クモ糸の遺伝子を元にした次世代繊維素材開発のSpiber、クールジャパンらから約50億円を調達——タイで量産に向けたマザープラントを建設へ

by Masaru IKEDA Masaru IKEDA on 2018.11.28

GOLDWIN と共同開発した「MOON PARKA」のプロトタイプを前に握手する、Spiber 取締役兼代表執行役の関山和秀氏(左)とクールジャパン機構専務取締役 COO 兼 CIO の加藤有治氏(右)

Spiber(スパイバー)は、地球上で最も強靭と言われるクモの糸に着目し、クモの糸の人工合成に成功したスタートアップだ。同社は28日に都内で記者会見を実施し、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)をリードインベスターとして、約50億円の資金調達を実施したことを明らかにした(クールジャパン機構の出資は30億円で、残り20億円分の引受先は非開示)。

Spiber は、山形県鶴岡市にある慶應大学先端生命科学研究所からスピンオフする形で、2007年に設立されたスタートアップ。創業からこれまでに、累積240億円あまりを調達している。今回のクールジャパン機構からの調達を受けて、累積調達金額は約300億円弱に上るとみられる。

今回の調達は、Spiber が研究や技術開発フェーズから量産化フェーズへの移行にあたり、アパレルの海外量産プラントを建設するためのもの。タイ東部のラヨーン県に世界最大規模の構造タンパク質発酵生産拠点を整備し、発酵・精製のマザープラントとして、アパレルや自動車向けのタンパク質を生産する予定。

新プラントの規模は、現在、山形県鶴岡市にある本社パイロットプラントの約100倍の面積で、東京ドーム2個分に相当。2019年半ばに着工し、2021年中の商業生産開始を目指す。新プラント稼動後は、タイで発酵・精製した構造タンパク質を日本に運び、日本で繊維化(撚糸・生地精製)を行う。生産量は、目的タンパク質により変動するが、年間数百万トン規模を想定している。

プラント建設地にタイを選んだ理由として、Spiber 取締役兼代表執行役の関山和秀氏は、砂糖の生産・輸出で世界的上位にあり、発酵原料となるバイオマス資源を豊富に有していることを理由に挙げた。

Spiber の山形県鶴岡市にある本社・プラントの全景

Spiber は、2015年からアパレル大手の GOLDWIN と共同で、Spiber の人工合成クモ糸素材「QMONOS」を使ったパーカー「MOON PARKA」を開発している。記者会見では、MOON PARKA のプロトタイプの最新版(バージョン2.75)も披露された。

クールジャパン機構にとって今回の Spiber への出資は通算31件目で、今年7月に、同機構 CEO に北川直樹氏(元ソニーミュージックエンターテイメント代表取締役 CEO)、同機構 COO 兼 CIO に加藤有治氏(イースト・インベストメント・キャピタル代表取締役)が就任して以来、動画スタートアップ Tastemade に続く2件目の出資案件となる。

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