「役務中心のC2Cとして年間1000億」目指すーークラウドワークスがスキルを売買できる個人間マーケットプレース事業に参入へ【アップデート】

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クラウドソーシング・プラットフォームを展開するクラウドワークス【3900】は10月17日、個人のスキルを売買できるマーケットプレース「WoWme(ワオミー)」を11月中旬に開始すると発表、事前のユーザー登録を開始した。

WoWmeは個人のスキルや知識、経験などをサービスとして出品し、必要とする個人に対して販売するもの。子育てや旅行プランの相談、アプリ開発など専門性の高い内容まで180以上のカテゴリから選択を可能としている。出品者側は価格に制限がなく自由に設定が可能で、手数料は当面無料で提供する。同サービスの詳細については11月15日にリリース発表会が開催される予定。

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同様のサービスとしては国内にはココナラとストリートアカデミーなどがあり、特に競合するとみられるココナラについては2012年の創業以来、サービス出品数は8万点(10月17日時点でサイト掲載されている情報より)となっている。

本件について、現在札幌で開催中の招待制カンファレンス「B Dash Camp」に代表取締役の吉田浩一郎氏と本事業の推進を担当する取締役副社長の成田修造氏のお二人が参加しているはずなので、お話を聞き次第追記させていただく。

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追記:お二人に会場でお話聞けたので追記する。太字の質問は全て筆者。回答者の敬称略。

ちょうど1年前の2015年10月にタスク形式のプロジェクトを手数料無料化しました。総契約額は2015年通期で28億600万円(10月17日時点のサイト公表情報)に対して2016年3Q時点で32億円7500万円と成長しています。これに与えた影響はどのように考えておられますか?

吉田:タスク無料化は、案件数&総契約額ともに2倍以上の成長をしており、全体の成長率よりも高く手数料無料化した成果は予想以上でした。今回のWoWmeにおける手数料無料もその成果による判断でもあります。ただタスク形式自体は絶対額が大きいわけではないので、全体への影響は軽微です。

かねてより吉田さんは大企業の受託型で事業を伸ばすのではなく、あくまで個人の与信を確立させて、プラットフォームとしてのクラウドソーシングを志向されていました。今後の戦略に変更は?

吉田:「マッチングプラットフォームにおける手数料無料化戦略は正しかった」という認識から今後はタスク以外の手数料戦略を前向きに進めていく方針です。ビジネスモデルの転換戦略の設計を同時並行で進めているので、そこが見えてくれば、より積極的に打っていくことができると考えています。

最新の四半期アナウンスで短期目標100億円の契約額到達時の黒字化に言及されていますが、今回のC2C事業がそこに寄与する割合はどのように考えていますか?

吉田:総契約額年間100億円達成は近い将来を想定していますので、その時のC2C事業の寄与度はさほど大きく無いと考えています。

では、今回のC2C事業参入はその先ということでしょうか?

吉田:そうですね。その先にある総契約額年間1000億円単位の総契約額を想定した上で必要な戦略であり、今後積極投資して育てていく事業だと位置づけています。例えば、メルカリは物品のC2C中心ですでに月次100億円の流通額を公表していますが、我々は役務中心のC2Cプラットフォームとして年間1000億、そして長期の年間1兆円を目指しています。

新経済連盟関連で、楽天三木谷さんの側で仕事をさせていただいていますが、楽天も当初は月次数十万円からスタートして、現在は1兆円、2兆円の単位になっていることを考えれば、我々も年間1兆円の規模での「個人与信インフラを土台としたプラットフォーム」は実現可能だと確信しています。

話を成田さんに向けます。国内ではやはりこの分野ではココナラが先行しています。シンプルに違いをどこに置くのかおしえてください。

成田:ワンコインマーケットの気軽感というより、個人の「得意」をベースに稼ぐことのできる人材を生み出していくことがゴールと置いています。従って最初から、出品における単価制限をおかず(出品者は自由に出品する価格が設定可能)、高単価商品を集めていく方針です。各ジャンルで既にプロとして活躍している個人をロールモデルとしオフィシャルパートナーとして組んでいくような制度も検討しています。

なるほど、いつ頃からこの事業を開始しようと考えていたのでしょうか?

成田:そもそもの着想としても、競合を考えてというよりは、クラウドワークスの中で試行錯誤する中で出てきたものです。年明けに、個人が自分のスキルを売りたいニーズがあるかを検証するため『お仕事メニュー』という機能を作ったのですが、1ヶ月で1万件超の出品があり、クラウドワークスにいるプロフェッショナル層が個人の得意を売り買いするというコンセプト自体に可能性があると感じたのがきっかけです。

成田:あくまで当社のビジョンである『働き方革命』という文脈の中で、企業のデマンドサイド(発注者側)主導のプラットフォームではなく個人のサプライサイド(供給側)主導のプラットフォームを作ろうという点に立脚してます。どちらもアプローチは違えど個人の生き方・働き方を大きく変えていく可能性があり、両方とも総契約額100億円を超える事業に成長させたいと考えています

これはクラウドソーシングと同様ですが、法律相談などの特化型ブランドを立ち上げたりしています。そういう考え方や具体的な展開の方向性があれば

成田:今後は弁護士のような資格専門職というよりは、例えばデジタルコンテンツの販売やコンサルティング領域、あるいは対面も含めたサービスECを見据え、個人の得意を軸に伸ばしていくことを視野に入れています。

最後に総契約額、出品者、利用者の目標数値と設定到達時期について具体的に決まっていれば教えてください。

成田:初期は「販売手数料無料」で勝負をしていきます。今後は適正手数料を頂きますが、まずは個人の取引の総量、すなわち総契約額に焦点を当てていきたいと考えています。総契約額目標としては、立ち上げ時期は早期で単月1億円をまずは目指し、最短で、年間二桁億規模に伸ばすことを目標としています。

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