
学習管理SNSを開発・運用するスタートアップ、スタディプラスがフェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合、朝日新聞社から、1億8500万円の資金調達を実施したことを発表した。
スタディプラスが開発する学習管理SNS「Studyplus」は、リリース当初から学習コンテンツの提供を中心とするEdTech系スタートアップにおいて、ユーザの学習を管理するという独自の立ち位置をとってきた。2012年3月にPC版をリリースし、iPhoneアプリを同年8月、Androidアプリを同年の12月にリリースして以来、オーガニックにユーザが増加。現在は会員数が110万人を超えているという。
学習を管理するというサービスの特性上、勉強に集中しやすい大学受験シーズンを迎えた受験生を中心にユーザが伸びており、現在は受験生の3人に1人が利用している状態だとスタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏は語る。
廣瀬氏「高校生の間ではシェアがとれてきています。去年4月にリクルート進学総研が発表した「高校生価値意識調査2014」」では、高校生が勉強用に使っているアプリランキングで1位を獲得することもできました。これまでプロモーションに費用はかけていません。プロダクトの質にこだわり、App StoreのEssentialにも選ばれ、レビューが8000件以上、平均4.5の評価をいただいているなど、Appleにもユーザにも支持してもらえたことが今の数字につながっていると思います」
学習管理とSNSの両軸からコミュニティの熱量を上げていく
学習管理SNSである「Studyplus」には、学習管理の軸と、SNSの軸の二軸がある。この学習×コミュニケーションの領域をより深堀りしていくことをスタディプラスは考えている。
廣瀬氏「「ソーシャルラーニング」と呼ばれる学習×ソーシャルの領域を深堀りしているプレイヤーはあまり多くありません。この領域に対して可能なことはまだまだあります。これまでは学習管理の側面が強いプロダクトでしたが、今後はコミュニケーションの領域を強化していくことで、よりコミュニティを色々な形で盛り上げていきたいと考えています」
「Studyplus」では、志望校が同じユーザ同士でグループを立ち上げてコミュニケーションをとったり、分からない問題を写真にとってアップすることで互いに教えあうなどのコミュニケーションが生まれているという。今後は成績の管理や共有なども可能にしていくことを予定している。こうしたやりとりは、各ユーザが匿名でやっているため、比較的抵抗なく発生しているという。
廣瀬氏「今いるユーザ達の熱量をどうやって上げていくかがこれからの課題です。勉強を支援して、モチベーションを上げ、継続率を下げないようにすること。「Studyplus」をユーザにとって新しい勉強友達ができる場所にしていくことで、もっとスムーズに、ポジティブな人間関係を獲得していってもらいたいと考えています。そのためにプロダクトを磨いていきたいですね」
勉強に関するQ&A機能は今後強化していくことを予定しており、将来的には別アプリとして切り出すことも検討しているそうだ。すでに韓国には勉強に関するQ&Aアプリが存在しており、廣瀬氏はこの領域にも可能性を感じていると語る。
「Studyplus」はマネタイズの手段としてプレミアム会員も検討しているそうだが、現在可能性があるのは、プロダクトを磨き、高いユーザの滞在率を実現することで生まれている受験生に特化した広告メディアとしての価値だ。
受験生に特化したモバイル広告メディアとしての価値
「Studyplus」は、今年の3月までベネッセとのコラボしたり、Z会とコラボするなど教育系の大手クライアントの広告商品が売れ始めている。リクルートと提携して志望校の資料請求ができるようにしたり、大学の学校法人との提携にも動いている。
廣瀬氏「ユーザの多くが受験生であることに加え、ユーザの滞在時間が長く、広告メディアとしての価値が高い状態になっています。大学受験生が集まっているメディアがほとんど存在しておらず、高校生はどんどんテレビを見なくなっている。そのため「Studyplus」は受験勉強に限られた教育系のクライアントと相性がいい状態となっています。
受験は売上高広告費率が高い業界。今後、広告の出し先がシフトしていく中、そこに対応するメディアも多くはありません。「Studyplus」では、スマートフォンの動画広告やネイティブ広告、タイアップ的なものなど、色々な広告商品を扱っていきたいと考えています」
「Studyplus」では去年の秋ごろから積極的に広告商品を試しており、今回の調達を機に広告商品を開発するための人材も増やしていくという。エンジニアの採用を強化し、5月1日付けで
GREEからCTOのスタディプラスに参画している。今後、同社は開発のスピードもあがっていくだろう。
スタディプラスは、学習の進捗や志望校などに関するユーザのデータが蓄積されている。これはまだ活用されていないが、将来的に資産になっていくと廣瀬氏は考えている。学習とコミュニケーションの領域を深堀りし、モバイルの広告メディアとして成長させ、将来的にはビッグデータを活用した展開も視野にいれ、スタディプラスはプロダクトを磨いていく。
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