Microsoftの研究者チーム、自律型温室ハウスのコンペティションでTencent(騰訊)やIntelのチームに勝利

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Team Sonoma のメンバー。左から、Thomas Follender Grossfeld 氏、Kenneth Tran 氏、Chetan Bansal 氏、David Katzin 氏

Microsoft の研究者はオランダやデンマ-クの大学生と協力し、オランダのヴァーヘニンゲン大学の自律型温室ハウスで行われたキュウリ栽培のコンペティションで優勝した。

ヴァーヘニンゲン大学の正式な発表によると、すでに知られているように、Team Sonoma は Tencent(騰訊)や Intel、そして園芸専門家の人間といった競争相手を打ち負かし、さらには1平方メートルあたり50キログラム以上のキュウリを育てた唯一のチームだった。

コンペには5組のチームが参加し、世界中の別の場所から遠隔で温室ハウスを運営した。また人間のチームは旧来の方法と AI によるアプローチの比較のために参加した。AI システムが装置をコントロールし、水の量や光の強さといった要因を決定しなければならず、人の手が介在するのはキュウリを枝から切り取るといったことのみだった。

Team Sonoma はコンペを通じたキュウリの生産量で文句なしの優勝者であり、人間の園芸家が僅差でそれに続いた。Team Sonoma はまた総合的な純利益でも人間のチームを上回った。コペンハーゲン大学やヴァーヘニンゲン大学の学生も Team Sonoma にメンバーとして参加していた。

Tencent と中国農業科学院のチーム iGrow は総合で2位につけた。

コストや労力、電気使用量、二酸化炭素排出量といったことを参加チームの中で最も低いレベルに抑えた iGrow は、同じ分野の専門家である審査員から最良の AI 戦略として認められたと、このコンペを主催したヴァーヘニンゲン大学科学研究チームの指導者である Silke Hemming 氏は述べた

この夏の AI モデルを作り上げるハッカソンに続いて「Autonomous Greenhouse Challenge(自律型温室チャレンジ)」は8月27日から12月7日まで開催された。

参加者はより多くのキュウリを育てることだけを競い合ったのではなく、持続可能なやり方を示して見せなければならなかった。総生産量はチームの得点の50%となり、AI 戦略が30%、そして持続可能性が残りの20%となる。

Team Sonoma は最高の持続可能性を達成したが、すべての AI のチームと比べても人間のチームはキュウリ1キログラムあたりの電気使用量が最も低かった。

総合で3位となったのは Delphy と AgroEnergy という企業の社員で構成されたチーム、The Croperators である。

Intel 社員とメキシコ国立自治大学の学生によるチーム Deep Green は、総生産量と総合得点で最下位となった。

結果を伝えた木曜日(12月13日)の投稿の中で、このコンペはすべての温室がコンピュータで運営されるようになるということを意味するわけではないとヴァーヘニンゲン大学は述べた。

投稿では次のように述べられている

まず言っておくべきことは、この度のチャレンジの規模は制限されていたということです。さらに、温室の中や周辺では人間の存在が必要不可欠な多くの農作業や判断があります。

このコンペのスポンサーとなったのは中国のテック大手 Tencent が将来有望な企業やプロジェクトに投資しようというイニシアチブ、Tencent Exploration Team である。

このチャレンジにキュウリが選ばれたのはキュウリ栽培のための AI システムの訓練に大量のデータセットが利用可能なためであると、Tencent のチーフエクスプロレーションオフィサー(主席探索官)David Wallerstein 氏は VentureBeat の独占取材に語った

都市が拡大を続け気候変動に関する懸念が増大する中で、屋内農業をさらに探求するために、Tencent はこのチャレンジに資金提供することにしたと Wallerstein 氏は述べた。

同氏は次のように述べた。

世界的な農業の分散化といったもののための機会、または農業の生産性や栽培の可能性が都市の近くや都市の中へと移動していくという機会、弊社が今見ているものはそういったものだと思います。さまざまな方法で、スペースの使い方や食料の調達方法を考え直すことができます。そして食料の供給源を多様化すること、並びにより健康的な食事をとることは、人類にとって重要な機会であると弊社は考えています。

International Society for Horticulture Science(国際園芸学会)がまとめた情報によると、中国は世界で最も多くの温室を持ち、その広さは300万ヘクタールを超える。スペインやイタリア、フランス、オランダのようなヨーロッパの国々は世界でトップ10に入る屋内農業国である。

大手テック企業の間でも屋内農業への注目は高まっていると言えるかもしれない。AI を使って農産物の栽培を行い、2019年にアメリカの都市近郊で垂直農法の農場経営を始める予定である Bowery の9,000万米ドルの資金調達ラウンドを、今週(12月第3週)GV(旧 Google Ventures)がリードした。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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