イラストの描き方が動画で学べるアプリ「Palmie(パルミー)」。イラストの描き方を細かく解説してもらえ、イラストを描く際の細かな工程も実際に見られるイラスト上達支援アプリだ。PC版とiOS版があり、イラストの基礎から身体の描き方、髪の塗り方やファンタジーな背景の描き方など、いくつかのテーマを絞った10分程度の解説動画を閲覧することができる。
「日本が誇るアニメやマンガの文化を広めるために、コンテンツ消費としての発信だけでなく、実際にコンテンツを制作し楽しむ文化が必要と考えました。そこで、日本の人や海外の人がマンガやアニメのイラストを楽しめる人が増やすことができれば、と思ったのが開発のきっかけ。そこから、絵を趣味で描いている人を対象にマンガやイラストの描き方を動画で学習できるサービスへと着想しました」とPalmieを開発するスーパーフラット代表取締役の伊藤貴広氏は話す。
「最初にiOSアプリを2014年12月にローンチし、現在約7万インスールを達成。リリースから現在で累計100万回再生を突破しています。ウェブサイトは2015年6月に公開したばかりですがすでに数万人以上に閲覧されており、毎月MAUは成長しています」(伊藤氏)
主に趣味で絵を描いている人を対象に興味のある講座を体験してもらうことを考えてPalmieを運営してきたが、自由な学習環境に自主的に取り組める人はよいが、これから学ぼうと思う人にとっては少しハードルが高いのでは、と思ったという。実際にユーザからは「どのように絵のスキルをアップさせればよいかわからない」「絵の学び方を教えてほしい」といった、絵の学び方そのものを体系的に知りたい、というニーズがあったという。
そこで、Palmieでは本日より描き方を体系的に学べる「Palmieカリキュラム」をスタートする。顔や手といった人物表現の基礎が学べるコースやペイントソフトの操作、キャラクターデザインが学べる実践的なコースなど全9コースを用意。初級・中級・上級といったレベルの設定を行い、学習ステップを明確にすることで、イラストのそれぞれの習熟度に応じた学習動画を選ぶことができ、自身の学習ニーズにあった学習をすることができる。
また、学習状況を把握できる「進捗管理機能」や動画の見っぱなしを防ぐための課題提出機能の「イラストレポート課題(イラレポ)」を実装。オンラインでのイラスト学習体験を向上させた。
「イラストやマンガを学ぶ環境を考えたとき、専門学校が都市部に集中しており地方で絵を学ぶ手法が乏しいということが見えてきました。専門学校などへのヒアリングでも、地方での出張授業などのニーズも多く、地方での集客の実感も次第にでてきました。地方向けのクリエイター志望の人向けの十分な学習環境がないという課題を解決し、専門学校並の学習コンテンツをオンラインで届けていくことに今後は注力していければ」(伊藤氏)
今後は、地方在住でセカンドキャリアを考える20代から30代の社会人や高校生で進路を考えている人たちをターゲットに、イラストを学べる環境を提供し専門学校に近い内容を提供していくという。具体的には、現在の録画動画をもとに自身で学習するタイプだけでなく、リアルな教室の授業を再現するような生放送の形式や学習管理、課題の提出や添削などの機能を実装していくという。
当初は、録画動画による描き方コンテンツの提供という意味で、コーディング技術が学べる「ドットインストール」のイラスト版の方向から、オンライン授業などを提供するスクーにも似たコンテンツづくりを行うようだ。スクーがより教養的なものからイラストレーターやエクセルといったビジネス分野における実践にフォーカスしたものであれば、「イラストやマンガ特化型のスクー」といったものと近いかもしれない。
もちろん、イラストやマンガの描き方という意味で、何度も動画を見直しながら学ぶことができるため、録画動画をもとに特定の描き方を集中して閲覧し、自分自身で実践していきながら学んでいくスタイルもある。また、イラストといったより実践的な内容だからこそ、添削や課題の提出などのアクティブ率も高い傾向になるだろう。
内容録画型と生放送型を融合させながら遠隔にいながら都市部と同様の教育コンテンツを提供することができれば、都市部と地方といった差を縮める可能性も秘めているかもしれない。
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