ヘルプデスクのコール前にWi-Fiトラブル発見ーー人工知能時代の課題解決方法

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Image via Attribution Engine. Licensed under CC0.

編集部注:寄稿者のAjayMalik氏はGoogleのワイヤレス技術の専門家である

Wi-Fiは私たちが仕事する上で非常に重要である。社内でWi-Fiが高速で信頼と一貫性を持って繋がっていることはもう当たり前になっている。日常業務の多くがWi-Fiに依存しているのだ。それでもほとんどの場合、ITチームは個別の話になると判断力が鈍る。ここには次の2つの大きな課題があるからだ。

最初の課題はデータ収集である。あらゆるユーザーの状態を知りたいと思っても、これらの状態は、ネットワークの状態やユーザーの場所が変わると変化する。何万台ものデバイスが追跡されているため、大量の情報を収集する必要がある。このような大量のデータは固定メモリとCPUを搭載しただけのマシン上のアクセスポイントやコントローラでは処理できない。

第2の課題は、データ分析である。意味のある見識を得るためイベントログと生のデータを並べ替えるのにはかなりの時間と労力がかかる。実際にデータを理解するためには、かなりのインテリジェントWi-Fiが必要なのである。

だが近い将来、ビッグデータとマシンラーニングによって上記のハードルは解決すると信じている。ネットワークがどのような状態かを尋ねることができ、問題のある箇所を教えてくれ、問題を解決するための詳細な方策を提供してくれる(または自動的に解決する)。これは未来の出来事のようだが、それを達成するための基盤は、大規模なデータツールや自力トレーニングアルゴリズムのようなマシンラーニング技術によってすでに展開されている。

これらの技術を使用するとWi-Fiユーザーのために、過去の経験を測定し実施するモデルを常にアップデートすることができる。たとえば、ある特定のインターネット速度を高い精度で随時(つまりスループット)に保証することができる。これにより、ITスタッフは、Wi-Fiユーザーが気づく前、つまりヘルプデスクのコールをする前にトラブルが発生したことがわかる。

ユーザートラブルが検出されると、マシンラーニングの分類アルゴリズムは問題の根本的な原因を切り分けることができる。たとえば、他からの干渉、容量、またはLANやWANの問題によるスループットの問題であるかなどだ。問題を特定した後、マシンラーニングはリソースを自動的に再構成してトラブルを緩和する。これによってITチームはトラブルシューティングに費やす時間と労力を最小限に抑えながら、最高のWi-Fi環境を提供できる。

私は以前に、人工知能がWi-Fiに革命を起こす方法(how artificial intelligence will revolutionize Wi-Fi)を書いた。意味のある情報を収集できるように、ITチームが膨大な数のデータを掘り起こすことができればと思っている。しかし、それは彼らにとって無駄な骨折りであるだろう。マシンラーニングは、パケットキャプチャ、事象の相関づけ、根本原因分析などの日常必要な運用タスクを自動化するための鍵である。さらに、Wi-Fiネットワークをトラブルから守るためのアドバイスを前もって提供することもできる。

またこの将来への展望の鍵は、最新のクラウドにより動的なリソースの調整とプログラミングの可能性ができたということだ。大量データを処理しないといけない場合、Wi-Fi接続を処理するのに適した唯一の媒体はクラウドだ。データを膨大な速度で分析できる分散アーキテクチャーにより、膨大な量のデータを格納することができる。

Wi-Fiは新しいものではない。しかし、私たちがWi-Fiを使う方法は進化した。そして今まで以上にWi-Fiは完璧に動作する必要がある。今の時代は他の業務上不可欠なプラットフォームの柔軟性、機敏性、信頼性を備えたサービスのようにWi-Fiを管理する必要がある。マシンラーニング、ビッグデータ、およびクラウドによって、この新しい方法論は急速に現実のものになりつつある。

【原文】

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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