裁判判決の結果を、約8割の確率で正確に予想できる人工知能がお目見え

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Above: A statue of blind justice outside the Albert V. Bryan United States Courthouse in Alexandria, Virginia Image Credit: Tim Evanson
バージニア州アレクサンドリアのアルバートV.ブライアン連邦裁判所前にある正義の女神像.Image Credit: Tim Evanson

コンピュータサイエンティストと法律専門家から成るチームが欧州人権裁判所で下された判決のうち79%を正確に予測できる人工知能を開発した。

この人工知能の性能については月曜日(10月24日)に PeerJ Computer Science 誌に掲載された。

機械学習アルゴリズムには欧州人権裁判所の判例原文をデータとして入力した。論文によると、自然言語処理および機械学習が予測モデルの構築を可能にしたという。

リードサイエンティストである Nikolaos Aletras 氏はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の声明の中でこう語った。

人工知能が裁判官や弁護士の代わりになるとは思っていませんが、彼らが何らかの結論を出す際に判例のパターンを短時間で把握する上で役立つと考えています。また、ヨーロッパ人権条約を侵害する恐れのあるケースを浮き彫りにするツールとしても有益でしょう。

この人工知能を開発したコンピュータサイエンティストと法律専門家によると、「ある事例における公に認められた事実はもっとも重要な予測因子」ではあるが、どのような言葉が使われたか、どのようなトピックが議論されたか、また法的要素以外の要因も判決に影響を与え得ることがわかった。

Aletras 氏は次のように述べている。

この手のツールが高水準で需要のある裁判の効率を上げると期待していますが、実現するためにはさらに多くの法律や裁判所に提出された判例データを使ってテストする必要があります。

ペンシルベニア大学、シェフィールド大学、および UCL の科学者らが人工知能の開発やその後の分析、ドキュメンテーションに携わった。

同分析論文の著者らは、「いずれ、違反の可能性が高いケースでは判決を出す過程を優先する」結果予測ができるようになればと考えている。

論文にはこう記載されている。

概して、私たちはテキストベースの判決予測システムを弁護士や裁判官を手助けするツールとして提供できる、と信じています。

ボットや人工知能のエコシステムが新たに出現している中で、今年は弁護士ボットがニュースになった。

5月に、BakerHostetler 法律事務所の弁護士が、IBM の Watson を利用した人工知能によるバーチャルアシスタント ROSS の使用を開始した。

スタンフォード大学の学生である Joshua Browder 氏が作成した駐車違反切符用の弁護士ボット DoNotPay は、8月にシアトルまで拡大した。DoNotPay はこれまで何十万件もの駐車違反切符の異議申し立てに貢献している。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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