ソニー・ミュージックエンタテインメント、アクセラレーションプログラム「ENTX(エンタエックス)」を始動——社会課題解決ビジネスを支援

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ENTX を統括する、SME 経営企画グループ 経営企画チーム 兼 事業創発推進チーム シニアマネージャーの古澤純氏 Image credit: Masaru Ikeda

ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は、同社初となるアクセラレーションプログラム「ENTX(エンタエックス)」を始動し、先ごろ都内で説明会を行った。約3ヶ月間にわたり週1回のペースでメンタリング機会を提供、12月中旬に実施されるデモデイを経て、最優秀賞には100万円、優秀賞には50万円の賞金が贈られる。優れたビジネスアイデアについては、ソニー・ミュージックエンタテインメントを含むソニーミュージックグループ各社からの業務提携や出資が提案される可能性があるという。

ENTX が興味深いのは、SME の最大の強みである音楽やアーティストといった資産の活用を最前面には押し出していない点だ。募集テーマは「音楽」に限らず、「インバウンド」「スポーツ」「シニア」「ヘルスケア」「教育」「飲食」「住環境」「地方創生」「テクノロジー」「空間」「アニバーサリー」「人材」など多岐にわたり、同社では社会課題を解決しようとするビジネスを、これまでに培ってきたノウハウなどで支援したいとしている。

一般的に、オープンイノベーションの活動やアクセラレータを展開する事業会社は、自社を特徴づけるユニークな資産やノウハウをメリットとして掲げ、協業を希望するスタートアップを集めてきた。しかし、このやり方では、集まるビジネスやアイデアの幅に制限が生じてしまう。MUFG が FinTech アクセラレータから DIGITAL アクセラレータと名前を変えたのも同じ理由だろうし、過去には、ある製造業大手がアクセラレータで募集を始めたところ、同社と取引したい中小企業だけが集まってしまった、という事例もある。

SME は誰もが知る魅力的な企業であるがゆえに、容易に想定される協業メリットを奥の方へしまいこみ、音楽事業にとらわれない協業アイデアを提案してほしい、というわけだ。ENTX の企画運営には電通が協力しており、SME の社員以外にも、電通のクリエイティブディレクター、投資家らがメンターとして関わる予定。また、オフィススペースの提供が主目的ではないが、SME の六番町本社、および、六本木ミッドタウンにあるコラボカフェ、東京ミッドタウン日比谷にある BASE Q、原宿にある WeWork Iceberg での活動やネットワークへの参加機会が提供される。

創業から50周年を迎える SME は、これまで音楽事業やアーティストマネージメントを柱に業績を伸ばして来た。同社はこれまでにも、VC へのファンド出資などを通じてスタートアップとの関わりを間接的に持ってきたようだが、ストリーミングをはじめ音楽業界のビジネスモデルが多様化する中で、さらにイノベーティブなアイデアを外部から取り入れる必要があると判断、今回の ENTX の立ち上げに至ったようだ。音楽業界がスタートアップと関わる文脈では、昨年 Universal Music が独自に世界的アクセラレータを立ち上げているほか、エイベックスが先ごろ、 TechStars Music に参加したことが記憶に新しい。

ENTX 第1期の募集締切は9月9日で、プログラムは9月26日から開始。12月中旬に開催されるデモデイでは、プログラム参加スタートアップの3ヶ月間の成果や協業例が披露される予定だ。