本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。


Image credit: テクマク、ローム
今月初め、千葉県の幕張メッセで CEATEC 2016 が開催された。成田空港の南に位置する、このウォーターフロントの会場には、今年多くのスタートアップが集まり、それぞれの政府の支援を得て日本市場に参入しようとするアメリカやフランスのスタートアップのほか、大企業と協業する日本企業も参加していた。
特に目立っていたのは、電子製造のローム(東証:6963)と協業する京都スタートアップのテクマクのコーナーで、両社は Pulse Launcher Unit(PLU)という開発中のアプリケーションを展示していた。これまで家電・通信イベントだった CEATEC 2016 は今年から IoT にも焦点を拡げており、それが両社の展示製品をつなぎあわせることとなった。
銃の形をした PLU にはロームが提供するセンサーが備わっており、これを使って、ユーザは Z.O.N.E.(β)という開発中のゲームに参加することができる。このゲームでは、個人の集中力などを評価してくれる。将来的には、労働者や学生などパフォーマンスをモニターする必要のある人たちの、身体や精神の健康状態のチェックに使うことができるだろう。

Image credit: ローム
センサーについては、ローム子会社のラピスセミコンダクタ(新横浜)が、土の環境条件を計測するセンサーを開発中だ。この種のセンサーは、土ではないものの温度や湿度といった特性を計測することもできるので、農業や動物学の分野にも適用できるだろう。
人間の世界に話を戻すと、テクマクとロームは過去にも共同で「ときめきセンサ」というゲームを開発しており、その名にある通り、このゲームにはセンサーが用いられている。
日本語でときめきとは、夢中になることで心臓がドキドキすることを意味し、CEATEC で昨年展示されたこのシステムでは、実際に心臓の動悸を計測するものだった。

他に出会った日本企業としては、デザイン・スタートアップのカブクで、同社は自動車製造のホンダ(東証:7267)と協業し、3D プリンタで作ったボディパーツで自動車を組み立てあげた。カブクのシステムはリンカクと呼ばれ、自動車などの乗り物にカスタマイゼーションの手段を提供することができる。リンカクとは日本語で輪郭の意味だ。
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IoT とファッションに特化したセミナーが1日にわたって続くなど、IoT へと変化しつつある CEATEC の位置付けが強調され、これらのセミナーでは、トーマツベンチャーサポートの納富隼平氏が司会するパネルディスカッションに、CEO の小関翼氏が代表を務める STYLER などファッション業界のスタートアップが複数参加していた。

Image credit: STYLER
フランスのスタートアップ都市でもあるリヨンから代表団が駆けつけるなど、フランス政府が参加したことで、千葉の CEATEC 会場以外にも東京で開催されたイベントで、フランスのスタートアップが注目を集めていた。フランス社会党に籍を置くリヨン市長の Gerard Collomb 氏は、東京で DMM.Make AKIBA との提携関係樹立を発表した。
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Image credit: Jerry Suppan, Visionworks Productions
アメリカについては、同国大使館が支援する CEATEC のアメリカのコーナーに、サイバーセキュリティを扱うスタートアップ Darktrace が参加していて、自社のサービスをアピールしていた。同社は日本では、渋谷のセルリアンタワーに地元子会社を有しているが、PSI という日本企業とも協業している。
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