
本稿は招待制のイベント「Infinity Ventures Summit 2014 Fall」の取材の一部である。
THE BRIDGEでは今回も本誌だけに語ってくれた生の声を現地からお届けする。
ディー・エヌ・エーによる電撃的な買収劇から約2カ月、リフォーム関連のキュレーションアプリ「iemo」とファッションキュレーション「MERY」の2社が社内整理を終えて、新しく動き出すという話を聞いた。
京都で開催中のIVSの会場で3社の集団を見つけたので、現在の状況や次の動きについてショートインタビューを実施した。(太字の質問はすべて筆者)
10月からディー・エヌ・エー傘下となりました。
村田:やはり大きな組織と一緒になるので、実はもっと混乱するかと思ったのですが、意外にスムーズに統合作業は進みました。
現在は何人になったのですか?
村田:8人で参加して、現在30人ほどです。(やってきた人たちに対して)最初はiemoとして何をするのかという説明から始めたりしてます。2カ月ぐらいでようやく落ち着いた感じですね。
全員出向なんですか?
村田:転籍になった人や出向扱いの人もまちまちです。
MERYはどうですか?
中川:同じく混乱しないか不安でしたが、上手くマージできたという印象ですかね。会社にやってきてfacebookのステータスをMERYにさっそく変えてくれたりしてる方もいますよ。
想像以上にレベルの高い人たちがやってきてくれて、現在開発の体制を強化してます。
MERYの方はオフィス自体も別だからそもそもDeNAとは違う会社だってはっきりと分かるわけじゃないですか。そんなに簡単に大企業からいわゆる「子会社出向」みたいなのって手を挙げにくそうな印象もありますが。どうやってその人を選定したんですか?
赤川:まずは両社から要件を貰って事業に参加したい人の候補を考えました。そこに各社のカルチャーなどの要素を踏まえて最終決定した感じですね。
そんなにスムーズに子会社出向とかってできるんですか?チームの解体とか子会社出向って死刑宣告のように受け取る方もいるので
赤川:DeNAは元々社内異動が多い会社なんです。例えばある事業が立ち上がった際にも「よし、じゃあ明日から40名体制にしよう」といってすぐにやってしまう。そういう企業文化的な背景は大きく影響してますね。
なるほど。受け入れ側で一番気を使ったところは?
中川:確かに労務とか法務とかはそれぞれグループ会社なので揃えてますが、やはり会社のカルチャーだけはそれぞれに合わせないと難しいですよね。なので、やはり来てもらう以上はうちのメンバーとなってもらう必要がありました。そこが一番注意したところでしょうか。
村田:来てもらってる方もすごく楽しそうなのは嬉しいですね。自分たちで採用した方々と今では全く変わりないです。
こういう統合作業があまりトラブルなく進んだ要因ってなんだと思います?
村田:やっぱり伸びてる時点で買収したからじゃないですか?相当早い段階で決断したので、事業って成長期やはり活性化するじゃないですか。それを共有できるというか。
赤川:後、DeNAの国内外の買収案件の経験はやはり活きてますね。
元々、どういう問題が発生すると予想してました?
村田:DeNAってもっと「お堅い」コンサルちっくな集団だと思ってたんです。頭脳明晰な人たちが合理的にものごとを進める印象です。
私もエンジニア、技術集団のイメージは持っていたかもしれません。ロボットみたいな人たちが意志決定してたら確かにお二人とは合わないかも。
村田:で、実際は人間味のある人たちが多かったです。パフォーマンスはストイックに求めますが、決して機械的ではないですね。
なるほど、なんだかいい話ばっかりお聞きしてそろそろお腹いっぱいになってきたので、話を変えます。
そもそもiemoはとあるイベントでトップ同士(iemo代表取締役の村田マリ氏とディー・エヌ・エー代表取締役の守安功氏)が話をして、お互いの方向性が合ったから、とんとん、と進んだというお話は聞いてます。一方でMERYはどういうきっかけだったんですか?
村田:守安さんからIemoはリフォーム領域だけれど、ファッション方面は横展開できるの?って聞かれたんです。で、「できない」って即答して。その時、頭の片隅に浮かんだのがMERYでした。以前から一緒に仕事をしたいなというのもあって紹介をしました。
綾太郎さんはいつ決断をしたのですか?
中川:元々、いろんな方法で接点はあったんです。ただ、確かにやはり守安さんが出てこられたのは大きかったです。自分たちとして大事なポイントがいくつかあって、とにかくこのMERYは深堀が必要な事業だと感じてました。
確かにメディア的な側面、例えばトラフィックのような数字が注目されているのも理解してます。ただ、自分たちとしてやりたいのは商品を発見していく領域だったり、プラットフォームとしての構想であり、もっと深いところなんです。守安さんにはそこへの理解がありました。
じゃあ最後に今後の成長などについてお聞きします。まだ両社は利益体質(黒字化)する前の成長期と認識してますが、どのタイミングまでメディアを拡大させるのか、いつ頃にビジネスを回していくのか、そのあたりを教えてください。
村田:もうすぐ創業して1年になります。グループに入ることで資金や人材面の心配がなくなり、メディアもある程度成長してきたので、いよいよプラットフォームづくりを進めようと考えてます。
具体的には?
鈴木:事業者サイドの数を増やすということですね。なので、ビジネス関連のメンバーも増やします。実は今、2名体制で全国のリフォーム事業者の方を回っていたりしていて、ローカルに足を運んでます。そこに結構な情報が眠っているので、そこで得た経験を社内勉強会などで共有しているところです。
MERYは
中川:アプリですね。ずっと作ってるって言っててなかなか出来なかったのですが、そちらに注力しています。実は、今のMERYとはまた違った作り込みを考えてます。記事を読んでもらう体験が現在のMERYですが、そちらというよりはより商品やコマースにフォーカスしたものになると思います。
いつ頃リリースできそうですか?
中川:開発が複雑でまだ明言できないですが、年明けにはやはり考えたいです。ビジネス的にも2015年中には具体的なモデルを回したいと思っています。
村田:後、新規事業が出るんですよ。
え…インタビュー終わり間際に…
村田:DeNAのキュレーションプラットフォーム事業として、DeNAとiemo、MERYの連合で新サービスを出します。
もう時間ないんですけど…どういう領域のサービスなんですか?
村田:まだ言えません!が、やはりリフォームやファッションと同様にマーケットサイズの大きなところです。
ちょ(笑。おそらく今日は聞いてもこれ以上は教えてもらえそうにないので、ここまでにします。ありがとうございました!
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