世界で唯一、裁判に勝てる弁護士を探せる、台湾の「評律網(PingLuWeb)」

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訴訟が好きな人なんて、弁護士くらいのものだろう。しかし、ほぼすべてうまくいっているあなたの人生の中で、あるとき突然、裁判で解決しなければならないことに遭遇する可能性がある。裁判所に出向くことは簡単だが、弁護士を探すのは厄介だ。

最近、台湾で、世界的にも唯一の法務サービス「評律網(PingLuWeb)」がローンチした。これは弁護士探しの助けになるだろう。

「唯一」というフレーズを目にすると、人々は概ね次の2つの可能性を考える。

  1. このサービスには価値がないのでやる人がいない。だから一つしかない。
  2. このサービスはきっと何かノウハウをつかんでいる。世界中の他の人ができないサービスは、どのぐらいすごいのだろう。

評律網は、もちろん後者である。

政府公開の判例データを大量にそのまま可視化公開、アメリカでさえ、実現できていない

法曹界の人々と親しい評律網の創業者・荘大衛(ジュアン・ダーウェイ)氏のもとには、「弁護士を紹介してほしい」という依頼がよく寄せられる。しかし、問題は弁護士によって専門分野が異なることだ。仮に、あなたが離婚訴訟をしたいとしよう。この場合、殺人事件の刑事担当弁護士に依頼するわけにはいかない。それに、弁護士の裁判勝敗結果を口コミだけに頼るのは信憑性が低い。科学的に分析し、離婚案件専門の勝訴率の高い弁護士が探せれば、時間と手間が節約できるだろう。

荘氏はこの市場ニーズを掴んで、評律網を作った。テキストマイニング技術を活用し、評律網は台湾の裁判所が公開している100万件以上の判例データを、分かりやすい図表に整理し、最も適切な弁護士を見つけるのを助けてくれる。人力であれば、67年間かかってしまうことだ。

このようなサービスは、国際的に見て、台湾だけにしか需要の無いものではないだろう。荘氏は次のように説明する。

台湾は判決全文を公開している数少ない地域だ。アメリカでさえ、判例をオンライン化できていない。判例をデータ処理し、オンラインで見られるようにしたサービスは、世界中に評律網しかないだろう。

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便利なだけでなく、法曹界も恩恵を受けている評律網

弁護士を探すには、評律網にアクセスし、訴訟内容、弁護士名、専門分野などで検索する。普段は弁護士の一人さえ知らなくても、自分の問題を解決するために弁護士を探す必要が生じるときがある。「不当解雇」で検索すると、類似案件に該当する弁護士が21件表示された。評律網は、ユーザに対して、弁護士の人選のアドバイスはしない。担当した類似案件の回数、専門分野、経験年数の情報を提供する。弁護士の担当案件が報道されていれば、その報道内容を閲覧することも可能だ。

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弁護士の名前をクリックすると、ページには当該弁護士が担当した案件、依頼者、対峙した裁判官(アメリカの弁護士映画をよく見ているとわかるように、弁護士の中には、一部の裁判官に会うのを恐れる人がいる。)、相手弁護士、協力弁護士、検察官、年ごとの担当案件数、担当案件でよく入廷している裁判所などの情報が表示される。ユーザがこれらの情報を見れば、その弁護士のことが分かり、依頼する可能性が出てくる。

評律網は消費者にとって便利だが、弁護士にとってもよいツールになる。来週、まったく知らない弁護士や裁判官と対峙しなければならないとき、予め彼らの弱点を知っておくにはどうすればよいか。

法務部(日本の法務省に相当)のシステムで調べても、せいぜい、誰が担当弁護士かという情報しか開示されておらず、それ以外に何の情報もない。友人に電話しても、彼のことを知っている可能性は低い。Google検索して、羅列されたデータを全部読むのは、時間が掛かりすぎて途方に暮れる。そんなとき、評律網上で、弁護士や裁判官について整理された情報は、大変に役に立つだろう。

整理に67年間を要する弁護士8,000人の情報が、たった10秒で閲覧可能に

評律網なら情報をすぐに見つけられる。使い勝手がシンプルである分、裏側のしくみは複雑だ。評律網では小さいオフィスに8台のサーバが設置し、昼夜を問わず判例データを提供すべく、ウェブサイトを運用されている。

荘氏によれば、法律専門研究所の学生を使ってテストを行ったところ、評律網が現在提供している完璧な弁護士資料を整理するには、弁護士一人に対して、平均 3 日間かかると判明した。したがって、本来なら整理に67年間(8,093名の弁護士×3日間=24,279日間、24,279/365=約67年間)を要する資料から、ユーザが10秒待つだけで、過去60年分にわたる弁護士業務履歴を閲覧することができる。

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オフィスを台北市東部の南港軟体園区(ナンカン・ソフトウェアパーク)に移転する前は、4 坪のオフィス内に サーバ8台、ネットワーク・ストレージ2台、UPS2台、スイッチ数台、開発者が2名いた。ウェブサイトのトラフィックが増えると、部屋の温度は29.57度に達したことがある。

「資料をクラウドに置けば、コストが安くなるのに」と言う人は少なくないが、評律網は120万件の判決資料を保存しており、キャッシュや運用中データは300GBを超えている。これらの資料が更新されるたび、8台のサーバとネットワーク・ストレージに反映する作業に2昼夜かかる。「クラウドには入れられない」というのが荘氏の談だ。

現在無料で利用できる評律網は、今後どのようなビジネスモデルを採用するのか。

2012年9月に成立した評律網だが、現在のデイリーUUは 1,000 名程度だ。現在は隠れた法的問題を払拭すべく運用しているので、ウェブサイトで提供されている情報はすべて無料だ。では、評律網はどうやって利益を出すのだろうか。

彼らは、「オンラインのプロフェッショナル法律助手」としてマネタイズするつもりで、法律情報ポータルを目指している。今後予定している有料サービスは、法律用語の検索、オンライン法律相談サービス、それに、弁護士対弁護士、弁護士対裁判官の、弁護士別訴訟勝敗比較なども提供する。

大変力をかけて、台湾の弁護士、裁判官、判例資料を整理した荘氏は、エンジニアのバックグラウンドを持つ人物だ。今では何でも技術で解決できる時代だが、そのような状況においても、情報の可視性、とりわけ、法曹界のそれが低いことが問題と考え、長年の弁護士経験を持つ友人の塗能謀(トゥ・ネンマオ)氏と共に評律網を設立した。荘氏は最後にこう語った。

弁護士の自由競争市場において、情報の可視化がなければ、市場メカニズムは働かないだろう。

【原文】

【via TechOrange】 @TechOrange


著者紹介:鄒家彥(ゾウ・ジァヤン)

人々のため記事を書きたいと思っている。興味深い話、読んでほしい話、見逃せない話を執筆してきた。起きているときはリラックスし、寝ているときは夢を見るのが好き。最近見た印象的な夢は、俳優・余文楽(Shawn Yue Man-Lok)が TechOrange(科技報橘)で仕事していたシーン。

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