまり真摯に受け止めていないようだ。この事だけでも心配といえるだろう。しかし、彼と我々が連絡を取った広報担当者の説明から考えると、彼らの戦略とは、とにかく迅速に従業員を雇用し、そこから後で能力の無い従業員を取り除くものというやり方だ。CEOも広報担当者もどちらも指摘しなかったことは、―もしこれが本当の戦略であるならだが―この戦略がどれだけ中国で逆効果になっているかということだ。

それはなぜか。実のところ少し信じがたいことであるが、全支店が閉業となった時に、能力の劣る従業員を取り除き、彼らは理由もなく解雇されたと言っているのである。解雇された従業員は話の一面しか話さないが、Grouponはこのことについて繰り返しコメントを避けている。この件について具体的な回答を求めたが、ほとんどの人はこれは事実上のレイオフであると結論付けている。

もしこれが Groupon の戦略だとしても、この戦略は中国に適していない。この解雇の結果、中国の産業界において、Grouponは不安定な職場というレッテルを貼られることになる。西洋諸国ではそれだけでも十分に悪材料だが、鉄飯碗の国(「鉄飯碗」とは、中国で職業の安定志向を表す言葉。古典的に、中国の軍人や国営企業の従業員は「鉄飯碗」を持っている、と言われたことに由来する)中国では、さらに状況は悪い。もしGaopeng.com が会社規模を拡大したいと思うときには、従業員を探すのに重大な問題を抱える事になるだろう。

結局、中国で他にもっと成功収めている共同購入サイトで働けるとしたら、なぜレイオフされるリスクを負いながら Gaopeng.com に勤めるだろうか。CEOであるMason氏のメールは、中国において Gaopeng はあたかも希望の星のごとくかかれているが、我々の調査によるとそういった訳でもなさそうだ。実際、8番目の地位にいると言うのもどこから来た話なのか定かではない。我々が確認した統計によると、Gaopeng.comはトップ10にも食い込んでいないからだ。

例えば、数ヶ月前のiResearchのデータがある。(groupon.cn(団宝)はGroupon中国ではない。このドメインは、Grouponが手に入れる前にライバル会社によって登録されたのであるのを忘れてはいけない。訳注:詳しくはこちら。)

あるいは、共同購入のまとめをしているDaTaoTuan(団購)の2011年6月の統計を見てみよう。Gaopeng.comは、ディールの提供回数を示す欄には、たったの一度しか掲載されていない。そして、これはマーケットシェアや販売数を示すものではない。

より最近のデータとして、8月の第一週(7月31日から8月6日)のHitwiseの報告書から見てみよう。またしても、Gaopeng.comは上位10位には入っていないのである。

Mason氏は、数週間前でなく、もっと新しい数字を見ているという可能性もある。しかし、いっせいに数百人もの従業員を解雇し、13もの支店を閉鎖している中、Groupon がマーケットシェアにおいて数段階飛び上がってきたとは、かなり想像しがたい。

というわけで、中国のGrouponに関しては不安を感じている。少なくとも、そのPR戦略は少々労力を伴うようだが、我々が聞いていない内部での問題が他にないとは信じがたいものである。率直に言って、私はMason氏が書いた長ったらしいメモについても少し心配している。あのメモは新規の株式公開の前に、出資してくれそうな人々の不安を和らげようとして、彼らに対して書かれたように読める。もしあのメモを意図的にリークしたのがGrouponであると証券取引委員会に嗅ぎつけられれば、同社がIPO前の沈黙しているべき期間にあったことを考えると、ちょっとめんどうなことになる。

どちらにせよ、中国版Grouponの最新情報が入り次第伝えるつもりだ。これらの問題が取り越し苦労だといいが、今、かなり懐疑的に感じているのは私一人ではないだろう。

(画像は、それぞれ言及した情報源から引用)

【via Penn Olson 】 @pennolson

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