子供達の世代のファッションビジネスを変えてゆく「FACY(フェイシー)」【ゲスト寄稿】

本稿は、Disrupting Japan に投稿された内容を、Disrupting Japan と著者である Tim Romero 氏の許可を得て転載するものです。Tim Romero 氏は、東京を拠点とする起業家・ポッドキャスター・執筆者です。これまでに4つの企業を設立し、20年以上前に来日以降、他の企業の日本市場参入をリードしました。

彼はポッドキャスト「Disrupting Japan」を主宰し、日本のスタートアップ・コミュニティに投資家・起業家・メンターとして深く関与しています。


日本のファッションがユニークであるように、また日本のファッション業界もユニークだ。

FACY(フェイシー)の小関翼氏と彼のチームは、インスタントメッセンジャーと、ショップ〜顧客間に構築された関係性をもとにしたファッションマーケットプレイスを構築した。しかし、たいていのファッションマーケットプレイスと異なり、FACY はメジャーレーベルや世界ブランドではなく、ローカルや中堅ブランドで占められている。

FACY が持つ、興味深くミニマルな e コマースへのアプローチは注目に値する。

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FACY のチーム

Tim:

FACY はどのように機能するのでしょうか?

小関氏:

基本的な流れとしては、我々のユーザがファッションニーズについて質問をし、ショップやブランドが回答するというものです。そのやりとりはオープンなので、すべてのユーザが回答を閲覧できます。

Tim:

どのような質問をするのですか?

小関氏:

内容は非常に多岐にわたりますね。特徴的なのでは「オフィスに履いていけるスニーカーを探しています。」とか、あるいは一般的な「ファッションに不慣れですが、何から始めればいいですか? 最初に買えばいいのは何でしょう?」などです。

Tim:

ファッションに不慣れというユーザには、ショップはどういう回答をしたのですか?

小関氏:

これは大変人気のある質問で、多くのショップが回答しました。「Levi’s 501 から始めたら」というものもあれば、「良いスニーカーがベースになる」というものもありました。多くの意見が寄せられました。

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FACY での相談から購入まで

Tim:

興味を惹くのもわかります。ビジネスモデルは?

小関氏:

FACY を通じての販売の20%を手数料として受け取り、ショップは顧客に商品を直送します。

Tim:

お客さんについて教えてください。誰が FACY を使ってるのですか?

小関氏:

毎週20万人を超えるアクティブユーザがいます。大変アクティブですが、ほとんどのユーザは自ら質問をせず、他の人の質問を読んでいます。平均年齢は25〜35歳で、彼らは給料が増えつつありますが、自由な時間は減りつつあります。男女比は概ね半々です。

Tim:

ほとんどのファッションサイトは、主に女性か、または男性をターゲットにしますよね。FACY では、それが均等に分かれているのは興味深いです。年齢については納得できますが。大学を出ると、誰しも昔のファッションを捨てて、新しいスタイルを確立する必要が出てくるもの。メジャーブランドがターゲットにするのは、この層ですよね。

小関氏:

実のところ、我々の主なクライアントはメジャーブランドではありません。アメリカではアパレルブランドは主に、高級ブランドとファストファッションに分かれますが、日本は多くの中流価格のブランドがあり、それらが FACY で最も人気を得ています。

Tim:

なぜでしょう?

小関氏:

中堅ブランドは顧客にリーチする新しい方法を探していて、喜んで実験を試みてくれます。高級ブランドやファストファッションの小売業者は、予算が大きく、優れた E コマースサイトを持っているのですが、顧客の質問に一つ一つ応じられるだけの余力を持っていません。ファストファッションよりも品質のよい服が欲しい人は多くいますが、彼らは高級ブランドを買いたいわけではないのです。

<関連記事>

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FACY の台湾オフィス

Tim:

海外展開の計画はお持ちですか?

小関氏:

アジアは多くの可能性を見出しています。多くの国でファッションにお金をたくさん使う中間層人口が伸びていますし、アジア諸国の多くで24〜34歳人口が多いからです。

Tim:

FACY は対話に特化した Twitter に近いのでしょうか、あるいは、つながりに特化した Facebook に近いのでしょうか?

小関氏:

Facebook に近いと思います。ショップには顧客と長期的な関係を築いてほしいと思っていますし、顧客のファッションアドバイザーになってほしいと思っています。我々はショップが FACY のプラットフォーム上で、こういった関係を築き維持するためのツールを開発しているわけです。

Tim:

FACY はテキストのみですが、ファッションは目で見るものなのに、どうしてテキストのみなのですか?

小関氏:

ショップは、回答の中で写真を使うこともできます。ユーザ側には、顧客が写真をアップロードできる機能をβリリースしましたが、この機能を使う人は多くなかったので、少なくとも今ではテキストに特化しています。最終的には、コミュニケーションと信頼が写真よりも重要だと思っています。

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FACY CEO 小関翼氏

Tim:

FACY で、AI やチャットボットは使っているのですか?

小関氏:

ショップが使えるチャットボット作成の実験を始めています。将来、この種の AI 対話機能は大変重要になるでしょう。

Tim:

AI やチャットボットの登場で、力はメジャーブランドへと戻るでしょうか? 今の所は、スタッフやオーナーが顧客と一対一でやりとりしアドバイスできる、中堅ブランドに iFACY が理想的なわけです。しかし、大手ブランドが多額の予算を確保して、素晴らしいチャットボット開発に投資できるようになれば、それまで FACY が持っていたアドバンテージを、大手ブランドが持つように思えます。

小関氏:

それはよいポイントですね。それについても、ある程度、考えています。しかし、チャットボットはツールでしかありません。チャットボットが顧客との関係を築くことはできないでしょう。

Tim:

この種のパーソナル E コマースは、メジャーブランドに戦いを挑む存在になると思いますか?

小関氏:

大手ブランドが活躍する場は将来も常に存在するでしょうが、ファッションはよりパーソナルなものになりつつあります。人々は、以前のようにテレビや雑誌からファッションのヒントを得ているのではありません。現在では、ソーシャルメディア、SNS、スマートフォンにより時間を費やすようになりました。マスメディアの重要性は減りつつあり、したがって、マスファッションもそうなりつつあるのです。


FACY は、ファッションについての新しい考え方を示すだけでなく、小関氏がヒントをくれたように、メディアへの依存や利用するメディアの変化がもたらした、ごく当然の結果なのだ。

ファッションブランドの現代のコンセプトは、雑誌やテレビといったトップダウンのブロードキャストメディアに依存している。数少ないレーベルやデザイナーがファッショントレンドを定義し、メディアを介してブロードキャストし、消費者は単にそれに従う。

ソーシャルメディアがこれを変えつつある。ファッションはよりパーソナルかつ対話的なものになりつつある。テクノロジーが存在することで、初めて新たな関係構築を可能にしたからだ。未来のファッショブランドは、ファッションリーダーになることから、パーソナルアドバイザーになることへと、自ら姿を変える必要があるだろう。

この変化についていける今日のトップファッションブランドは、ごくわずかだろう。

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