Tencent(騰訊)のモバイルチャットアプリWeChat(中国ではWeixin=微信と呼ばれる)についてこれまでたくさん取り上げてきた。そのユーザ数が増大するにつれて、別の方面からもたくさんの注目を集めるようになっている。しかし興味深いことに、多くの人々はWeixinを脅威として捉えている。
読者の多くはおそらく、すでにThe Guardianの記事を見つけていることだろう。記事では、中国の反体制活動家にとって同サービスは脅威であるとされ、その理由の一つとして同サービスがロケーションデータに加えて、話した内容についても報告できることが挙げられていた。
WeChatの新たな流れのように見えるが、反体制派のHu Jia(胡佳)氏の言葉を引用すると、中国公安部で担当するguobao(国保=国内安全保衛局)は既にWeChat全体を把握しており、サービスを通して送ったメッセージが逐語読み取られていたという。
他のソーシャルメディア同様、WeChatが反体制派に対する安全保障上のリスクを負っていることにはさほど驚かない。台湾のような国がサービスのセキュリティに関心を持っていることも特段不思議ではない。しかし、中国当局はサービスを何らかの脅威と捉えているのである。
先日、国営のCCTV(中国中央電視台)はWeChatの危険性を取り上げ、匿名性と位置情報機能のせいで容易に犯罪に巻き込まれてしまう可能性があると報じた。例えば、Xu Xiaohongという名の独身女性がWeChat上で出会った男の待ち伏せにあって襲われ、殺害されたことが伝えられていた。強盗を企てていたその男はWeChatによって、彼女が現在どこにおり、目標地点にいつやってくるのかを知っていたのだ。
WeChat関連犯罪はありふれたものになっている。例えば杭州では、3ヶ月の間にこのサービスに関連した犯罪が20件以上起こったという。これは1年前の話で、サービスは現在さらに広まっており、関連する犯罪はもっと増えているはずだ。
もちろんチャットツールはどれも詐欺、強盗や犯罪に使われることがあり、多くの中国人コメンテーターが、CCTVはWeChatユーザによる犯罪のため、必要以上にWeChatを攻撃していると指摘した。同アプリはユーザが最初に地元のユーザ検索機能を利用する際に、知らない人を信頼しないようにという警告メッセージを表示していることにも触れておこう。
しかしそれでも居場所が特定されることを危惧する人は多いのが事実だ。中国のプライバシーに関する意識は西洋(行き過ぎた一般化を許容してくれるなら)に比べて低く、WeChatの位置情報は中国反体制派と公安の両方を狼狽させているのは興味深い。両者の関心事はそれほど一般ユーザには影響がないようで、登録者は驚くべきペースで増えている。
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