AIスタートアップのシナプス、エンジェルラウンドで約1億円を調達——出張需要を自動取込、旅行予約サイトへ送客する「deppari」を開発

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左から:シナプス CSMO 久保田哲也氏、CSO 片平吉昭氏、CEO 片山善博氏、社外取締役に就任した青柳和洋氏(イグニション・ポイント代表取締役)
Image credit: Masaru Ikeda

東京に拠点を置く AI スタートアップのシナプスは27日、エンジェルラウンドで資金調達を実施したことを発表した。エボラブルアジア(東証:6191)、名称非開示の事業会社1社、イグニション・ポイント代表取締役の青柳和洋氏をはじめ個人投資家数名から3,800万円を調達済。また今後、日本政策金融公庫の資本性ローン、東京都や江戸川区の中小企業向け制度融資などで合計6,000万円程度を確保する見込みだ。投資・融資を合計した調達額総和は約1億円となる。なお、今回の調達にあわせ、イグニション・ポイント代表取締役の青柳和洋氏と、ニューラルネットワークの権威である東京大学教授の伊庭斉志氏が、シナプスの社外取締役に就任することも明らかになった。

シナプスは2018年4月、エボラブルアジアで執行役員技術 GM を務めた片山善博氏(CEO)、中古自転車販売業ちゃりカンパニー(7月にクララオンラインが買収)の代表を務めた久保田哲也氏(CSMO)らにより設立。出張の需要がある企業ユーザを対象に、スケジューラに投入された出張予定をもとに、移動や宿泊方法をレコメンドするサービス「deppari」を開発している。サービス開始当初は、エボラビルアジアが運営する「エアトリ」への送客によるアフィリエイトでマネタイズするが、出資者にエボラブルアジアが含まれるものの、シナプスは将来、送客先を他の OTA に拡大する可能性を否定していない。今年11月からβ運用を開始し、来年1月に正式ローンチを迎える予定だ。

兼ねてから、筆者は出張のスケジューリングに TripIt というサービスを多用している。フライトの便名や宿泊先を投入するだけで、あるいは、OTA からの予約確認メールを読み込ませるだけで、移動時間などが自動管理できる便利なサービスだ。TripIt は出張精算ツール大手の Concur に買収され、この Concur はその後 ERP 大手の SAP に買収された。SAP – Concur – TripIt というスイートは、欧米では出張精算の簡素化需要を取り込む陣営へと成長しつつあるが、いかんせん中小企業が手を出すには高価なパッケージだ。シナプスはこの需要を、中小企業やスタートアップ向けに最適化した形で取り込み、AI の力を活用して既存サービスをディスラプトしようと考えているようだ。

deppari では、ローンチ当初はデータが十分に溜まっていないので AI によるレコメンド機能は限定的な提供となるが、ユーザは自分で好みを設定することで、特定の出張目的地に出向くのに飛行機を使うのか新幹線を使うのか、日帰りか宿泊か、禁煙席か喫煙席か、東海道新幹線なら太平洋側か富士山が望める陸側か、普通席がいいかグリーン席がいいかなども選べ、これらを AI が学習し将来のレコメンドに役立てる(ダイナミックレコメンド)。個人ユーザが使う分には無料だが、将来的には会計 SaaS などと接続し、会計事務所や税理士事務所を通じたパートナーセールスで、中小企業への浸透を加速したい考えだ。

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