
BlaBlaCar がこのほど、SNCF(フランス国鉄)が運営するバスサービス Ouibus を買収した。これによって同社は従来型のカーシェアリングビジネスから急速な変貌を遂げることになる。
Ouibus 買収の一環として、SNCF と以前からの投資家グループは BlaBlaCar に1億1,400万米ドルの支援を行う。今回の取引によってBlaBlaCar はカーシェアリングプラットフォームをさらに拡張できるようになる。その一方で、ヨーロッパ中の300都市でバスを所有・運営するという大きなリスクも負うことになる。
BlaBlaCar の共同設立者兼 CEO の Nicolas Brusson 氏は声明で次のように語った。
OuiBus のチームと協力していけることを大変嬉しく思います。これによって、BlaBlaCar の多様なモビリティソリューションを旅行者たちに提供して、幅広いニーズを満たすことができるようになります。
今回のプロジェクトの目的は、車とバスを組み合わせてヨーロッパ中で幅広い移動手段を提供するという私たちの計画を強化するためのものです。私たちと SNCF は共同輸送とドアツードア輸送の発展に向けて同じ未来像を共有しており、それを共同で行っていけるという、他にはない立ち位置にいます。SNCF との協力関係によってこの未来像は大きな転機を迎えることになります。
10年以上前に設立された BlaBlaCar は以前からフランスで最も注目を集めるスタートアップで、これまで3億米ドル以上を調達している。また、都市間を移動するドライバーと、相乗りしたい人をつなぐカーシェアリングプラットフォームを構築することで、ユニコーン企業の仲間入りも果たした。BlaBlaCar の現在の会員数は22ヶ国で6,500万人にのぼるという。
一方で、周囲からの大きな期待と多額の資金投入によって、成長のための新たな手段も探し続けなければならない。Ouibus との今回の取引はそのような状況の中ではある意味驚きをもたらすものであった。
国有の SNCF が運営する Ouibus は過去3年間にわたり、1,200万人以上の乗客を乗せてきた。プレスリリースによると、BlaBlaCar の今回の買収によって「バスと車の乗車率が最適化され、旅行者にとって使いやすいドアツードアのソリューションを提供できるようになる」とのことである。
また、Ouibus はヨーロッパ中のバスサービスとも連携できるようになり、ミュンヘンに拠点を置くFlixbusとの直接的な競争にさらに拍車がかかることになりそうだ。同社はデータを活用したバス企業で、実際にバスを運営、所有、サービス提供しているパートナーと連携している。ヨーロッパ中で鉄道サービスの民営化が進んでいるが、Flixbus もドイツで競争力の高い鉄道サービスをローンチしている。
このような民営化はフランスでは論争の種になっている。SNCF の競争力を高めるための鉄道改革に反対するストライキが昨年夏、3ヶ月にわたって行われた。
SNCF の社長である Guillaume Pepy 氏は、声明で次のように語った。
電車の本数をこれまでより増やすためには、電車以外のサービスにも乗り出す必要があります。
鉄道インフラの持続可能なやり方を組み合わせて、出発地から目的地までたどり着くための様々な選択肢を旅行者に提供する必要があります。今回の共同プロジェクトの目的は、お客様がこれまでよりも簡単に旅ができ、車に一人しか乗っていないという状況を減らすためのものです。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待