0→1のフェーズは終わり。不動産仲介のネット接客プラットフォーム「ietty」が東大研究室や人材会社と連携し、拡大に備える

by Junya Mori Junya Mori on 2016.5.13

ietty top

不動産ネット接客型プラットフォーム「ietty」を運営するiettyが新たな動きを見せた。

「ietty」は、ウェブやアプリ上から賃貸物件に関する相談ができるサービス。同社は2013年6月にベータ版を公開し、同年10月にミクシィの投資子会社アイ・マーキュリーキャピタルから約5000万円を資金調達。2014年10月にYJ キャピタル、インキュベイトファンド 1 号投資事業有限責任組合から約2億円を資金調達している。

その後、2015年10月にインベスターズクラウド、三生キャピタル、電通デジタル・ホールディングス、みずほキャピタル、三井住友海上キャピタルの5社から総額約2億円の第三者割当増資を実施した。

不動産窓口のバーチャル化に向けてーー不動産ネット接客のiettyが約2億円を資金調達

本日、iettyが発表した内容は大きく2つ。データの活用とリアルの改善だ。

蓄積してきたデータの活用

「ietty」のサービスの特徴のひとつは、チャット形式でユーザの質問に答えていく点。MessengerやLINEといったプラットフォームが、チャットボット機能を発表してからというもの、チャットボットの話題が盛んだ。

ietty代表取締役社長 小川泰平氏は「ようやく時代が追いついてきましたね」と笑いながら語る。

同社は、東京大学大学院 情報理工学系研究科電子情報学専攻・山崎研究室と不動産物件情報処理とユーザ動向解析の共同研究、Facebook Messenger、LINE、自社開発チャットシステムのマルチプラットフォームに対応する「CtoB 接客プラットフォーム」の開発を行うと発表した

小川氏「iettyには、月間6000〜7000ユーザが新しく登録していて、不動産を取り扱っていることから、ユーザの情報も細かく入っています。その数のユーザたちに対して、4〜5万の物件を提案しています。とても細かな情報のマッチングが日々行われていて、そのデータベースができているんです」

「ietty」のサービスリリース以降、蓄積されてきたデータは膨大だ。だが、このデータをうまく活用することはできていなかったという。山崎研との共同研究では、同研究室がデータのマイニングを行い、iettyが整理されたデータをレコメンドシステムへと組み込んでいくことで、データを活用してユーザへの提案の精度を向上させようとしている。

ietty chat

プラットフォームがAPIを開放し、APIはさらにリッチ化していく、そう小川氏は考えている。そうなれば、既存の不動産管理会社等もチャットでの接客が可能になってくる。そうなる前に、チャットにおける接客という領域でナンバーワンを目指すべく、さらにこの領域へと注力する方針だ。

同社は、すでにLINE@を通じて接客を始めている。現在、裏側のシステムは100%人力となっているが、それでもLINE@でコミュニケーションする比率は増えているという。

「ietty」は管理画面からユーザのニーズの変化やメッセージのやりとりを管理しており、将来的にはこの管理画面からどのプラットフォームでのチャットも管理できるようにしたいと考えているそうだ。

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「ietty」は、ユーザが物件の条件を緩和すると、その通知をSlackに投げるようにしている。条件を緩和するユーザは、物件を決めやすくなっているということでもあり、そのユーザに提案することで成約率を上げるためだ。

同社には、こうした人力ではありながらも、売上を向上させるためのオペレーションの工夫が凝らされている。チャットボットが登場したといっても、データやノウハウがなければうまく機能させられない。蓄積されてきたデータの量と、改善を重ねていたオペレーションの質が、同社にとっての競争優位となるだろう。

リアルでのオペレーション改善

同社のオペレーションを徹底的に磨こうとする姿勢は、リアルでの動きにも現れている。本日発表されたもうひとつのニュースは、総合人材サービスのプロスグループと資本業務提携だ

「ietty」を活用すれば、本来は店舗で行う部屋探しがチャット上で完了するため、来店せずとも部屋の見学予約ができる。そのため、従来の不動産仲介会社のように営業が活躍する場面は少なくなっており、人が必要な場面も、内覧に同席する場面などに限定されている。

内覧に同席するだけなのであれば、iettyに常駐している人材でなくても問題ない。そこで、プロスグループとの提携の話になる。同社との資本業務提携により、営業サポート、部屋見学の案内業務などの賃貸仲介業務における一部作業を人材派遣または業務委託という形で業務連携する。

これにより、繁忙期と閑散期の人材稼働のギャップを柔軟に吸収できるようになり、業務運営のコスト効率を高めることを目指している。プロスグループは、こうした業務プロセスの構築から運用や顧客ごとに異なるニーズに合わせカスタマイズするオーダーメイド型のアウトソーシングに強みを持つという。

プロスグループの代表 白井正氏は、「ITとリアルが融合し始めている時代、これからはIT部門のブルーワーカーが出てくる」と考えている人物。小川氏はこうした考えにも共感して、プロスグループとの資本業務提携を決めたそうだ。

データマイニングとリアルのオペレーションの改善、iettyのサービスは改善のフェーズへと入り始めている。同社は2016年3月で黒字になり、今年の売上は数億円規模を見込んでいる。

小川氏「0→1のフェーズは終わりました。今は1→10のフェーズ。これから必要なのは、今の数字を200倍、300倍にするにはどうしたらいいかを考えることです」

そう小川氏は語る。現状の数字をさらに大きく伸ばしていくために必要なのは、マーケティングだ。iettyは、ウェブマーケティングの強化や東京以外にも拠点を増やすことを予定している。将来的には、テレビCMを放映することもあり得るという。

iettyが目指す世界は前回、取材の際に語っていたころから変わらない。不動産仲介業務を労働集約型ではなくして、手数料を下げられるようにしていくことで、ユーザにとってメリットをもたらすことだ。

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