急速に拡大する市場、韓国カカオゲームのプラットフォームに進出するワンオブゼム

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韓国はオンラインゲーム大国だと言われてきた。今、その状況に変化が生じてきている。矢野経済研究所が9月に発表した「韓国のスマートフォンゲーム(アプリ)市場に関する調査結果」によれば、2012年の韓国におけるスマートフォンゲームの市場規模は、前年比79.4%増となる7,600億ウォン(事業者売上高ベース)となっているという。海外タイトルの人気も高く、2013年の韓国スマートフォンゲーム市場規模は、前年比64.5%増の1兆2,500億ウォンとなる見込みだ。

スマートフォンゲームの市場規模が急速に拡大している背景には、2012年7月に世界で1億人のユーザーを持ち、韓国で最大のユーザー数を持つメッセンジャーアプリ「Kakao Talk(カカオトーク)」がゲームサービス「カカオゲーム」を導入したことがあると見られている。余談だが、韓国企業のカカオ社は韓国最大のIT企業 NHNの前身ハンゲームの創設者であり、NHNの元CEOであるキム・ボムス (Beom-Soo Kim) 氏によって設立されている。

「ゾンビバスターズ for Kakao」

韓国国内だけでなく、海外からも注目が集まるカカオゲームマーケット。そこに日本から参戦するのが、ワンオブゼムだ。以前、本誌でも掲載したがワンオブゼムは今年「ガチャウォリアーズ」というタワーディフェンス型のゲームをリリースし、9月には150万ダウンロードを突破している。同社は、このゲームを韓国カカオゲームに合わせて、「ゾンビバスターズ for Kakao」としてリリースする。

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根本の機能は変わらないが、韓国のユーザー特性に合わせた機能を付与した。同社によれば、韓国のゲーマーは対戦を好む傾向にあり、対戦を促す機能を新しく追加したという。

カカオゲーム上でのリリースと同時に、同ゲームのキャラクターを使ったスタンプの配信も期間限定で実施する。ゲームをダウンロードしたユーザーは、無料でスタンプが獲得できる。

カカオゲームに配信するまで

カカオゲームでタイトルをリリースするまでには、いくつかのステップが必要になる。ワンオブゼムに聞いたところ、大きく以下のステップに別れる。

  • 韓国カカオに申請
  • 韓国カカオがゲームクオリティチェックをチェック
  • ゲームのカカオ機能が動作するかのチェック
  • 韓国政府によるゲームの等級審査

カカオゲームにのせるゲームには、カカオトークとの連携機能の追加が必要になる。さらに、政府によるゲームの審査というステップも踏まなければならず、けして低いハードルではない。だが、その分一週間のうちにリリースされるタイトル数も多くなく、リリースされればプレイされる可能性も高いと言える。

ワンオブゼムがリリースするタイトルは、男性が好むタイプのものだ。これまでカカオゲームには女性向けのカジュアルゲームが多く、やり込み要素のあるゲームが少ないので出したいという韓国カカオの考えもあり、配信が決まったという。

ワンオブゼムは、現地の企業とパートナーシップを組んでおり、開発と運用はワンオブゼムが担当し、現地パートナーがローカライズとカスタマーサポートを担当する。現地パートナーは、GMOインターネットグループのGMOゲームセンター株式会社の韓国法人GMO GAMECENTER Korea, Inc.だ。韓国ユーザーにはクレーム文化があるということもあり、現地のパートナーにカスタマーサポートを担当してもらうことは重要なことだと考えられる。

9月にはLINE GAMEが世界での累計ダウンロード数2億件を突破した。メッセージアプリが持つゲームプラットフォームにはまだ可能性が多く残されているように感じる。

「ゾンビバスターズ for Kakao」は1ヵ月で100万ダウンロード、年内に200万ダウンロードを目指すという。ベンチャー企業が、他国のゲームプラットフォームでどのような結果を残すことができるだろうか。

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