
近年、数多くのスタートアップたちによって、様々なサービスやプロダクトが生み出されてきた。
注目を集めたサービスやプロダクトのアイデアを、子どもや子どもを持つ親にターゲットを絞って提供されるものも目に留まるようになってきている。
新しいテクノロジーを活かしたプロダクトやサービスは今ではまだ登場したばかりだ。だが、近年の人々のライフスタイルの変化の速度を見ると、今登場し始めたばかりのものが、数年後にはスタンダードになっていることも十分考えられる。
今回は、筆者が気になった子どもに関連するプロダクトやサービスを、ピックアップして紹介していきたいと思う。
子どもの面倒を見る
子育ては何かと手間がかかる。必要なモノを買い揃えることもそうだし、何かと目が離せない時期の子どもはついていてあげないといけない。そうした点を解決し、両親の負担を下げるサービスも登場している。
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たとえば、こちらのベビーシッター版のクラウドソーシングサイト「アイシッター」では、盛り上がりを見せるクラウドソーシングサービスの仕組みで、子どもの面倒を見てくれるベビーシッターを探すことが可能になる。信頼性の担保などが課題だと考えられるが、人々に受け入れられれば親にかかる子育ての負担を軽減できるようになるかもしれない。
共働きの家庭や、産後仕事への復帰を希望する母親が増加することが予測されるこれからの時代、ニーズが高まることは十分に考えられる。
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その他にも、ベビー用品といった毎月購入が必要になる消耗品の定期購入サービスも登場している。「White As Milk」はシンガポールのサービスだが、韓国にも安心安全な良質の育児用品を毎月届けてくれる「Bebe box」もある。アメリカでは、ハリウッド女優のジェシカ・アルバがベビー用品のブランド「The Honest」を立ち上げたことがTechCrunchなどのメディアで報じられている。
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こうした子ども向け商品の定期購入やコマースも、新しい形の登場が待たれる領域だろう。母親の年齢層にもスマートフォンやタブレットが普及しつつある。モバイルコマースへの対応が進めば、家でリラックスしながら子どもに必要なものを購入する母親(もしくは父親)の姿を見ることも珍しいものではなくなるかもしれない。
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中国には、乳児のための医療サービスと個人向けショッピング機能が合わさったスマホアプリも開発されている。先述したようにモバイルの普及が日本でも進む中、こうしたサービスの可能性はあるのではないだろうか。
残す、記録する
子育てに関するサービスでよく耳にするのが、子どもの写真を撮ってクローズドに共有したり、形にして残すためのサービスだ。Open Network Lab 第6期生が登場した「DemoDay Spring 2013」でピッチを行っていた「KiDDY」もこの分類だろう。
スタートアップ以外にも、サイバーエージェントやミクシィといった大きな企業もこの領域でアプリやサービスを展開している。以前、フォトタイルアプリ「niiice」の取材をした際に伺ったことだが、フォトブックは日本よりも欧米で普及が進んでいる領域で、日本でも今後市場が成長していくことが期待されている領域だ。
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子どもの成長記録を残したいというのは日本に限った話ではなく、世界で共通しているもののようだ。中国にも、赤ちゃんの写真と日記を記録するためのアプリも登場している。
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子どもを守る
筆者が最近、注目しているのがこの分野だ。
赤ちゃんの段階を終え、少し成長し、親の目の届かないところでの活動もするようになった子どもの行動を四六時中見守ることは困難だ。犯罪に巻き込まれたりする可能性を減じたり、離れている際の親の心配を解消するためのサービスも登場している。
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日本でも上記のようなサービスが登場している。インターネットの発達に伴い、時とともにツールは変われど、インターネットに関連したいじめや犯罪が起こることも増える。「Filii(フィリー)」のようなサービスが、その問題の解決の力になってくれることを期待したいと筆者は考える。
こうした動きは日本だけのものではない。最近筆者が注目したのは、子どもに身に着けてもらうウェアラブルデバイス「Guardian」だ。台湾のスタートアップが開発しているこのデバイスは、Bluetoothを使ってスマートフォンアプリと連動し、親があらかじめ設定した場所から子供が離れた際に、ユーザのネットワークを通じて子供を見つけることができるという。
防犯ブザーといったものを小学生の子どもに持たせることはこれまでにもあった。さらに安全にするための、性能の良いデバイスがセットになったサービスは今後も登場してくるかもしれない。ウェアラブルデバイスへの熱の上昇と共に、こうした活用法が広まることを期待したい。
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教える
最後は、子どもの教育に関するサービスの現状だ。子ども向けの教育サービス、知育と呼ばれる分野に取り組むスタートアップといえば、先日の教育系サービスの取材でも紹介したスマートエデュケーションが思い浮かぶ。
こうした領域に取り組むのは大手企業か、もしくはNPOが社会的な課題の解決のために取り組んでいた印象を筆者は持っていた。スマートエデュケーションがチャレンジしたことによって、この領域でもビジネスになるチャンスが十分にあることを示している。
子ども向けの教育サービスは、今後まだまだプレイヤーが増えてもおかしくないのではないだろうか。
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以上、これまでThe Bridgeで紹介してきたプロダクト、サービスを中心に子ども周辺のテクノロジーを紹介してきた。
「他にもこんなサービスやプロダクトがある!」というご意見はいつでも歓迎なので、ぜひとも教えてもらいたい。
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