ロンドン発の電話/SMSゲートウェイ・プロバイダ「Nexmo」が日本市場参入を模索中

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2013.6.28

nexmo_logoGoogle の各種サービスにログインする際の2段階認証、メッセンジャーアプリに代表される OTTサービス(over the top)のサインアップ時の本人認証、サーバ死活監視のエンジニア呼出など、ウェブサービスと電話/SMSを組み合わせる方法は、さまざまな場面で利用されている。

SD Japan の読者であれば、KDDI Web Communications が提供する Twilio のケーススタディを読んでおられると思う。前出のしくみの多くは、サービスの運営者が自ら電話回線を敷設してシステムを構築しているわけではなく、Twilio に代表される電話/SMSゲートウェイを利用していることが多い。

世界的に有名な電話/SMSゲートウェイの三大プロバイダは、Twilio、Nexmo、Tropo だ。このうち、Nexmo のアジア太平洋担当キム・ウジョン(김우정)氏が今週来日しており、今後の Nexmo の展開について彼から話を聞くことができた。Nexmo は、NHN のメッセンジャーアプリ LINE の本人認証時のSMSゲートウェイを提供していることで知られ、その縁から NHN Investment が Nexmo に投資をしている。キム氏は Nexmo の担当者であると同時に、NHN Investment のパートナーでもある。

Nexmo という会社について教えてください。

キム・ウジョン(김우정)氏
キム・ウジョン(김우정)氏

Nexmo は、ロンドンの Silicon Roundabout(関連記事)で2年半前に設立されました。現在も本社機能はロンドンに、オフィスはロンドンとサンフランシスコの2カ所にあります。ウェブ→電話のゲートウェイと、ウェブ→SMSのゲートウェイを提供していますが、現在、ユーザの多くは LINE、カカオトーク、WeChat(微信)、Viber などのメッセンジャーアプリが占めています。これらのアプリの本人認証時の SMS などは、すべて Nexmo のゲートウェイを経由して提供されています。

精力的にアジア市場の開拓に奔走されているようですが、Nexmo にとって重要なのでしょうか。

はい。前述のように、メッセンジャーアプリ各社にSMSゲートウェイを提供していますが、これらのアプリがホットなのはアジア地域なので、我々の市場もアジアにあると考えています。事実、当社売上の60%、利益ベースで50%がアジア太平洋地域からもたらされています。

複数のゲートウェイ・プロバイダが凌ぎを削る中で、Nexmo はサービスをどのように差別化していますか。

auth_screenshot一番の差別化要素は、サービス品質の高さです。SMS でメッセージを届けるには、複数の伝送ルートが存在します。例えば、当社のシステムからインドネシアのキャリア TELKOMSEL のケータイを持つユーザにメッセージを届ける場合、7つの伝送ルートが存在します。SMS は必ずしも相手にメッセージが届くことを保証できないため、Nexmo のしくみでは、この7つの伝送ルートのうち、最も信頼性の高い伝送ルートを自動的に選択してメッセージを届けています。

この伝送ルートを自動的に選択するプロセスにおいて、Nexmo のしくみでは SS7(共通線信号)を使って、各キャリアとの疎通状態をリアルタイムでモニタし、さらに、過去の疎通実績をもとに、時間帯や諸条件から最良の伝送ルートを推測して選択するわけです。

電子メールなどと違い、SMS はユーザ認証に使われたりするので、より確実にユーザの元へ届けることが求められます。LINE の本人認証プロセスなどで培われたノウハウが生かされて、その結果、アジアで普及している多くのメッセンジャーアプリの認証に採用されるに至っています。

他のゲートウェイを利用していたサービスが、Nexmo に移行してきているとのことですが、どのような理由があるでしょうか。

もちろん、料金の安さという要素もあると思いますが、差別化の話でも申し上げた、独自の伝送ルート選択の技術基盤と、末端キャリアとの直接接続(中継キャリアを介在させず、ルーティングのホップ数を減らす方法。ISP の相互接続におけるピアリングの概念に似ている。)によって、メッセージ到達の確実性を上げていることが大きな理由だと思います。

今後、日本市場では、どのような事業を展開されていくのでしょうか。

着任してまだ半年であり、日本市場はまだ模索をし始めたばかりです。ウェブサービス会社やスタートアップを紹介してもらい、パートナーになってくれそうな企業と話を進めている段階です。今後、いろんな試みを日本企業と協業できるよう、努力したいと思います。

ここ数年、どの国のテックイベントに足を運んでも、OTTサービス をトピックにした議論は熱を帯びている。OTTサービスの隆盛は、各国モバイルキャリアに「フラットレート→パケづまり」「帯域タダ乗り」などの悩みを誘発する一方、電話/SMSゲートウェイ・プロバイダにとっては、新たなビジネスチャンスを生み出しているようだ。

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